【Yahoo!ニュース 個人】2月の月間MVAとMVCが決定

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

■Yahoo!ニュース 個人、2月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選4本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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2月のMVA

消えたシウマイ弁当4000食どこへ?積み込み当日の昼、英国人男性がふ頭で発見(井出留美)

筆者による受賞コメント:取材していた乗船客に「徹底的に調べて」と言われ、懸命に追跡しました。3.11の時、海外からの支援食料を被災地に届けようとして国内でたらい回しにあい、断念した体験があります。結局、その時の体験が今の仕事につながったわけですが、多国籍の人への食料支援の難しさ、関係各所を追っても真相にたどり着けないもどかしさは3.11当時を彷彿させました。弁当の行方を追い、船に積み込むところまではたどり着けましたが、そこから先がどうしてもわからない。それでも乗船客には「動いて下さり感謝しかありません」と言われ、読者が「どこまで追及しても結論が出ない。それをありのままに伝える。これこそ報道だ」との趣旨を書いて下さっていたのは嬉しく、救いになりました。乗船客が下船された日、新幹線の座席にシウマイ弁当が置かれた写真を投稿されていました。連絡したら「締めくくりはシウマイ弁当と決めていました」とのこと。いつの時代も、食べられなかった食べ物の恨みは恐ろしいと思いました(笑)(井出留美

選出理由:新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で、寄付されたシウマイ弁当4000食の行方を追った記事の続報です。税関や検疫所など8カ所に取材した初報に続き、乗客のものとみられるSNS投稿を引用・分析しながら行方を追跡。食品ロス問題をテーマにする筆者の執念を感じさせる記事で、非常時の食料支援についての提言にも説得力がありました。

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新型コロナ感染が広がる中国で生活してみた。今日の北京は、明日の日本?(宮崎紀秀)

筆者による受賞コメント:私が住む北京のマンションが、出入りのための証明書を新たに発行した。それが記事を書くきっかけとなった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、人の移動を管理するのが目的。いかにも中国らしい官僚的で理不尽なやり方と感じた。しかし、未知の事態でもある。感染症に対する防疫措置とは、どこの国にあっても、個人の自由と相克せざるを得ないのかもしれなかった。加えて、中国で次々と繰り出される対策は、不合理なものもあれば、滑稽だと思えるものも多かった。一種のパニック状態である。一方、当時の日本社会はまだ危機感が足りなかった。いずれ直面するかもしれない感染拡大の事態に、政府、社会、個人が同様のパニックに陥らないよう心構えをすべきとの思いで、防疫“先進国”中国の現状ルポに警鐘を込めた。(宮崎紀秀

選出理由:新型コロナウイルスの影響で一変した北京市内の街の様子を写真とともに伝えた記事です。マスクが50枚8000円、マンションの入口で身元確認、映画館は閉館、宅配便の荷物は外に放置など、街の様子が細かくわかります。取材が難しい状況下でも、潜り抜けて情報を発信するという筆者の思いもこもった記事です。

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感染症対策といえども医師は休めない? 医療現場の状況(山本健人)

筆者による受賞コメント:ご評価いただき大変光栄です。医療現場での過重労働がよく問題視されますが、「医師の絶対数が足りないケース」と「医師数は足りているものの分業がうまくいかないケース」を分けて考える必要があります。後者には、日本の医療の特殊性を背景にした構造的な問題があると考えています。医師ー患者間の理解が深まれば、その解決に一歩近づきます。本記事がその一つのきっかけになれば幸いです。(山本健人

選出理由:新型コロナウイルスに感染した医師が発熱後も勤務していたことを受け、医師が「休めない」日本の医療体制について現場ならではの視点で書かれた記事です。「主治医制」を解説したうえで、求められる医療の仕組みについて言及しており、日本の医療現場の今をわかりやすく伝えています。

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新型コロナウイルス疑いで邦人入国拒否 インドネシアの「日本神話」に影(米元文秋)

筆者による受賞コメント:記事を書いた後、インドネシア国内初の新型コロナ感染者が確認され、日本人感染者との接触歴があったとの発表があった。それを機に、在住日本人が差別的言動を受けたとの情報が日本大使館などに寄せられている。インドネシア人の多くは私たちに友好的であり、差別的言動は一部だと信じたい。互いの不安にまっすぐ向かい合いたい。

米元文秋

選出理由:感染拡大が続く新型コロナウイルスの影響により、インドネシアにおいて日本人が入国拒否の対象とされたというニュースについて掘り下げた記事です。ダイヤモンド・プリンセス号に乗船していた多数のインドネシア人乗員の処遇から、日本のイメージが棄損された懸念について解説するなど、見落としがちな情報も現地から伝えています。

2月のMVC

『野村克也さん死去、84歳 名捕手、名将、名解説』の記事へのオーサーコメント(横尾弘一)

筆者による受賞コメント:「取っつきにくい人の話ほど、聞き応えがあるだろう」野村克也にそう言われ、頷きながら二人で大笑いしたことがある。若い頃、野村はもちろん、川上哲治や西本幸雄のインタビューは緊張した。けれど、何とか食らいつけば、自分の生き方にさえ影響するような貴重な話を聞くことができた。そして、その経験は将来にも役立つものだと実感している。気軽に話をしてくれる人、同世代で気の合う人もいいが、これからも野村のような取っつきにくい名人から興味深い話を引き出したい。(横尾弘一

選出理由: 選手として戦後初の三冠王を達成し、監督としても輝かしい実績を残した故・野村克也さん。筆者は40年前の野村さんとの会話を切り口に、常に謙虚な姿勢だったことやサービス精神旺盛だった一面などを紹介しました。野村さんの人柄が細かく伝わってくるコメントです。