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【連載企画】365日後の覇者たち ー2021年の東京五輪に向けて

(写真:つのだよしお/アフロ)

1年後の東京五輪に向け、全19人のアスリートを紹介する連載企画

1年後に延期された「東京2020オリンピック」。新型コロナウイルスによって数々の大会がなくなり、練習環境にも苦労するアスリートたちですが、その目は毅然と前を見つめています。この連載は、21年夏に行われる東京五輪の競技日程に合わせて、毎日1人の選手にフォーカスし、365日後の覇者を目指す戦士たちへエールを送る、Yahoo!ニュース 個人オーサーの矢内由美子さんによる企画です。7月21日から8月8日まで毎日、全19人を取り上げます。

8月8日 新体操(杉本早裕吏)

「五輪の悔しさは五輪で返したい」新体操フェアリージャパン・杉本早裕吏キャプテンは前を向く

(撮影:藤田孝夫)
(撮影:藤田孝夫)

ここ数年、右肩上がりに実力を伸ばしている新体操団体の日本代表「フェアリージャパン」。14年から主将を務める杉本早裕吏(すぎもと・さゆり、24=トヨタ自動車所属)は、東京五輪の1年延期に大きなショックを受けながらも、再び前を向いている。

2015年世界選手権では、団体種目別リボンで40年ぶりの銅メダルを獲得。表彰台を狙った16年リオデジャネイロ五輪はミスが出て団体総合8位に終わったが、17年以降は世界選手権の表彰台にコンスタントに上がっており、19年にはとうとう種目別ボールで団体史上初の金メダルを手にした。

1年後の8月8日は、東京五輪最終日にして、新体操の団体総合決勝が行われる日。妖精たちが五輪の閉幕を華やかに締めくくるとき、世界に平和が訪れているはずだ。

8月7日 空手(西村拳)

最初で最後の五輪”になる可能性も。空手界のプリンス・西村が情熱を注ぐ理由

(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

東京五輪で初めて採用された数々の新競技の中でも、空手は特別だ。日本生まれのスポーツであることだけが理由ではない。現時点で24年パリ五輪では採用されておらず、“最初で最後”になる可能性もあるからだ。

東京五輪の空手で組手男子75キロ級の代表に内定している西村拳(24=チャンプ所属)は、空手の元世界チャンピオンを父に持ち、端正なルックスと金メダル候補の実力を兼ね備えている「空手界のプリンス」だ。

本来なら東京五輪で同種目の決勝が行われる予定だった8月7日に合わせての取材。新型コロナウイルス の影響に気を揉みながらも、1年後に懸けるひときわ強い思いを語った。

8月6日 競歩(鈴木雄介)

リオ五輪不出場は「言葉に言い表せられぬ喪失感」競歩・鈴木雄介が挑む9年越しの夢

(写真:ロイター/アフロ)
(写真:ロイター/アフロ)

「なぜあの場に自分はいないのか」。2016年のリオデジャネイロ五輪を前に「金メダル候補」とまで期待を集めながら、出場がかなわなかった選手がいる。陸上男子競歩の鈴木雄介(32=富士通所属)だ。

15年3月に20キロ競歩で世界新記録を樹立し、脚光を浴びた。しかしその2カ月後に股関節を負傷。同年8月の世界選手権は途中棄権となり、リオ五輪出場も逃した。「引退も考えた」というが、懸命なリハビリをへて19年9月、世界選手権50キロ競歩で復活の「金」。東京五輪代表に内定した。「世界一美しい歩形」と称される鈴木は、延期の1年をどう歩むのか。8月6日は東京五輪で50キロ競歩が行われる1年前。36位だったロンドン五輪以来となる9年越しの大舞台に懸ける思いを聞いた。

8月5日 スポーツクライミング(楢崎智亜)

初代五輪金メダリストを目指すスポーツクライミング楢崎智亜 自粛期間中の「進化」

(写真:田村翔/アフロスポーツ)
(写真:田村翔/アフロスポーツ)

東京五輪からの新競技・スポーツクライミングで初代金メダリストの座を目指す楢崎智亜(ならさき・ともあ、24=TEAM au)が、五輪本番1年前となる8月5日を前にインタビューに応じた。「スピード」「ボルダリング」「リード」の3種目の複合で競う五輪方式で 行われた2019年世界選手権を制して日本代表に内定し、最高の流れに乗っていた矢先の1年延期。想定外だった出来事をどのように乗り越え、1年後に生かしていこうとしているのか。(※楢崎の崎はつくりの上部が「立」)

