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「北朝鮮は韓国を簡単に追い抜く」辺真一氏が語る、そのポテンシャルとパートナー【特別企画】

『辺真一のマル秘レポート』

朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)と日本との間には、拉致問題ほか多くの未解決事項が存在しており、1948年の北朝鮮独立から70年以上を経た現在も国家承認・国交正常化には至っていません。大韓民国(以下、韓国)との関係も、安定して良好とは言い難い状況が続きます。

昨年はアメリカとの距離を急速に詰め、国際情勢において新しい局面を迎えた印象もありましたが、北朝鮮は未だ謎多き国のまま。

韓国国民の対日感情などは偏向報道だとよく問題視されますが、朝鮮半島に関するメディアの情報には憶測やデマ・煽りも多分に含まれており、私たちがその実態を窺い知ることはできません。

そんな朝鮮半島問題報道に関する第一人者として知られるのが、ジャーナリストの辺真一さん。数多くのテレビやラジオに出演し、専門誌『コリア・レポート』の編集長を務める辺さんは、ヤフーニュース個人でも約800本の記事を執筆・配信しています。

2014年6月から続く有料連載『辺真一のマル秘レポート』でも、有料版だからこその提供内容で人気を博す辺さんに、メディアが報じない北朝鮮の可能性、今後の日本が外交上進むべき道筋などについて、じっくりとお話を伺いました。

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――昨年急展開をみせた北朝鮮とアメリカの関係構築は現在停滞中という印象ですが、今後好転していく可能性はあるのでしょうか。

辺:長期的に見れば、必ず好転するでしょうね。今年トランプ大統領が再選され、米朝会談が再開されれば数年内には関係改善すると思われるものの、確実に北朝鮮側に歩み寄りの姿勢が見えてくるはずです。日本との諸々の交渉も、それにあわせて進展することでしょう。

日本国内には「国交なんか断絶したままでいい!」という強い意見を持つ人は多くいますが、北朝鮮=とにかく無条件でシャットアウトするべき相手、というのは正しい考え方ではないと思います。

――ただ、北朝鮮という国に対しては、どうしても怖さや不気味さのイメージが先行してしまいます。

辺:わからない国だからこそ、もっと貪欲に知ろうとする姿勢が必要です。中国もつい四十年前までは似たようなイメージの国だったと思いますが、早い段階からその可能性に目を向けていた人は大成功していますよね。

メディアで報じられる情報だけでなく、考え方や歴史までをきちんと知ることで、はじめて「国」というものは理解できるはずです。

私は年間100回近く講演会をおこない、さまざまな情報を紹介していますが、日本人はそういう場で全く質問をしてこないという傾向が強い。同じような講演会を韓国でやれば、とにかく質問の嵐。韓国の人たちは、「知らないことを放置しておくことが本当の恥」という意識を強く持っています。

怖いから、不気味だから、と放置するのではなく、理解できるまで学ぼうとする努力が日本人にはもっともっと必要です。

――朝鮮半島に関する諸々については日本人の多くが関心を持っていますが、その大半はネガティブなものだと思われます。一方で、世界三大投資家の一人であるジム・ロジャーズは「北朝鮮に投資したい」という旨の発信を何度かおこなっています。これにはどういう背景があるのでしょうか。

辺:北朝鮮という国は、確かにカントリーリスクの塊です。ただ逆説的には「白いキャンバス」を持っている数少ない国のひとつであり、決して蔑ろにはできない大きなポテンシャルを秘めています。

だからこそ、投資観点でみれば大きなリターンを得ることが期待できる国だと映るのでしょうね。もちろん歴史的な背景などは一切加味しないでの発言ですが、そういうフィルタを外してマクロな視点でみれば、魅力的な面が多いのも事実なんですよ。

――「北朝鮮のポテンシャル」について、私たちは上手くイメージすることができません。詳しく教えていただけないでしょうか。

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辺:そうですね。例えば現時点で韓国との経済格差は大きいですが、主に「地下資源」と「立地」の2点から、国交がオープンになりさえすれば、北朝鮮は簡単に韓国を追い抜く可能性が高いと言えるでしょうね。

まず地下資源についてですが、北朝鮮は金銀銅鉄やレアアースなどの鉱石資源を非常に多く保有していると言われています。原油の採掘もおこなっているとみられ、それらを輸出できる状況になれば、一気に安定した経済基盤が確立できるでしょう。資源価値の合計額だけでも600兆円を超える規模だと見込まれています。

