国内ヤフーがECで手数料を捨て広告を取った時、AmazonとGoogleは何を選んだか

山本一郎です。ヤフーの現場でヤフーの記事を書くこのスリルを肌で感じて生きていたいです。

というわけで、すでにほとんどの方がごぞんじの話ではありますが、ヤフーがEC戦略で大きく打って出たことから国内EC界隈が色々と波乱含みになっています。

「ヤフーは間違っていた」と孫社長 EC出店料の無料化という「革命」に打って出る狙いは(ITmedia 2013/10/7)

ネット通販株が急落 ヤフー「出店無料化」波紋広がる(日本経済新聞 2013/10/8)

ヤフー会長を務めるソフトバンクの孫正義社長は10月7日、「Yahoo!ショッピング」の出店者イベント「ストアカンファレンス2013」で講演、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」の出店料無料化を発表した。

出典:ITmedia

8日の東京株式市場でヤフーや楽天など電子商取引(EC)大手の株価が急落した。前日にヤフーがネット通販サイトの出店料を無料にすると発表。価格競争が本格化し、事業の収益性が低下しかねないとの懸念が広がった。EC市場は拡大が続いているが、サイトの運営各社が「利益なき繁忙」に陥るリスクを市場は警戒し始めた。

出典:日本経済新聞

興味深いのは、ヤフーが今回の施策においてその目玉として公言しているのはビジネスモデルを「手数料型からメディア型に大きく転換。出店料収入を失う代わりに、広告収入の拡大を狙う」(ITmedia)としている点です。つまり、Webはタダで見せて広告で儲けるしかないという従来からのやり方をさらに推し進めるパターンなんですね。国内最大級のトラフィックを誇るヤフーならではの強気な展開ということなんでしょうか。

で、今回のヤフーの手数料無料化については、以下にご紹介する論考が面白かったです。

ヤフーショッピング無料化に思うこと(Memento Mac 2013/10/7)

「無料」という言葉に引きずられて勘違いしそうになるが、今回のヤフーショッピングの発表は、出店料・販売手数料・広告等で稼いでいた売り上げを、主に広告に一本化して稼ぐようにしますよという話だ。広告を出すのは出店者自身で、もちろん出さなければ無料だが、ヤフーショッピング自らが広告で稼ぎまっせーと明言している以上は広告出稿店舗はそれなりに今まで以上に優遇されるだろうし、広告を出さない店舗はこれまで以上に集客できなくなる。

出典:Memento Mac

日本のヤフーがこうした動きを打ち出してきた一方、海外の通販大手サービスプロバイダのAmazonは以下のような発表を行いました。

Amazon IDでサードパーティのサイトで支払ができる‘Login and Pay with Amazon’がスタート(TechCrunch Japan 2013/10/9)

AmazonはMoney 2020カンファレンスでLogin and Pay with Amazonというサービスを発表した。このサービスのパートナーとなったウェブサイトの訪問者は「Pay with Amazon」というボタンをクリックするだけで一切の支払手続きが済んでしまう。クレジットカード情報を入力したりPayPalサイトに移動したりする必要がない。ライバルの支払サービスには大きな打撃となるかもしれない。

出典:TechCrunch Japan

AmazonはECサイトではなく、決済サービスの拡張を狙ってきたというわけですね。強みはAmazonがこれまで培ってきたネット通販業者としての信頼性と、Amazonが抱える膨大な顧客アカウント数。もちろん、こちらは無料ではなく手数料で稼ぐビジネスモデルですから、ヤフーの方向性とは異なるという見方もできます。

また、Googleの決済サービス関連についても、気になる話が海外ニュースで流れていました。

Google Moving Staff From Search To Its Payments Business In A New Push For Google Wallet(Business Insider 2013/10/8)

この記事によると、Googleが検索広告部門の開発者をGoogle Wallet等のEC/モバイルペイメントシステム開発へ異動させているということらしいです。期せずして、日本のヤフーがさらに広告へ力を入れると宣言したタイミングで、Googleは広告から決済へ注力をシフトしてきたというのはとても対照的で面白いです。

また、上記のBusiness Insider記事中では、eBayがEコマース決済システムの開発会社を8億ドルで買収したという話も報じられており、どうやら海外の大手サービスプロバイダの間では「決済サービス」が熱いように見えます。

そういえば、決済サービスという話では、ユニクロがリアル店舗内でレジとは別にiPadを利用したモバイル決済システムを導入して顧客満足度の向上を狙うというニュースもありました。

ユニクロがモバイル決済サービス「Square(スクエア)」を導入、レジ以外でも商品購入が可能に(THE BRIDGE 2013/104)

今後しばらくIT業界では各種決済サービスにおけるデファクトを誰が勝ち取るかで激しい争奪戦が繰り広げられそうな予感がします。

ここでやはり出会い系へとシフトを続けるmixiの新戦略に全世界の注目が集まりますね。期待せずにはいられません。