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ポイ活で人気の「TOYOTA Wallet」 キャッシュバック以外の魅力はあるか

山口健太ITジャーナリスト
トヨタの決済アプリ「TOYOTA Wallet」(筆者撮影)

トヨタのキャッシュレス決済アプリ「TOYOTA Wallet(トヨタウォレット)」は、ポイントの二重取りができるカードとして人気を集めています。11月からは新キャンペーンが始まり、新たにQUICPayにも対応するなど動きが加速しています。

TOYOTA Walletは残高をチャージして使う方式のプリペイドカードで、店舗では「iDプリペイド」や「Mastercardコンタクトレス」、QRコード決済では「銀行Pay」や「Bank Pay」、オンラインではMastercardのプリペイドカードなど、多彩な支払い手段に対応しています。トヨタのクルマとは関係なく誰でも利用できます。

2019年11月のサービス開始からしばらくは地味な存在でしたが、2021年に4月にiD/Mastercard利用時に1.5%のキャッシュバックを発表したことで一躍注目を浴びます。クレジットカードによってはチャージに手数料がかかるものの、一時的な「無料対応」が続いており、ポイントの二重取りができました。

この1.5%還元は10月末で終わったものの、11月からは新たに「最大2%」還元にリニューアル。トヨタのクレジットカードを使っていない人にとっての還元率は1%に下がったものの、ポイ活においてまだまだ貴重な存在となっています。

TOYOTA Walletから他の電子マネーなどへのチャージは制限される傾向にあり、11月9日にはnanacoとWAONへのチャージが終了します。Apple Pay対応でポイントを三重、四重に取れることを期待していた人には残念なお知らせです。

その他の注意点として、プリペイドカードなので一部使えない用途があり、支払い上限は1回5万円までで大きな買い物に使えません。iDを利用した日常的な買い物やカード番号を利用したオンラインショッピングには便利に使えており、筆者の個人的な利用頻度は高めです。

キャッシュバック以外の魅力は高まるか

11月5日には、これまで三井住友カードと組んで提供していたiD/Mastercard対応版とは別に、JCBの「QUICPay」対応版を発表。iD/Mastercard版とは別の残高として分けられており、仕組みがやや複雑になった印象はあるものの、用途は広がっています。

QUICPayに対応したJCBプリペイド機能が加わった(トヨタファイナンス提供画像)
QUICPayに対応したJCBプリペイド機能が加わった(トヨタファイナンス提供画像)

なお、QUICPay残高にチャージするにはトヨタの「TS CUBIC CARD」か、その提携カードが必要とのこと。運営会社によれば、新キャンペーンと同様にトヨタのクレジットカードにユーザーを誘導したい意向があるそうです。一方で、従来のiD/Mastercard版についても引き続き提供していくと説明しています。

TOYOTA Walletのユーザー数や決済取扱高などの詳細は公開していないものの、半年以上続くキャッシュバックにより、利用者は着実に増えているとみられます。ただ、そうした還元策を目当てに集まったユーザーは、キャンペーン終了と同時に離れやすい点は気になるところです。

10月にはTOYOTA Walletのアプリに「ミニアプリ」を順次追加していく計画を発表。最初のミニアプリとして「ドコモ・バイクシェア」と「トヨタレンタカー」が加わりました。キャッシュバック以外に、TOYOTA Walletならではの魅力を高められるか注目しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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