スマホの大きさは持ち主の意識の高さに比例するようです

山本一郎です。地味にビッグデータの仕事をしています。

ここ最近のスマホのトレンドとして画面サイズの大型化があります。たまに量販店のスマホ売り場などで最新モデルが並んでいるのを見ると、普段iPhoneや古いGalaxyを使う身としては「うわっ…私のスマホ、小さすぎ…?」と思うほどに大きなスマホばかりが並んでいる様に驚きます。さすがにあまり大きいのは持ち運びや操作性はどうなんだろうと訝しんだりもするのですが、Appleも次のiPhoneでは画面サイズがまた大きくなるという噂もあって、世は巨大スマホの時代到来という感じなのでしょうか。

昨年末のある調査では以下のようなデータが出ていますが、やはりAndroidユーザーは画面の大きさを重視する傾向があり、そのまま満足度にも影響しているとあります。

スマホ選びで重視する要素 -- Android は「大画面」、iPhone は「操作性&ブランド力」(MMD 研究所調べ)(インターネットコム 2013/12/12)

MMD 研究所が発表した「2013年度 スマートフォン購入者の満足度調査」の結果によると、Android 端末購入者が重視するのは「画面サイズ」、iPhone 購入者が重視するのは「操作性」および「ブランド力」だという。

出典:インターネットコム

まあ、今の時点でAndroidがiPhoneに対して大きな差別化を打ち出せるポイントの一つは画面サイズのバリエーションですから、そこを強調するのは当然なのでしょう。とくにAppleの最大のライバルとも言えるSamsungは6インチ前後のスマホを殊更にプッシュしておりメディアでのPR活動も頑張っている感があります。先の調査もそうでしたが、以下の記事もそうした一連のメディア施策なのではないかなと感じます。

ガラパゴス日本!日本の“主流”はもう古い?(JBpress 2013/12/19)

「いよいよ日本でもLサイズスマホがブレイクしそうだ」と予感するのは筆者だけではないだろう。

出典:JBpress

とくに「広告」や「PR」という断りは入っていませんが、さすがにこの結びはなんとも力技な感じがします。

で、さらに強引な展開の面白記事が最近ありましたのでご紹介しておきます。

スマホサイズで年収に差、20~30代・デキる社員のスマホ実態調査(RBB TODAY 2014/2/17)

4.0インチ以下の「Sサイズスマホ」(iPhone5等)、4.1~5.2インチの「Mサイズスマホ」(AQUOS PHONEやXperia等)、5.3インチの「Lサイズスマホ」(GALAXY Noteシリーズ等)で比較し、各対象者の現年収や会社内での役職、スマホ利用歴や使用端末の選択理由、スマホ活用用途、さらに仕事に対するモチベーションの有無などを尋ね、その結果を集計している。その結果、年収や使用端末サイズによって、意外な偏差があきらかになったという。

出典:RBB TODAY

この記事は釣り記事として優秀ということもあるのか他のネットニュースサイトにも配信されておりましたが、それに対してジャーナリストの本田雅一氏がTwitterにて一刀両断にしております。

えー、あまり暴言は吐きたくないのですが、もう面倒くさいので"分析した人、バカですか?"「スマホの使用サイズと年収の関係」 http://news.livedoor.com/article/detail/8546272/ …

出典:本田雅一(本人未確認)

記事の元ネタとなった調査結果のより詳しい内訳は、調査会社のサイトに公開されていますが、そちらの記事見出しの煽り具合はさらに香ばしいものがあります。

Vol.9 若手社会人スマートフォン活用調査(タイムカレント)

サイズと年収でも相関関係 → Lサイズスマホ社員は現年収で50万円、希望年収で100万円高い! 年収501万円以上の46.7%がLサイズスマホを使用

出典:タイムカレント

具体的な年収で傾向判断しておるようですが、偏差値でいって50と50.1を見比べて「ほら、0.1高いだろ!」とか言ってる馬鹿調査会社みたいになっています。そこに集まってる調査対象の量や動向が出て初めて意味がある統計になるのであって、例えば「スマホで大画面なものを使っている360万(偏差値40未満)が使用傾向2年で500万円台に有意に上昇、相関はステップアップ転職と思われる」みたいな情報になって初めて意味を成すものだと思うんですよね。

こちらの企業はいわゆるPR会社のようですから、この調査についてもどこかのクライアントからの依頼でLサイズスマホのイメージアップにつながるようなデータを探した結果、こういう調査にたどり着いたのではないかと想像されますが、こういう雑な論考で商売になってしまうほど統計というのは甘いものではないと私は思います。とはいえ、これから入社シーズンを迎えるにあたって意識の高い新入社員達へスマホを売り込むにはかなり有効なデータと言えそうで、とても素晴らしいですね。

他の調査タイトルも「『カラコン・サークルレンズ使用とモテの相関関係』に関する調査結果」「”日本人女性の髪とモテとの相関関係”に関する意識調査結果」「オトナ女性の仕草や行動に関する意識調査結果」等々、興味深いものが多いです。すべてがインチキとは言いませんが、意識調査って本来そういうものじゃないので、あんまりカジュアルに断定的結論に導いて調査業界全体が沈没するような騒ぎにならぬよう期待したい次第であります。

年収に響く大画面液晶を備えた「iPhone1000」予想図
年収に響く大画面液晶を備えた「iPhone1000」予想図

炎上上等というか、イマドキのネット民の嗜好に合わせたPR施策が得意という感があり、まさに本田氏のツイートのような反応こそ彼らが意図したものだったという可能性もありそうです。

それにしても、スマホはやはりこのまま巨大化していくのでしょうか。そのうちタブレットよりも大きなスマホとか出てきそうですが、ここは意識の高い皆さんは挙ってスマホの大きさを無駄に競っていただきたいと思う次第です。

確かに代を追うごとに順調に巨大化しているiPhoneも、iPhone1000とかこんな感じ臭いっすよね。