8月4日 レスリング(川井梨紗子)

レスリング川井梨紗子「伊調馨さんは大きな存在」 4連覇女王の壁を超えたエースの境地

(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

“日本のお家芸”女子レスリング。 東京五輪で2階級目の金メダルを目指すのが、エースの川井梨紗子(25=ジャパンビバレッジ)だ。

16年リオデジャネイロ五輪63キロ級で頂点に立った後に階級を変更し、東京五輪は57キロ級で代表に内定している。1年後、 57キロ級の試合がスタートするのは8月4日。この日に合わせてインタビューに応じた川井が、自身を強くさせた伊調馨との闘いや、五輪の1年延期を受けて新たに取り組んでいることについて語った。

8月3日 体操(内村航平)

鉄棒金メダリストとの再会に運命を感じた日。内村航平が1年後の8月3日に見せたい光景

(写真:松尾/アフロスポーツ)
(写真:松尾/アフロスポーツ)

体操史上最高のオールラウンダーとして知られる内村航平(31=リンガーハット)が、この夏、大きな決断を下した。自身のアイデンティティーとしてこだわり続けてきた個人総合での東京五輪挑戦を封印し、種目別の鉄棒のみに絞って出場を目指すことを表明したのだ。

五輪3大会に出場し、16年リオデジャネイロ五輪では個人総合2連覇、および団体総合との2冠を達成。世界選手権の個人総合では前人未踏の8連覇の記録を持つ。

“キング”はどのような過程を経て、決断に至ったのか。背景には「鉄棒の神様」の異名を取る金メダリストとの再会があった。

東京五輪体操競技の大トリとなる種目別鉄棒決勝は、1年後の8月3日に行われる。内村は「最後にドカン!といく演技をしたい」と意欲を燃やしている。

8月2日 バドミントン(桃田賢斗)

「東京五輪で恩返しをしたい」バドミントン桃田賢斗の最終目標とは

(写真:エンリコ/アフロスポーツ)
(写真:エンリコ/アフロスポーツ)

2018年9月から男子シングルス世界ランキング1位を継続中。18、19年の世界選手権を連覇中。19年に積み上げたツアー大会優勝11回は、男子シングルスの年間最多記録だ。バドミントンの桃田賢斗(25=NTT東日本所属)は押しも押されもしない“最強選手”である。

8月2日は東京五輪のバドミントン男子シングルス決勝が行われる1年前。桃田が東京五輪に託す思いとは何か。そして、その先にある究極の目標とは何か。

8月1日 自転車競技(中村輪夢)

「僕次第で未来が変わる」BMXの18歳エース・中村輪夢が東京五輪に懸ける思い

(撮影:ファーストトラック/Naoki Gaman)
(撮影:ファーストトラック/Naoki Gaman)

東京五輪の延期は、夢を信じてまっしぐらに突き進んできた10代のアスリートたちの心にも、容赦なく影響を及ぼしている。東京五輪からの新種目である「自転車BMXフリースタイル・パーク」男子のホープ、中村輪夢(なかむら・りむ=ウイングアーク1st所属)も、そのうちの一人だ。

BMXライダーだった父の影響で3歳でBMXに乗り始めた中村は、15歳でプロになり、今では国内外の大会でつねに注目を浴びる存在だ。BMX界で最も脂がのっているとされるのは25歳前後。昨年のワールドカップで総合優勝を飾り、東京五輪の金メダル有力候補として期待される18歳を、世界は驚きを持って見つめている。

競技1年前の8月1日に合わせてインタビューに応じ、現在の率直な気持ちや五輪への原動力となる思いについて語った。

7月31日 柔道(大野将平)

「東京五輪は柔道にとって2周目」の意味とは 絶対エース・大野将平が証明したいこと

(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

2016 年リオデジャネイロ五輪柔道男子73キロ級金メダリストの大野将平(28=旭化成所属)にとって、東京五輪は同階級の連覇に加え、新種目として加わった混合団体戦との2冠を目指す大会になる。7月31日は東京五輪で柔道混合団体の試合が行われる365日前。男子日本代表の井上康生監督が唱える「最強かつ最高の柔道家」を目標とし、古き良き柔道の本質を世界に知らしめたいと考える大野。エースが1年後に開催される東京五輪への思いを語った。

7月30日 トランポリン(森ひかる)

