ドコモのスマホ戦略には何が欠けているのか

やまもといちろうです。東京はヤバいぐらいあったかいですね…。

なんですか、このシャツにジャンパーでOKという感じなのは。6℃もあるとか。

ところで、携帯電話業界の動向に詳しいIT系ジャーナリストの石川温氏が、ドコモのスマホ戦略について、かなり思い切った論考記事を発表しています。

一応最初に断っておきますが、石川氏は過去にドコモからiPhoneが出るとやらかし、騒ぎを起こした御仁ではあります。ただし、取材はかなり丁寧なほうで、先取りして関係者から動向を聞くことも多いから起きる誤報や勇み足もあるのであって、私個人としては、ごく中立的に見て信頼できるITジャーナリストのお一人ではないかと思っています。

次こそiPhone…品質でつまずいたAndroidスマホとドコモの憂い(日経ビジネスオンライン 2013/2/14)

先日、NTTドコモの春商戦向け発表会でドコモの関係者と立ち話をしていたら、彼がこんな本音を漏らした。  「最近、困ったことに『Androidの品質が悪い』という理由でiPhoneを購入する人が増えているんですよ……」

冒頭の文章だけを読むと、Androidそのものが悪いという話かと思ってしまいますが、記事の先へ読み続けると、実はAndroidというOS自体が抱える問題よりも、ドコモが自社扱いのハードやソフトの品質管理において落ち度があり顧客満足度を満たせず、結果として他キャリア、もしくはiPhoneに客を取られているという実態が見えてきます。

もちろん受け止め方はさまざまなんですけど、あくまでドコモが提供しているMEDIASやREGZA… を含めて微妙なメーカーによる微妙な製品でもラインナップに投じてしまっている商品構成戦略の問題とも言えなくもありません。

正直、品質管理という以前の問題のspモード… も含めて、そもそもドコモが何をしようとしているのか良く分からないな、というのは以前別の回でも述べたとおりです。

事実、ドコモはこれまでスマホ戦略において、ハードとソフトのいずれでもかなり致命的な事態に何度か陥っており、これがAndroidスマホ全体のネガティブキャンペーンとなってしまった感は拭えません。

レグザフォンの叩かれ具合をまとめた(NAVERまとめ 2011/10/27)

Arrows tabを購入したが不具合で使えない、ドコモショップの対応(Yahoo!知恵袋 2012/2/22)

これはひどい…ドコモ、Xperia AXの「おサイフケータイ」不具合対策を発表(DS PSP初心者用講座 2012/12/17)

ARROWS V F-04Eで富士通必殺「再起動ループ」が発生している模様(スマートフォン不具合速報 2013/1/11)

「あってはならない」個人情報流出の可能性も――ドコモがspモード不具合の経緯を説明(ITmedia 2011/12/21)

spモードメール障害は設計ミス(とある技術屋の戯言 2011/12/22)

「文字が打てない」など怒りの声も、spモードメールがアップデートで大炎上中(livedoorニュース/BUZZAP! 2012/11/20)

ハードについては、端末メーカーの品質管理に負う部分も大きく、ドコモだけではいかんともしがたい面もありますが、ドコモのサービスを利用するためのシステムとその純正アプリとなれば、その責務は全面的にドコモに問われることとなります。

一方、spモードメールにまつわるトラブルには、ユーザー側の使用方法が不適切であったために生じた問題も多く、本来のシステムやアプリの不具合とは異なる理由による事象も少なくないようです。ちょっとこのあたりは良く分かりません。spモードが駄目であることが都市伝説化して、何でもspモードが悪いということにしておけばOKみたいな部分があるのかもしれません。

spモードメールが消える?という噂について(にーまるどっとこむ。 2012/4/15)

これは、スマホがその性格上、現状ではどうしてもユーザーにある程度のITリテラシを要求せざるを得ないがゆえの課題でもあります。しかしドコモとしては、こういうトラブルが多いということは間違いなく把握しているはずです。それに対して適切な対応を素早く行えていないあたりに、ドコモの製品に対する品質管理の甘さが見えるようです。

また、これは何もドコモだけに限った話ではなく、Androidを扱う国内全キャリアの問題でもありますが、OSアップデートのタイミングがあまりにも他の欧米諸国に比べて遅いということがあります。

現時点でGoogleが提供するAndroid OSの最新バージョンは「4.2.2」です。すでに、キャリア扱いではない「Nexus 7」などのモデルであれば、日本国内でもこの最新OSへアップデートして利用が可能となっています。

しかし、たとえばドコモ扱いのAndroid端末ですと最新は「4.1」、さらに数多くの従来機種は「4.0.x」世代にようやくアップデートされればラッキーといったありさま。はたして今後どの端末が次のOSアップデートに対応されるかも明らかではありません。このあたりは、iPhoneがもはや3年以上も前に発売された古い機種でも、いまだに最新OSへアップデートして利用できていることと比べるとかなりの差を感じてしまいます。

解約した「iPhone 3GS」を「iOS 6」にアップデートした(ちほちゅう 2012/9/21)

これはもう、キャリアとしてきちんと販売端末が最新OSにアップデートに対応できるだけの余力をハード提供会社に持たせる以外に方法はないのではないか、と思います。場合によっては、複数のメーカーの携帯部門を合併させるなど、束ねることを主導してでも、ドコモはユーザーの信頼獲得に足る製品管理やサービス品質担保をしなければならないのは明白です。

あくまでも一つの意見としてとらえるべきでしょうが、Android端末のライフサイクルが、iPhoneに比べてあまりにも短いことを理由に、法人用途での利用が今後下り坂になるのではという論考もあり、ネットの一部で話題となりました。

法人用途ではAndroid端末が嫌われ取り残されそう(坂本史郎の【朝メール】より 2013/2/8)

スマホのOSアップデートは、何も便利な機能が増えるというだけではなく、年を追う毎に厳しくなるサイバー攻撃などに対応したセキュリティ強化も含まれているのが常ですから、国内キャリアもできるだけグローバルな動きに合わせて動いてほしいと感じる次第です。

ましてや、スマホになって従来よりもさらに買い替え期間が長くなるユーザーの割合が増えてきました。端末価格が高いというのもあるのでしょうが、いまだにSamsungの初代Galaxyが現役という人もまた多いわけですけれども、そうなりますとOSのアップデートが最新版対応しないという時点でセキュリティホール全開でドコモのトラフィックとしてウェブの世界を個人情報が駆け巡るわけであります。

本来のユーザーオリエンテッドなサービスとは何であるかをきちんと突き詰めることなしに、ドコモ一人負けとも揶揄される昨今の携帯電話業界事情というのは打開できないのもまた事実でありましょう。この手の界隈の話を業界で聞いていて、亡霊のように夏野剛さんの話題がポッと出たりするのも、サービスやハードを現場レベルでぎゅっと握って事業をきちんと設計できていた強い司令塔(意味としては良くも悪くも)がいなくなってしまったことの証左なのかもしれません。

それでも、いわゆるインフラ周りはKDDIやSBMとは比較にならないぐらい堅牢さを維持できる見込みのドコモ。逆転攻勢の鍵は、この辺の「ユーザーが何を求めているのか」を見つめなおすところなのかなあと思う次第であります。と言いつつ、回復するまでに二年はかかるんだろうけど。