【PR】エンジニアには「特許分析」が足りない 最先端のアイデアを効率よく得る方法とは

「特許分析」と聞くと、どのような印象を持つでしょうか。知財の専門家だけが知っていればいい高度な領域、という意識も強いのではないでしょうか。

しかしながら特許は、多くの企業が最先端のアイデアを競う領域であり、その動向を知ることは、エンジニアおよびその他のプロフェッショナルにとっても視野を広げる良い機会となります。

弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事し、IT関連特許のエキスパートである栗原潔さんも、その必要性を訴える1人。多くの人が注目すべき特許をわかりやすく学べるための有料連載『栗原潔のIT特許分析レポート』の配信を、2019年11月より開始しています。

同連載内では、訴訟に関連した特許やGAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)などの米国ビッグプレーヤーによる特許を中心に取り上げているという栗原さんに、特許分析の面白さやその重要性についてお話を伺いました。

なぜ特許が重要なのか

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―― そもそも特許の重要性というのはどこにあるのでしょうか。

栗原:特許権とは、技術的なアイデアの実施を独占できるきわめて強力な権利です。当然ながら、企業が差別化を進めていくうえでも重要な役割を果たします。

アップル対サムスンのように巨額の賠償金支払いが命じられた事例もありますが、ニュースで報じられるのは企業間の特許の争いのごく一部に過ぎません。

実際には多くの特許の争いが水面下で進行しているのですが、裁判前あるいは裁判中に、ライセンスなどの手段により和解することが多いのです。特に日本ではこのような傾向が強く、当事者が発表しない限りは部外者が知ることはできません。

しかし実際は、皆さんが想像するよりもはるかに多くの特許の争いが繰り広げられているのです。私も特許のライセンス交渉や訴訟のサポートを行なっており、大変興味深い事例をいくつも経験してきました。もちろん守秘義務がありますので、記事にはできませんが。

特許文献は「宝の山」

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―― 一般のエンジニアにとっての特許文献の分析は、どのような意味を持つのでしょうか。

栗原:先ほど申し上げたとおり、多くの企業が水面下で特許の争いを繰り広げています。特に米国の場合では、巨額の賠償金や和解金が発生することがあります。そうでなくとも、特許権で他社のビジネスを牽制できることは、企業の競争力維持に大きく貢献します。

そして、特許制度のポイントは「発明(技術的アイデア)の独占の代償として公開を義務付ける」という点です。

特許制度がなければ、せっかく素晴らしい発明をしても、他社の摸倣を恐れて秘匿する企業が増えるでしょう。そうなると、同じ問題を多くの企業が苦労して解決しようとし、重複開発の問題が生じます。いわゆる「車輪の再発明」と言われる問題ですね。

逆に特許制度のおかげでアイデアが独占でき、摸倣の心配がなくなれば企業は積極的に発明を公表し、他社はそれをベースにさらに良い発明、改良発明を生み出すことができます。俗に「発明は発明の母」と言われる所以です。

つまり、特許文献には、企業が独占したいと考える最先端のアイデアが書かれていることが多いのです。エンジニアの方が最新技術について学ぶ場合のソースとしては、技術者系ブログやWebサイト、書籍、学術論文、技報などいろいろあると思いますが、特許文献も是非それに加えていただければと思います。

―― しかし、一般のエンジニアにとって特許文献を読むのは難しいことではないでしょうか。

栗原:確かにそうでしょう。実際、特許文献を読んでも「何を言ってるのかわからない」という感想を持たれる方は多いと思います。

特許文献、つまり、特許の出願書類には、一般的エンジニアが実装可能なレベルで技術内容を記載することとなっています。しかし現実には、特許としての権利を広く取るために、できるだけ厳密、かつ、一般化・抽象化して書くことが求められます。その結果、かなり難解になってしまった特許文献もある、というのが実情です。

だからこそ今回の連載記事を始めたという部分もあります。つまり私が時間をかけて読み込んだ特許文献の内容を、一般のエンジニアの方にもわかりやすいようにかみ砕いて説明することで、時間の節約と共に特許に対し興味を持つようになっていただきたいのです。

場合によっては、特許文献を何時間もかけて読んだ結果、「これは大した特許じゃない」と私が結論付けるかもしれません。それはそれで、エンジニアの方には時間節約効果を提供できた、と考えていただければよろしいかと思います。

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―― 他にも特許文献の活用法はあるでしょうか?

栗原:これも先ほど申し上げたように、「発明は発明の母」です。他の企業のアイデアを知ることで、「こうすればもっと効率的なのに」「このアイデアには本質的問題がある、こうすれば解決できるのに」という新たな気づきが得られる可能性もあります。

まさに改良発明であり、これによって新たな権利化ができる可能性もあります。もちろん日々の設計開発から生まれる発明もありますが、特許文献によって、発明の機会をさらに広げることができるでしょう。

――では最後に、栗原さんがITに関する特許の専門家を志されたのは、どういう経緯からだったのでしょうか。

栗原:現職以前は、日本IBMでエンジニアとして14年、ガートナージャパンで業界アナリストとして10年ほど働いていました。きっかけの一つはIBM時代に、企業留学でMITの大学院時代に受講した知財に関する授業がユニークで面白かったため、このジャンルの専門家になりたいと思ったことです。

そして弁理士の仕事は、エンジニア的な感覚と共に、技術の歴史を知っていることが重要な場合もあります。つまり、歳を取ったエンジニアは弁理士に向いているとも言えるのです。ご興味がある方は、エンジニアのキャリアパスの一つとしてぜひ弁理士を検討してみてください。

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栗原 潔(くりはら きよし)

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職。弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事。『ライフサイクルイノベーション』などビジネス系書籍の翻訳経験多数。IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願の相談に対応している。

栗原潔のIT特許分析レポート

【この記事は、Yahoo!ニュース 個人の定期購読記事を執筆しているオーサーのご紹介として、編集部がオーサーにインタビューし制作したものです】