世界初! 地震・台風・洪水に負けない“災害に強い家”が伝統工法によって誕生!

玄関の軒を出すことができるのも伝統工法の特徴だ(写真提供:創建)

マグニチュード6以上の大地震の20%が日本で起きている

 日本は自然災害の多い国だ。2019年も8月の九州北部豪雨に続き9月、10月と相次いで関東広域を襲った大型台風など、いずれも甚大な被害をもたらした。それは、世界的に見ても突出していると言ってもいい。

 世界各国の豪雨や熱波といった気象災害による影響を分析してきたドイツのシンクタンク「ジャーマンウォッチ」が発表した報告書によると、日本の気象災害による損失額は2018年には358億ドルをこえ、被害規模では世界1位だった。

 地震についても、同様だ。世界で起きる地震の約10%、マグニチュード6.0を超える大地震の約20%が日本で発生しているという数字はよく知られている。世界に占める日本の国土面積がわずか0.25%であることを考えると、その地震大国ぶりがわかるだろう。

 さらに、こんなデータもある。

 不動産比較査定サイト「リビングマッチ」が同サイト利用者にアンケート調査を行ったところ、自然災害の被害にあった人が全体の15.2%、7人に1人強にのぼっていた。被害にあった際にどんな住宅に住んでいたかという質問には、「戸建て(持ち家)」がいちばん多く74.0%、次が「集合住宅(賃貸)」(10.0%)、「戸建て(賃貸)」「集合住宅(持ち家)」がともに6.0%と、戸建て率が全体の80%と高いことがわかった。

 そんな日本で安心して戸建てで暮らすにはどうすればいいのか。

世界最古の木造建築・法隆寺はなぜ、1300年ももっているのか?

 ヒントになるのが、実は日本に古からある伝統工法だ。日本の神社・仏閣といった歴史的な木造建築は「木組み」とよばれる工法でつくられている。これは、釘や金物をいっさい使わず、木材をパズルのように組み上げる技術で耐震性・耐久性に優れているとされている。世界最古の木造建築である法隆寺が1300年も現存していることがなによりの証明だ。

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組み上がるとこうなる(筆者撮影)
組み上がるとこうなる(筆者撮影)

 木組みがすごいのは、単に耐震性が強いだけではない。建物の躯体に大きな力が加わり歪んでも、元に戻る復元力がある。そのため、何度大きな地震に見舞われても、構造が劣化することなく存在できる。木組みは古代からの免震構造といってもいい。

 下の写真は、木材の接合部に金物を使った従来工法と木組みで組んだ場合の耐久性を実験したものだ。上から徐々に圧力を加えると、ご覧の通り、金物を使った接合部は早い段階でひび割れが始まることがわかる。

北海道立総合研究機構での実験(写真提供:創建)
北海道立総合研究機構での実験(写真提供:創建)

 しかし、当然のことだがこの工法にも欠点がある。いわゆる宮大工と呼ばれる特別な職人がすべての木材部品を手作業でつくらなければならないため、完成までに何年もかかり、なにより建築費が坪単価200万円~300万円以上と非常に高くつく。そのため、この工法で一般住宅を建てるというのは、とてもじゃないけど非現実的な話だった。

宮大工の「技」を工場の機械で再現することに成功した!

 その不可能を可能にしたのが、大阪の建設会社「創建」のグループ会社である「木の城たいせつ」(本社・北海道)のイノベーションだ。木の城たいせつの創業者は宮大工で、自らの技術を工場で機械によって再現することに成功し、大幅なプライスダウンを実現した。実は、私は以前にも一度、この創建グループの話を記事にしている。

(参考記事)3.11東日本大震災から8年 50人の人命を救った神社の再建プロジェクト始まる!

東日本大震災で被災した福島県浪江町の神社が再建された(筆者撮影)
東日本大震災で被災した福島県浪江町の神社が再建された(筆者撮影)

 記事に出てくる〈北海道にある伝統木造建設会社〉というのが、実は木の城たいせつのことだった。木の城たいせつと創建は、これまでこの技術を使って災害に被災した神社の無償再建プロジェクトを手掛ける一方、有償での神社建設も請け負ってきた。その経験と実績を、こんどは一般住宅に応用し、地震・台風・洪水に負けない“災害に強い家”を提供しようというわけだ。

伝統工法で組み上げた住宅は見た目にも美しい(写真提供:創建)
伝統工法で組み上げた住宅は見た目にも美しい(写真提供:創建)

 この秋、関東地方を襲った大型台風は、長期の停電、ライフラインの寸断、洪水といった被害をもたらした。今回、発表された“災害に強い家”は、前述の伝統工法に加えて最新の設備を設置することで、そうした事態にも備えている。まずは、3.6wのソーラー発電機と5.2wの家庭用蓄電設備だ。これによって、日照がある限り、電気が途絶えることがなくなる。さらに、その電気を使って、空気から水をつくる空気製水器なるものが標準装備される。

 これは、もともと砂漠などで戦争をするために開発された米軍の技術を民生化したものだ。空気中の水分を強制的に結露させ、浄化することで、ウォーターサーバー並みの上質の水が1日30リットルもつくれるという。家庭使用としては十分な量だ。こうした発電、整水システムは、災害時はもちろん、平時には光熱費、水道代の削減に貢献することにもなる。さらに、津波や洪水が発生したときに逃げ込む“シェルター”までついている念の入れようだ。

津波や洪水の時に逃げ込む防災シェルター(筆者撮影)
津波や洪水の時に逃げ込む防災シェルター(筆者撮影)

 さて、気になる価格だが、「一般の住宅メーカー並み」。具体的には、例えば3LDKのファミリータイプで販売価格2000万円台~(もちろん土地は別)だという。まずは年明けから試験販売を行い、本格販売は2020年秋ごろだというから、来年の台風シーズンには間に合わないか(?)