トランポリン界のニューヒロイン・森ひかる 天真爛漫な21歳の「武器」

(写真:アフロ)
(写真:アフロ)

天真爛漫な世界女王が、地元で開催されるスポーツの祭典に胸を焦がしている。トランポリンの19年世界選手権女子金メダリストで、東京五輪の日本代表に内定している森ひかる(金沢学院大3年、金沢学院大クラブ所属)は、東京都出身の21歳。武器は、縦3回宙返りにひねりを入れた2種類の「トリフィス」という大技だ。

7月30日は東京五輪で行われるトランポリン女子決勝の1年前。日本トランポリン界悲願の金メダルを目指すニューヒロイン候補にスポットを当てる。

7月29日 バスケットボール(渡嘉敷来夢)

「東京五輪も、パリ五輪も」女子バスケの至宝・渡嘉敷来夢 金メダルに懸ける思い

(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

大黒柱。100年に1人の選手。渡嘉敷来夢(とかしき・らむ、29=ENEOSサンフラワーズ)は、誰もが認める日本女子バスケットボール史上最高の万能プレーヤーだ。

身長193センチという世界基準の高さがあり、得点力やリバウンド力に優れている。走力や俊敏性も備えている。国内の「Wリーグ」では6年連続、合計7度のMVP受賞。日本代表としては2016年リオデジャネイロ五輪でベスト8入りの立役者となった。

日本女子は東京五輪の目標として「金メダル」を掲げている。開催が1年後となった今、渡嘉敷の思いに変化はないのだろうか。率直な思いを聞いた。

7月28日 バレーボール(石川祐希)

バレーボール石川祐希「世界のトッププレーヤーへの道は6合目。東京五輪は重要な通過点」

(写真:株式会社グッドオンユー提供)
(写真:株式会社グッドオンユー提供)

「世界のトッププレーヤーになる」という目標を定め、バレーボールのプロ選手としてイタリアに渡って3年目の石川祐希(24)。プロリーグのセリエAで毎年ステップアップを果たしてきた彼は今シーズン、強豪チームであるパワーバレー・ ミラノでプレーする。

日本男子バレー界のエースアタッカーは、自身が定めた山頂に向かって今、何合目に到達しているのか。イタリアで石川自身が実践してきたこと、そして、東京五輪は自身にとってどんな位置づけであるのかをインタビューで聞いた。

7月27日 トライアスロン(上田藍)

4度目の五輪を目指す国際トライアスロン連合理事。上田藍の武器は「ポジティブシンキング」

(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

国際トライアスロン連合(ワールドトライアスロン)理事および日本トライアスロン連合理事にして、4度目の五輪を目指す八面六臂のスーパーウーマンがいる。トライアスロン女子の上田藍(うえだ・あい、36=ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター)だ。

トライアスロンはスイム(水泳)・バイク(自転車)・ラン(長距離走)の3種目を1人で連続して行う競技で、上田は2008年北京五輪から16年リオデジャネイロ五輪まで3大会連続で出場している。彼女の一番の武器は 怪我すらチャンスにした「ポジティブシンキング」。1年後にトライアスロン女子決勝が行われる7月27日に合わせてインタビューを行い、胸の内を聞いた。

7月26日 卓球(伊藤美誠)

五輪初の卓球3冠「つかみ取る」 “大魔王”の異名・伊藤美誠が見据える1年後の自分

(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

「東洋の魔女」(女子バレー)が1964年東京五輪のシンボルなら、2度目の東京五輪の“顔”となるのは「大魔王」かもしれない。卓球の3種目で代表に内定している伊藤美誠(19=スターツ所属)だ。今年4月に女子シングルス世界ランキングで日本勢として初めて2位となった伊藤は、卓球王国・中国の強豪選手を相次いで破った2018年から、中国国内で「大魔王」の異名をとっている。そんな若きエースは今、1年後の自分の姿をどのように見ているのか。開催延期の影響はあるのか。本人を直撃した。

7月25日 競泳(瀬戸大也)

最も応援されるべきスイマーの1人。瀬戸大也は発想力と情熱で苦難を乗り越える

(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

東京五輪を目指す全てのアスリートが衝撃を受けた「1年延期」の決定。それまで重ねてきた苦労と努力が多ければ多いほど、選手たちが感じたショックは大きかった。

日本の競泳陣でただ1人、東京五輪の代表に内定している瀬戸大也(26=ANA所属)は、延期決定から約2週間後の4月10日、SNSに「喪失感で抜け殻になりました」と率直な心情を吐露した。それから3カ月あまり。今は自身の気持ちが再燃してくるのを待っている時期のようだ。

