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どうなるYahoo!ニュース? ZHD・LINE・ヤフー合併でサービス統廃合も

山口健太ITジャーナリスト
ZHD・LINE・ヤフーが合併を発表(ZHDのオンライン説明会より)

2月2日、Zホールディングス(ZHD)、LINE、ヤフーの3社が合併を発表し、話題となっています。

今後、ヤフーとLINEで重複しているサービスは統廃合していくとの方針から、「Yahoo!ニュース」がどうなるのかも気になるところです。

ZHD・LINE・ヤフーが「真のワンチーム」に

3社が合併するというニュースについて、「以前にも聞いたことがある」と思う人がいるかもしれません。実は、ヤフーとLINEは2019年に経営統合を発表し、2021年3月にこれを完了しています。

2019年11月にZHDとLINEは経営統合を発表した(筆者撮影)
2019年11月にZHDとLINEは経営統合を発表した(筆者撮影)

2021年3月には経営統合を完了、新生ZHDとなった(ZHD提供画像より)
2021年3月には経営統合を完了、新生ZHDとなった(ZHD提供画像より)

このときの経営統合とは、ヤフーとLINEがZホールディングスの子会社になるという意味でした。これにより、ヤフーの川邊健太郎氏とLINEの出澤剛氏はZHDの「共同CEO」になっています。

そして今回は、会社自体も合併するという発表になっています。背景として、昨今の広告市場の厳しい状況や、Eコマース取扱高の目標が達成できない見通しであることを川邊氏は語っています。

特に課題として挙げたのが「スピード」です。ZHDは共同CEO体制であること、またZHD、LINE、ヤフーという3つの会社それぞれに取締役会、経営会議があり、意思決定に時間がかかっていたとのこと。「各社で、個別最適になっていた面もあった」(川邊氏)といいます。

そこでZHD、LINE、ヤフーの3社を1つの事業会社として合併し、プロダクトファーストで進める「真のワンチーム」にするのが合併の狙いとしています。

ちなみに、同じくZHD傘下にある「PayPay」は合併の対象とはなっていません。

ZHD、LINE、ヤフーの3社が合併。PayPayは対象外(ZHD提供資料より)
ZHD、LINE、ヤフーの3社が合併。PayPayは対象外(ZHD提供資料より)

今後のスケジュールとして、まずは4月1日にZHDの経営体制が変わり、共同CEOから出澤氏の単独CEO体制に、LINEを作り上げたプロダクト責任者の慎ジュンホ氏が代表取締役に加わり、川邊氏は会長としてサポート役に徹するようです。

4月1日以降の体制(ZHD提供資料より)
4月1日以降の体制(ZHD提供資料より)

次に、4月下旬もしくは5月上旬に予定されている2022年度の通期決算発表の場で、新体制となったZHDから合併に向けた詳細が語られる予定です。

実際に合併するのは2023年度中を目処としています。合併後の新会社の名前が気になるところですが、川邊氏によるとまだ決まっていないそうです。

発表後に開かれた決算会見の中では、「2023年度中に合併できたとして、新体制による成果が出てくるのはさらにその先なのか」と疑問の声がありました。この点について慎氏は、「できるところから壁を取り払っていく」方針を示しています。

合併によるユーザーへの影響は?

今回の合併にあたって、ユーザーに影響がありそうなのはコスト削減のために「重複機能やサービスを統廃合していく」という点です。

LINE社長の出澤氏が単独CEOに、また代表取締役のうち2人がLINE出身者となることで、LINE色が強くなる印象があります。この点について出澤氏は「統廃合について、具体的なことはまだ何も決まっていない」と強調しています。

新会社の体制は「事業領域ごとのカンパニー制度を導入予定」となっていることから、たとえば「メディア」や「コマース」といった単位で組織の統合が進むことが考えられます。

そうなると「Yahoo!ニュース」と「LINE NEWS」のように似たようなサービスの存続が気になるところです。ただ、画面構成や使い勝手はそれぞれのユーザー向けに最適化されており、単純に同じものにすることは適さないように思います。

一般ユーザーからの見え方について、出澤氏は「会社の形態が変わり、3つが1つになる。それほど目に見える違いはないが、今まで以上にスピードアップしていく」と語っています。

このことから、ヤフーとLINEのユーザー体験は維持しつつ、それを提供する組織の効率化を図っていくのではないかと筆者は予想しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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