そして、ロシア・中国という超巨大マーケットを抱える大国に隣接し、韓国と陸を接し、海を挟んで日本と対面している点も大きい。北朝鮮は国内に勤勉な労働者を数多く抱えていますが、実は教育水準も高い国なんです。

前述の地下資源について、採掘から加工までを一貫して国内で対応できるようになれば、あとは隣接国に輸出するだけでシンガポールのように発展するでしょうね。

――逆に、そこまで高い可能性を持ちながら、どうして現状に長い間甘んじてしまっているのでしょうか。

辺:一緒に発展を遂げていくためのパートナー国を選べていない、という問題が大きいでしょうね。

まず中国。一見両国は密接な関係にあるように見えますが、このまま中国と組んでしまうと、北朝鮮は隷属関係的な構造から抜け出せなくなってしまいます。さらに、国連安保理への北朝鮮制裁緩和要求の流れを見る限り、最近は関係性自体も悪化しているのではないでしょうか。

朝鮮半島のことわざに「虐める姑よりも、止めるフリする小姑がねたましい」というのがありますが、助けるフリしかしない中国に対し、プライドの高い北朝鮮側から歩み寄るようなことはしないでしょう。

アメリカと組んだ場合は、一気に資本主義・民主主義に傾倒してしまうリスクが大きいという問題があります。東西ドイツ統合時がいい例で、現体制を維持したい北朝鮮としては、アメリカとベッタリというのも悩ましいところでしょうね。もちろん韓国と融合するようなことはできません。

――いずれの国も北朝鮮としては組みづらい理由がある、と。

辺:はい。それらの背景を踏まえて私は、北朝鮮は拉致問題の解決に乗り出し、日本と組むだろうと確信しています。まず日本は北朝鮮に対して内政干渉をおこないません。軍事的な意志もなく、あるのは技術と資本だけ。日本側としても、資源保有国と組めるメリットは大きい。

しかも日本は、朝鮮半島を統治していた時代の原油や地下資源に関するデータも持っています。総合的に考えて、日本はちょうどいいパートナーになるのではないでしょうか。

もちろん両国間の諸々の外交や政治上の問題の解決は一筋縄ではいきません。さらに、当面は北朝鮮への経済協力というか「持ち出し」の形で、日本側が技術面や資金面の援助を上手く誘導していく必要があります。

ただ、例えば日韓の国交正常化の際には佐藤栄作が「投資」として3億ドルを支払いましたが、55年間の日韓貿易で通算すれば60数兆円の貿易黒字となって返ってきたように、北朝鮮からも大きなリターンを得られる可能性はとても高いと思っています。

――ありがとうございます。普段私たちが考えたこともなかった北朝鮮の姿をイメージすることができました。ところで、辺さんが2014年から有料連載をしている『辺真一のマル秘レポート』では、どういう情報を発信されているのでしょうか。

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辺:ほかのニュースや論者が知らない秘密の情報を、どこよりも早く提供しています。有料版の読者には有識者やテレビマンなども多く、時間差で知った頃には「もう遅い」となるような情報も発信しています。それらは、早いタイミングで知ることにこそ高い価値があるのです。

また、「なぜ知るべきなのか」という前提情報からしっかりと紐解いて解説をしているので、内容もとても理解しやすいものになっていると思います。そもそも「知るべき情報」というのは、受動的に待っているだけでは入ってきません。知るべきタイミングで、自主的に学ぶことが何よりも大切です。

だからこそ「どこよりも早く、知るべき情報を理解しやすく伝える」ことを重視しているこの連載は、正直なところ大変な労力をかけて書いています!(笑)。ですが、この発信の価値を、1人でも多くの人に理解してもらいたいという期待があるからこそ、私は執筆を続けているのです。

繰り返しますが、北朝鮮と日本の関係性は今後数年で大きく変わっていくはずです。今知らないから、とこのまま知らないままでいることは、あらゆる面で悪手と言えるでしょう。この連載は読むだけで、誰よりも早く北朝鮮の知るべき情報が手に入れられるのですから、両国の距離感が密接になるまでの準備対応としてもおすすめですよ。

『辺真一のマル秘レポート』

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辺真一(ピョン・ジョンイル)

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年評論家活動開始。98年ラジオ「アジアニュース」パーソナリティー。03年沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。著書に「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人、残念な日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など25冊。

【この記事は、Yahoo!ニュース 個人の定期購読記事を執筆しているオーサーのご紹介として、編集部がオーサーにインタビューし制作したものです】

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