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【Yahoo!ニュース 個人】4月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、4月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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4月のMVA

ノートルダムが燃えている(鈴木春恵)

筆者による受賞コメント:先人たちが築き上げた豊かさの上にある当たり前の日常がいかに尊いものだったのか。ノートルダムから上がる炎を涙目で見つめながら、ただただ呆然としていました。客観性よりも強い感傷に突き動かされて発表した今回の記事でしたが、思いもよらぬ受賞となり、「個」を埋没させないYahoo!ニュースの姿勢に大いに力づけられました。

鈴木春恵

選出理由: 世界中を駆け巡ったノートルダム大聖堂、大火災の一報。パリ在住の筆者は現場にカメラを片手にすぐさま駆けつけ、臨場感のある速報を行いました。記事のラストで、時計の針が巻き戻っていく写真の構成も秀逸です。ずっとそばでノートルダムを見守り続けてきた筆者だからこそ書くことができた内容になっています。

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ジェノサイドから25年、ルワンダを振り返る(前編)(下村靖樹)

ジェノサイドから25年、ルワンダを振り返る(中編)(下村靖樹)

ジェノサイドから25年、ルワンダを振り返る(後編)(下村靖樹)

筆者による受賞コメント:最も思い入れが深いルワンダに関する記事で、月間MVAを頂けましたこと、大変嬉しく思います。ルワンダのジェノサイドは「アフリカだから」起きた悲劇ではなく、その負の連鎖に巻き込まれれば、誰もが加害者にも被害者にもなりうると取材を通して思い知らされました。世界各地で排他的な雰囲気が顕在化しつつある昨今。二度と同じ過ちを繰り返さないため、アフリカを通してそのヒントを探し、発信していきたいと思います。最後になりますが、異国からきたよそ者の私に正面から向き合い、取材に応じてくださったルワンダの人々に心からの敬意と感謝を表します。

下村靖樹

選出理由:死者80万~100万人を出したルワンダの民族虐殺。筆者は、発生翌年の95年から2018年にかけて同国を訪れ、当時起こったことや悲劇を乗り越えようとする住民の姿を3回連載で報じました。いずれも息を呑む内容で、遠い異国の現実をしっかり伝えなければという、筆者の強い使命感も伝わってくる作品です。

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木嶋佳苗死刑囚と『週刊新潮』デスクの結婚が示した死刑囚と「家族になる」ことの意味(篠田博之)

筆者による受賞コメント:死刑囚と外部の人間が「家族」になる事例は幾つか見てきましたが、週刊新潮デスクの場合は恋愛感情も介在しているらしい、むしろ特異なケースかもしれません。今のところ取材に応じてないようですが、ぜひ話を聞きたいと思っています。

篠田博之

選出理由:週刊新潮デスクと木嶋佳苗死刑囚の結婚報道について、自らも死刑囚と深く関わり取材してきた筆者が、その意味を掘り下げた一本です。ジャーナリストの使命とは、あるべき姿とは。深い問いを投げかけます。

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厚労省が水道料金見直しルール 安易な値上げの前に将来見通しを(橋本淳司)

筆者による受賞コメント:4月の月間MVAに選んでいただいたことを感謝いたします。「いつまでもあると思うな、親と金」という言葉がありますが、地域によっては、そこに上下水道が加わるかもしれません。蛇口から安全な水が24時間絶え間なく出るという日常。このありがたさを継続するためには一人一人の知恵と努力が必要です。私たち市民の多くは水道に対し「おいしさ」「安さ」を求めますが、行政と市民が一体となって「持続性」を考えていく時代になりました。自分たちのインフラの未来をどうするか。それにはまず「まちの未来」を考えることからはじめましょう。そんな思いでこの記事を書きました。ありがとうございました。

橋本淳司

選出理由:人口や水使用量が減る一方で老朽施設の更新負担が増えるなど、水道料金の値上げが迫られている状況を丁寧に解説しつつ、「水」を守るためには市民も一緒にまちの将来像を考え適正なインフラ整備と料金設定を実現する必要性を指摘しています。水ジャーナリストとしての問題意識が光る記事です。

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聴覚障害があってもサッカー指導者の資格は取れるーーJIFF補助金制度の経緯と課題(吉田直人)

筆者による受賞コメント:手話通訳に代表される聴覚障害のある方への情報保障ですが、医療や司法、スポーツなど専門的な領域になると、合理的配慮だけでなく、通訳者の専門知識という点でも課題があると、かねてより伺っておりました。そのため、当事者である伊賀崎さんが指導者資格を取得した事実に加えて、背景にある情報保障に対する意識や通訳者養成の必要性に関しても触れることを心がけました。取材にご協力頂いた皆様に、この場をお借りして感謝申し上げます。有難うございました。

吉田直人

選出理由:昨年始まった、日本サッカー協会公認指導者の資格講習における手話通訳費用補助制度について取材。この取り組みの背景を掘り下げ、聴覚障害者ら関係者からそれぞれの課題について聴いています。専門分野にも障害へのサポート体制が整いつつある現状と、更なる発展に必要な視点がわかりやすくまとまった記事です。

4月のMVC

■『ミャンマーから中国に売られる「花嫁」、出産まで拘束 人権団体が報告』の記事へのオーサーコメント(六辻彰二)

筆者による受賞コメント:月間MVCに選出いただき、ありがとうございました。本コメントの対象となった「中国に売られるミャンマー人女性」は、以前に「個人」でも取り上げたテーマでした。欧米諸国から日本は「人身取引大国」と呼ばれるほど規制が緩いにもかかわらず、この問題への関心は決して高くありません。立場の弱い人々に人身取引マーケットに向かわざるを得なくしている状況への関心を、多少なりとも高める一助になれれば幸いです。

六辻彰二

選出理由:ミャンマーから中国への人身売買問題を伝える記事に対し、天然ガスやルビーを産出するミャンマーへ関心を寄せる世界各国が問題に積極介入しない背景があることなどを解説。中国と比べ批判の声が上がりにくいミャンマー側の課題をあぶり出す、付加価値高いコメントです。

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