国内ではPS 4よりもPS Vita TVが先に出る件について

山本一郎です。なんか足の爪がはがれて大変です。

すでに北米・欧州市場では年内発売が決定していた「PlayStation 4(PS 4)」ですが、ようやく国内発売日も発表されました。なんと北米・欧州市場に遅れること3か月のタイムラグをもっての国内発売です。

ソニーPS4の日本発売は来年2月22日、価格3万9980円(ロイター 2013/9/9)

国内投入が年を越えることについて、SCEのアンドリュー・ハウス社長は記者団に対し「すでに米欧の予約注文が100万台を超えており、(海外での)初期の需要が強い」と指摘。その上で「なるべくきちんと供給できる中で発売したい」として、国内発売を米欧より遅らせた理由を説明した。

出典:ロイター

SCEがこうした戦略に出た事情については、後藤弘茂氏がPC Watchに書かれている以下の論考が分かりやすく、まあそうだろうなという感じでしょうか。

SCEがPlayStation 4の日本発売と新デバイスPS Vita TVを発表(PC Watch 2013/9/9)

現実問題として、ゲーム機の世界同時立ち上げは、ゲーム機ベンダーにとって負担が大きい。(中略)ゲーム機ベンダーにとって一番いいのは、発売時期をずらすことだが、それには勇気がいる。声の大きいゲーム機のエンスージアストユーザーからの非難を浴びるからだ。今回、欧米と日本で、3カ月前後の差をつけたのは、その方が都合がいいというだけでなく、Xbox Oneとぶつかる欧米では年末のホリデーシーズンを逃すわけに行かないが、日本ではもっとじっくりとタイトルを揃える余裕があるということかも知れない。

出典:PC Watch

しかしそれよりも興味深いのは、SCEがこのPS 4の国内発売先延ばしの代替といっては語弊があるかもしれませんが、同時に新しい小型据え置き型ゲーム機「PlayStation Vita TV(PS Vita TV)」を発表したことです。

ソニーPS Vita TV 発表、9954円の画面なしPS Vita。11月14日発売(Engadget日本版 2013/9/9)

PSVitaTVで遊べないゲームタイトル(現実ゲーム 2013/9/10)

ゲームのほか、TSUTAYA TV や niconico、Hulu、スカパー!オンデマンド、DMM.com など映像サービス、ソニーの Music Unlimited や Video Unlimited、また radikoのIPラジオ radiko.jp などのセットトップボックスらしい各種サービスに対応。新規サービス JOYSOUND.TVなども参入予定。

出典:Engadget日本版

細かい仕様や従来PS Vita向けゲームタイトルへの対応状況を見ると、やや整理しきれていない印象もありますが、ゲーム以外の多彩なオンラインコンテンツサービスへの対応を志向している点を見れば、これはまさに「Apple TV」や「Google TV」といったスマートテレビ的なものへのガチな対抗製品と解釈して良さそうです。当面は日本市場のみの展開で海外投入は未定ですが、ソニーとしては海外市場での展開も当然視野に入れての動きなのでしょう。

先にあげた後藤氏によるこのPS Vita TVへの論考は以下のとおりですが、この目論見が当たればソフト産業にとっては福音となり得るかもしれません。

PS Vita TVは、自社のソフトウェア技術の強味を活かす形で、Apple TVの世界に入ろうとしている。(中略)ゲーム機としての膨大なソフトウェア資産を持ち込むことで、明瞭に差別化を図っている。また、ゲーム機は数十ドルのタイトルが普通に流通している世界で、その点が、10ドルのソフトでも高いと言われてしまう、モバイルOSの世界のビジネスモデルとの違いだ。そのため、PS Vita TVが普及するなら、ソフトウェアベンダーにとっては、それなりに魅力的な市場となる。

出典:PC Watch

さらに、もしこのPS Vita TVが欧米市場で早期に販売されれば、現在市場に出回っているAndroidベースの据え置き型ゲーム機にとってはかなりの脅威になるだろうという論考も海外メディアに見られます。その理由は、Androidのゲームにはない洗練されたラインアップと共に、プレイステーションというブランドが持つ信頼性があるからということのようです。

Vita's got a better lineup of indies in a more-polished system, and it's coming from a name you trust.

出典:Engadget

出来損ないが多いけれど無料でも入手可能なiOS/Androidのゲームタイトルと、高価だけれど洗練されて安心して遊べるゲーム機専用タイトルを比べたとき、はたしてこれからの市場がどちらを選ぶのか非常に気になるところです。ゲーマーと呼ばれるような人種にとってみれば当然後者が魅力的ではありますが、カジュアルユーザー層にとってはすでに前者のような状況が当たり前でそれに慣れつつあることも確かです。

自らもコンテンツ制作に関わる立場とすれば、優れた商業作品が適切な評価と対価を得られる形で市場が発展することを望みたいですし、こうしたPS Vita TVのような取り組みが良い形で成功すればと願うばかりですが、なかなかに厳しい時代でもあるなというのが素直な実感でもあります。僭越ながらまずはSCEの今後の健闘を祈りたいと思います。

ところで、Mixi TVはまだでしょうか。