【Yahoo!ニュース 個人】1月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、1月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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1月のMVA

平日練習わずか50分「フィジカルとデータで高校野球に革命を起こす」山奥の進学校(1)理不尽より数値(2)王道を疑え(3)ドラフト候補誕生(高木遊)

筆者による受賞コメント:この度の受賞、大変嬉しく思います。平日50分の練習にどうしてもスポットが当たりますが、あくまでも「50分にしている」のではなく「(やりたくても)50分しかできない」という進学校ゆえの環境です。ですが、彼らはこれをハンデだとは思っていません。むしろICT推進校ゆえに全生徒へiPadが配布されていることや「世界的視野に立つ国際人の育成」という建学の精神を最大限に生かした情報共有や選手育成、チーム作りを進めています。置かれた環境を深く理解し、最大限に生かして結果を残そうとする取り組みはどの世界にも通ずる話かと思います。そして「考えること」から逃げない。むしろ楽しむ。「常に自身や自身の持つ情報をアップデートしよう」とする姿は野球を始めたばかりの少年のような、新しいおもちゃを手に入れた子供のような好奇心のもとで進められているのが素敵でした。結果を出すためには苦労や我慢も必要なのかもしれません。でもそれだけではなく、同時に「楽しい」という気持ちも絶対に欠かせないことだと、あらためて気づかせてくれた取材でした。

高木遊

選出理由:スポーツ推薦なし、平日の練習はわずか50分という環境ながら、広島大会で8強に躍進した武田高校野球部。その強さの秘密を筆者は丹念に取材し、3回連載でまとめました。フレックスタイム制の練習や本塁打を狙わせる指導など、これまでの常識を覆す内容で、多くの野球関係者から「目から鱗が落ちた」「大変参考になった」との感想が寄せられました。

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教師への夢をあきらめた学生たち 現役教育大生のリアル 競争倍率低下時代における教育の危機(内田良)

「政治家になったら?」 教員志望者に突きつけられた言葉――大学では教わらない? 教員の過酷な労働実態 ※続編(内田良)

筆者による受賞コメント:拙稿を月間MVAに選出していただき、誠にありがとうございます。これまで学校問題や教育問題を取り扱ってきたなかで、今回の記事ははじめて「自分事」としてその問題に向き合ったものでした。というのも、私は大学教員です。記事の登場人物は、私の指導生ではありませんが、でもどこかの大学の学生さんです。学生が声をあげた。私にはそれを世に届ける責務があると感じました。声をあげてくれた学生さんと、この受賞のよろこびを共有したいと思います。

内田良

選出理由:「いまは先生になれない」とあきらめた学生、過酷な現実をみても「まちがっていることを変えていきたい」と意気込む学生。教師になることを夢見てきた教育大生の率直な気持ちが伝わる労作です。「ここは学校だよ」と言い残して辞めた若い先生のエピソードは考えさせられます。あなたはこのメッセージをどう受け止めますか。

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稀勢の里の「潔さゼロ」の引退が物語るもの(十枝慶二)

筆者による受賞コメント:月間MVAに選んでいただき、ありがとうございます。引退した稀勢の里の人気は、「日本人横綱」であることと結びつけて語られがちですが、国籍など関係なく、一人の力士として、横綱としての愚直な生きざまこそが、多くの人たちの心をとらえたのだと思います。これからも、そんな一人ひとりの力士の魅力や、相撲の奥深さに気づくきっかけになるような記事を発信できればと思っていますので、よろしくお願いします。

十枝慶二

選出理由:怪我に泣いた横綱・稀勢の里。日本出身の最高位力士へ寄せられる期待とプレッシャーもあるなかで闘い続けた横綱に対する、長年取材を続けてきた相撲記者ならではの思いがこもった筆致で綴られた記事です。

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「死ぬ前1か月の医療費さえ削ればよい」落合陽一氏×古市憲寿氏対談で見えた終末期医療の議論の難しさ(市川衛)

筆者による受賞コメント:少子高齢化を背景に、医療や年金など「社会保障」の将来への漠然とした不安が、若い世代に高まっていると感じます。大切なのは、この議論が感情論やイメージに流されないことです。日本でもたびたび「生産性のない人間を社会の負担で支える意義があるのか」という声があがります。しかし過去の事例やデータは「弱い立場にある人の負担をみんなで支えあうことこそが、社会全体の負担を小さくする」と示唆しています。日本を代表する論客に成長しつつある方々の対談をきっかけに、データに裏打ちされた「より前向きな議論」が進むことを願っています。

市川衛

選出理由:年始に物議を醸した対談をフックに、終末期医療の現状を客観的なデータに基づき分析した記事です。超高齢化社会の日本では特に避けては通れない課題の論点を、スマートに紹介しています。

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宅ふぁいる便の利用実態把握出来ていますか?480万件のPW含む個人情報が平文で流出(大元隆志)

筆者による受賞コメント:ビジネスのデジタル化が競争力となる時代。サイバー攻撃の脅威は増すばかりですが、今狙われるのは「普通の人」。セキュリティ専門誌に幾ら寄稿した所で、読んで貰うべき人には届きません。ヤフートピックスに掲載されたことでSNSの反響も大きく「機密情報受け取ったこと有るけど大丈夫かな?」と言った呟きも見られ多くの人にクラウド利用リスクを考えて貰うきっかけとなりました。今回のMVA受賞は本当に嬉しいです。選抜有難う御座いました。

大元隆志

選出理由:国内で高い利用率を誇るファイル共有サービス「宅ふぁいる便」における大規模な情報漏えい発表に対して、サービス自体に存在するセキュリティーリスクの高さなどを分かりやすく解説した記事です。社員が無断で外部サービスを利用する「シャドーIT」の実態調査の実施を促す提言は強い課題感を持つ筆者だからこその説得力があり、リスクへの意識を強めるものでした。

1月のMVC

『激増する中年パラサイト・シングル 将来は「下流かつ孤立老人」に?』の記事へのオーサーコメント(今野晴貴)

筆者による受賞コメント:「パラサイトシングル」という言葉には以前から疑問を持ってきました。近年の「中年フリーター」問題の広がりの中で、本記事で紹介されたその言葉のニュアンスは、やはり今日伝えるべき実情からはかけ離れていると思いました。読者からは共感の声が多数寄せられたと思います。「中年フリーター」が増えてきたのは雇用構造の側に原因があり、彼らの存在が今や社会を支えているという点は、もっと社会に広がるべき認識だと思います。

今野晴貴

選出理由:中年「パラサイト・シングル」の増加を危惧する記事に対し、「パラサイト」とひとくくりにはできない親同居世帯の存在を指摘しています。その上で、問題は「パラサイト」ではなく非正規雇用と世帯困窮にあるとも掘り下げ、読者に新たな視点を提供しました。