ソフトバンクが色々とやってしまったようです

山本一郎です。いつも色々とやってしまっています。

ところで、9月30日にソフトバンクが新製品発表会を開催し、しばらく表舞台から遠ざかっていた孫正義氏も登壇し勢いのある発言を行っておりました。

ソフトバンク孫社長、「つながりやすさと速さは我々がNo.1」(PC Watch 2013/9/30)

当日の氏の発言中でも白眉の一つは以下の部分だったのではないでしょうか。

影響利用者数3万人以上、かつ継続時間2時間以上におよぶ障害が発生した「重大事故」の場合、総務大臣に報告することが義務付けられているが、ソフトバンクモバイルに関しては850日間以上無事故を継続していることを示し、「これは我々がいかにネットワークに力を入れているか証明する良い例だ」と誇った。

出典:PC Watch

確かに、ドコモやKDDIのネットワークにおいて大きな事故が度重なっていたのに比べ、ここ最近のソフトバンクはそうした問題が発生していなかったようです。大したものです。

で、この発表会の翌日、ソフトバンクはプレスリリースを通じて新たな発表をします。

信用情報機関への入金登録情報の誤りについて(ソフトバック 2013/10/1)

この度、弊社システムの不具合により、お客さまにご契約いただいた個別信用購入あっせん契約/割賦購入契約につきまして、分割支払金等をご入金いただいたにもかかわらず、未入金として信用情報機関に登録してしまうという事象が発生しておりました。

出典:ソフトバック

先の発表会で取り上げられたネットワーク事故とは性格が異なりますが、経産省へも報告されるほどに社会的影響の出る大きな事故です。むしろ、総務省ってより金融庁のマターであります。

当然ではありますが、このプレスリリースが発表された後、多くのメディアがこの件を取り上げました。興味深いのは、ソフトバンクのリリースでは「影響が生じた可能性のある件数は、16,827件」と記されているため、NHKニュースなど早期の報道ではそのまま「延べ1万6000人余りの利用者」に影響があったという趣旨で事態が伝えられていました。

ソフトバンク利用者 “滞納”と誤登録(NHKニュース 2013/9/30)

ところがその後、実際に誤って登録されていた情報の総数は6万件を上回っていたことが判明します。

「割賦代を支払った」のに未入金扱い、ソフトバンクが誤処理(ケータイWatch 2013/10/1)

ソフトバンク、携帯割賦購入で「未入金」誤登録6万件(日本経済新聞 2013/10/1)

ソフトバンクが分割払い6万件超を誤って滞納扱い、クレジット審査等に影響。半年公表せず(Engadget日本版 2013/10/1)

【追記 2013/10/1 17 ソフトバンクモバイルによると、今回のプログラムミスにより、誤って登録していた情報は6万3133件に及ぶ。そのうち、クレジットカードを作成しようとするなど事業者から信用情報機関へ照会があった件数、つまり実際に誤登録の影響が出た可能性がある件数が1万6827件になるという。それ以外の4万6306件は、潜在的に、クレジットカードの作成ができないなど影響が及ぶ可能性があったものの、当該期間中、信用情報機関への照会がなかったため、影響が出なかった。そのため、ソフトバンクモバイルでは「影響が生じた可能性がある件数は1万6827件」と案内している。

出典:ケータイWatch

広報担当者によれば、9月末に発表できる情報が整い、10月1日午前中に発表したとのこと。それならば9月末の発表会でも代表者自ら報告できたはずで、その場でメディア関係者から内容を問う声もあったはず。そのことを担当者にぶつけると、「ご指摘はごもっともだと思う」と言葉が返ってきました。

出典:Engadget日本版

ろ、ろくまん…。

ソフトバンクでは9月30日の発表会でこの件を発表できるだけの情報があったにも関わらず、確信的にその発表を控えたという事実もあるようで、思わず「お主も悪よのう」とつぶやいてしまいそうです……。

この件に関しては、通信業界の動向に詳しいクロサカタツヤ氏がTwitterで問題点を指摘されておりますので、同氏のツイートをそのまま以下にご紹介したいと思います。

ソフトバンクは、他者に先駆けて、割賦債権の流動化を進めているんだけど、その格付けに今回の事故が影響してないのかな。していないといいんだけど、どうだろうね。

出典:クロサカタツヤ

残念ですけけど、今回はソフトバンクが全面謝罪しないと、決着つかないですよ。社会生活を送る上で通信品質なんかより遙かに重篤だもの。 RT @softbank_ichiro ネットワーク障害と信用情報のミスを、同列に並べて論じるのには、やや違和感。どちらも大事であって、…

出典:クロサカタツヤ

さらに言えば、ソフトバンクが全面謝罪しただけじゃ、決着つかないかもしれませんね。各社同様のことをしている以上、ケータイ契約の信用能力そのものが、危機に瀕している。これもう総務省マターじゃないから、金融庁監査を積極的に受け入れるくらいしないと、失墜した信用は回復しないかもしれない。

出典:クロサカタツヤ

そして改めて、出来上がっていた社会システムの基盤をぶち壊したのは誰だ、という話。これはもしかすると、ケータイの契約がプリペイドベースに再び回帰する転換点になるかもしれず、日本のケータイ産業にとって深刻な事態になるかもしれないね。

出典:クロサカタツヤ

事ほどさように重大な問題となりえる話でもあるわけですが、今世の中は消費税引き上げに向けて大騒ぎの最中でして、この件があまり大きな話題にはなっていない印象もあります。まさにそのタイミングを狙ったというのであれば、その悪ぶりも徹底しているということでしょうか。

で、色々と曰く付きとなってしまった件の発表会ですが、以下の件については孫さんもかなり的を射ているのではないかと思います。

孫正義氏、“第3のモバイルOS”には「興味なし」(CNET Japan 2013/9/30)

第3のモバイルOSについて孫氏は「あまり興味なし」と即答。その理由については「実際は少しくらいは扱うかもしれないが、今のところそれらが主流になるとはとても思えない。ただし、他社には他社の思惑があるだろうから、その考えを批判するつもりはない」と説明した。

出典:CNET Japan

そういえば、あれだけ思惑があってご執心だったはずのドコモも今年のCEATECではTizenに全く触れてないという話を耳にしたのですが、一体どうなっているのでしょうか。ドコモにはTizenと心中するくらいの勢いで色々やって頑張ってもらいたいものです。

心中するべき人はどっか飛んでいってしまったようですが。お元気なんでしょうか。