7月25日は、瀬戸が1つ目の金メダルを狙う競泳男子400m個人メドレー決勝の1年前。「365日後の覇者」を目指すエーススイマーは爆発すべき日に備えて静かに前進している。

7月24日 ウエイトリフティング(三宅宏実)

「父の苦労が生かされている」東京五輪を集大成に、ウエイトリフティング・三宅宏実の覚悟

(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

父は1968年メキシコシティ五輪銅メダリストにして、現在は日本ウエイトリフティング協会会長を務める三宅義行氏。伯父は60年ローマ五輪銀、64年東京五輪金、68年メキシコ五輪金の三宅義信氏。世界に名だたるウエイトリフティング一家に生まれた三宅宏実(34=いちご株式会社所属)の経歴は華麗だ。五輪には女子48キロ級に4度出場し、12年ロンドン五輪銀メダル、16年リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得している。

7月24日は、東京五輪で女子49キロ級(※今回から変更)の試合が行われる365日前。5度目となる五輪で3大会連続メダルを目指す三宅が、ベテランならではの揺れる思いと、再び東京五輪に向かって立ち上がった理由を語った。

7月23日 開会式(右代啓祐)

「僕だけメダルがなかった」リオ五輪旗手の右代啓祐 十種競技の表彰台に懸ける思い

(写真:ロイター/アフロ)
(写真:ロイター/アフロ)

吉田沙保里や福原愛、井上康生など、名だたるアスリートが務めてきた五輪の旗手。開会式で選手団の行進を先導するその大役を2016年のリオデジャネイロ五輪で担ったのが、陸上十種競技の右代啓祐(うしろ・けいすけ=国士舘クラブ所属)だ。

競技では力を出し切れず、リオ五輪は右代にとって苦い記憶だ。しかし、他方でそれは右代が東京五輪で「必ずメダル獲得」を目指す原動力にもなった。勝者が"キング・オブ・アスリート"とも呼ばれる陸上十種競技。日本のパイオニアである右代は、東京五輪に向けて、いま何を思うのか。1年延期された開会式の365 日前となる7月23日に合わせ、胸の内を語ってもらった。

7月22日 サッカー(堂安律)

堂安律「本田さんに頼る必要はない」 虚無感からギラギラ感へ。東京五輪への熱

(撮影:藤田孝夫)
(撮影:藤田孝夫)

オランダ1部の名門・PSVアイントホーフェンでプレーする堂安律(22)は、東京五輪のサッカー男子日本チームの中心選手として活躍が期待されている。

高2でJリーグデビューを飾り、高3でプロになった。2017年夏にオランダ1部フローニンゲンに移籍し、活躍を認められて2019年にPSVへステップアップ。昨季はシーズン途中で出番が激減するという困難な状況にあったが、「あの時期があったから自分を見つめ直すことができた」と冷静に分析し、母国開催の五輪出場には「絶対に俺が結果を出してやる」と意気込む。東京五輪への期待やマスコミからの評価、本田圭佑のオーバーエイジ枠での五輪参加についてなど、インタビューで率直な思いを聞いた。ストレートで外連味のない語りが、心地よく響く。

7月21日 ソフトボール(峰幸代)

ソフトボール峰幸代、北京五輪での秘話を語る 東京へは「もっと良い状態に持っていくための1年間に」

(写真:ロイター/アフロ)
(写真:ロイター/アフロ)

1年後に延期された東京五輪。7月21日は、全競技の一番手としてソフトボールがスタートする日(21年7月21日)の365日前だ。20歳の時に出場した2008年北京五輪で、日本ソフトボール界にとって初となる金メダル獲得に貢献した日本代表候補捕手・峰幸代(32=トヨタ自動車所属)にインタビューをして、東京五輪への思いを聞いた。

北京五輪ではエースの上野由岐子投手が投げた「伝説の413球」をすべて受けた正女房。32歳になった今、東京五輪に何を求め、挑もうとしているのか。

【この連載記事は、Yahoo!ニュース個人の企画支援記事です。オーサーが発案した企画について、編集部が一定の基準に基づく審査の上、取材費などを一部負担しているものです。この活動は個人の発信者をサポート・応援する目的で行っています。】

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