5月13日、楽天グループの2022年1-3月期決算説明会では、午前中に発表した新料金プランに注目が集まりました。質疑応答で三木谷浩史会長兼社長は、0円をやめる背景について踏み込んで語る場面もありました。

楽天経済圏で「3000万ユーザー」を狙う

楽天モバイルは7月1日に始める新料金プランにおいて、特徴の1つだった「1GBまで0円」の廃止に踏み切りました。

これまで「0円」や「タダ」を強調して契約を獲得してきたにもかかわらず、なぜやめてしまうのでしょうか。

まず楽天モバイルの現状は、先行投資によって赤字が続いています。自社エリアを広げ、KDDIに支払うローミング費用を縮小するなど、いかにして赤字を減らしていくかが課題となっています。

モバイル事業は赤字が続いている(楽天グループ決算説明会資料より)
モバイル事業は赤字が続いている(楽天グループ決算説明会資料より)

料金収入も、急には増えていきません。以前にやっていた「1年無料」などのキャンペーンによる無料ユーザーはまだ残っており、それがようやく終わるのが6月末といいます。

キャンペーンによる無料ユーザーは6月末にゼロに(楽天グループ決算説明会資料より)
キャンペーンによる無料ユーザーは6月末にゼロに(楽天グループ決算説明会資料より)

そして7月1日には新料金プランが始まるわけですが、2か月は1GBまで0円のまま、さらに2か月は料金分を全額ポイント還元することで実質無料となります。つまり「0円」のユーザーが1人もいなくなるのは11月からというわけです。

とはいえ、これまで楽天モバイルは「0円」でユーザーを増やしつつ、データ通信の利用増や楽天グループとのシナジーで収益につなげていく構えでした。

楽天回線での平均データ利用量は増えている(楽天グループ決算説明会資料より)
楽天回線での平均データ利用量は増えている(楽天グループ決算説明会資料より)

この点について三木谷氏は、楽天モバイルが想定していた顧客ターゲットとして、価格に敏感な人、楽天グループをよく使う人、大容量データを使うヘビーユーザーの3点を挙げています。

当初はこれらすべての顧客を取り込もうとしていたものの、「ディスカウント戦略から、少し強弱をつけたマーケティングに変えることで、本当の意味でのロイヤルカスタマーに使っていただく」(三木谷氏)と新たな方針を語っています。

いま、楽天経済圏の中で楽天モバイルを使っている人は11%強に過ぎないとのこと。この人たちを楽天モバイルに呼び込むことが次の大きな目標になっており、三木谷氏は「3000万ユーザーが見えている」といいます。

楽天経済圏の楽天モバイルユーザーは11.3%(楽天グループ決算説明会資料より)
楽天経済圏の楽天モバイルユーザーは11.3%(楽天グループ決算説明会資料より)

楽天経済圏の月間アクティブユーザー数は3600万超(楽天グループ決算説明会資料より)
楽天経済圏の月間アクティブユーザー数は3600万超(楽天グループ決算説明会資料より)

質疑応答の後半、質問攻めに疲れが見えてきた三木谷氏は、「0円でずっと使われても困っちゃうというのがぶっちゃけの話。すごく正直に言って」と、踏み込んで語る場面もありました。

povo2.0は「0円プラン」ではない

楽天の「0円廃止」に関連した話題がTwitterのトレンドを占拠するなど、ネット上ではかつてない盛り上がりを見せています。

携帯業界の中では当初から0円に懐疑的な声があったものの、消費者にとっては「0円でユーザーを集めておいて、結局は有料化した」と見えるため、反発を受けるのはやむを得ないでしょう。

一方で、楽天のヘビーユーザーにとってはおトクさが増しているようです。ポイント「+1倍」は最大1000ポイントなので、単純計算で10万円の買い物をする人なら上限に達します。

新たに始まるポイントアップも(楽天グループ決算説明会資料より)
新たに始まるポイントアップも(楽天グループ決算説明会資料より)

毎月それくらいの買い物をする人はだいたいダイヤモンド会員になっているので、さらに「+1倍」で最大2000ポイントを得られます。これは新たに加わる分なので、実際に付与されるポイントは既存の楽天モバイル「+1倍」や楽天カードの「+2倍」などでもっと多くなります。

予備回線などの用途で「0円維持」をしたい人からは、KDDIの「povo2.0」が注目を浴びています。ただ、0円では原価割れしているとみられ、総務省の有識者会議では「価格圧搾ではないか」との指摘もあることから、他の事業者に0円プランが広がるかは微妙なところです。

また、そもそもpovo2.0は0円プランではなく、0円で使い続けることを想定していません。約半年ごとの有料トッピングの購入などが利用の条件になっており、「0円維持」を歓迎しているわけではないことに注意が必要です。