【2021年 箱根駅伝・速報】着用率95.7%。参加210人中、201人が「ナイキの厚底」だった!

10区ゴール前での逆転劇。2人とも「ナイキの厚底」を履いていた(写真:日本スポーツプレス協会/アフロスポーツ)

■ゴール目前で創価大が初優勝の栄冠を逃した!

 しびれるレースだった。2021年の箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝)は、箱根出場4回目の創価大が感動的な初の総合優勝を飾るかと思いきや、最終10区の残りあと約2kmのところで駒澤大に逆転された。まさに手に汗握る展開だった。

 驚きの往路優勝から、復路は創価大がどこまで逃げ切れるかが見どころだと思って見ていた人も多かっただろう。つまり、どこかで2位以下の強豪校のどれかに抜かれることになるだろうと。創価大が何区の何キロ地点まで持ちこたえるか。

 しかし創価大はまたもや予想に反して6区から9区まで首位の座を譲らなかった。というか、9区では区間賞まで獲っていた。そうして10区への中継地点では、2位の駒沢大に3分以上の差をつけていた。もはや、優勝は決まったようなものだと思った。

 テレビ解説者も、優勝目前というようなことをコメントしていた。しかし、最後の最後でまさかのドラマが待っていた。

 駒澤大は執念の優勝だったと思う。諦めなければ思いはかなう。そう教えてくれた。

 その他の出場校もそれぞれ頑張った。とくに青山学院大は見事だった。往路12位から、終わってみれば総合4位である。まだまだ「常勝」の看板は下ろしそうにない。

■総合優勝した駒澤大は全員がナイキを履いていた

 さて、そんなわけで往路復路を合計した「ナイキの厚底」調査だが、最終的に参加した210人中、201人(往路99人、復路102人)が履いていた。着用率で実に95.7%である。こんな数字はつい3年ほど前なら考えられないことだった。

 2017年の箱根駅伝におけるメーカー別着用率は1位アシックス(32%)、2位アディダス(26%)、3位ミズノ(23%)、4位ナイキ(17%)の順番だった。2018年は“マラソンの常識を打ち破る”厚底の最初のモデル「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%」を投入したナイキの大逆転が話題をさらい、1位ナイキ(28%)、2位アシックス(26%)、3位ミズノ(18%)、4位アディダス(17%)になった。

 それでも着用率は20%台だ。それが翌2019年から急速に増え始める。

・2019年 着用率41.3%、区間賞占有率70%

・2020年 着用率84.3%、区間賞占有率90%(区間新6つ)

・2021年 着用率95.7%、区間賞占有率90%(区間新1つ)

 優勝した駒澤大はすべての選手が「ナイキの厚底」を履いていた。

 全選手ナイキだったチームは他に、東洋大、東海大、早稲田大、國學院大、順天堂大、中央大、城西大、国士舘大、日体大、山梨学院大、法政大、専修大、学連選抜の13だった。また、2区、5区、6区、8区を走った選手は全員が「ナイキの厚底」だった。

 ただ、着用率9割を超えた今年は、これまでとは少しようすが違った。一口に「ナイキの厚底」といっても、反発性を重視した最新モデルの「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」と、軽さを重視した従来モデル「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」と2つの選択に分かれたからだ。

 アルファフライは言わずと知れた、キプチョゲ選手がそのプロトタイプモデルで人類未踏のフルマラソン2時間切りを達成し、大迫傑選手(ナイキ)が昨年の東京マラソンで日本記録を更新した“ナイキ史上最速”のシューズだ。しかし、反発力が強すぎるとの意見もあって従来のヴェイパーフライも並行して売られている。

■アルファフライとヴェイパーフライはほぼ半々

 往路のデータでは、ナイキ着用選手99人中、アルファフライ51人、ヴェイパーフライ48人とほぼ半々だった。今年の区間賞を見ると以下の通りだ。

1区:鎌田航生(法政3年)アルファフライ

2区:ビンセント(東京国際2年)ヴェイパーフライ=区間新

3区:石原翔太郎(東海1年)アルファフライ

4区:オニエゴ(山梨学院3年)アルファフライ

5区:細谷翔馬(帝京3年)ヴェイパーフライ

6区:花崎悠紀(駒澤3年)ヴェイパーフライ

8区:大保海士(明治大4年)ヴェイパーフライ

9区:石津佳晃(創価大4年)アルファフライ

10区:石川拓慎(駒澤大3年)ヴェイパーフライ

 アルファvs.ヴェイパーの割合は、4対5だった。

【参考記事】ついにベールを脱いだナイキの“スーパー厚底” 「禁止」どころか規則を完璧クリアで東京五輪も席巻か?

 さらにもう一つ、変化が見られた。それは、他メーカーの「厚底モデル」が出揃ったことだ。2019年の箱根駅伝では、「ナイキの厚底」vs.「他メーカーの薄底」の闘いだった。当時はまだ、厚底vs.薄底論争が続いていた。しかし、この3年間で「ナイキの厚底」がつくりあげた実績の前に、論争は終焉していた。薄底シューズ=上級ランナーの“常識”は完全に消え去ったと言ってもいいだろう。

 この間、各メーカーも「ナイキの厚底」を追って、厚底+カーボンプレート+高反発のシューズの開発を進めていた。今回、非ナイキのシューズで出場した9人の選手の多くはこうしたシューズを履いていた。ナイキは“厚さは速さだ”のキャッチコピーで、まさにシューズ業界の常識そのものを打ち破ってしまったようだ。

 いずれにせよ2021年は、「厚底=ナイキ」の構図が少しずつ変化を見せるだろう。それはそれで楽しみである。