【Yahoo!ニュース 個人】11月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、11月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

※※※

11月のMVA

ルポ・技能実習生が「逃げる」ということ(1)「失踪」と片づけていいのか? 借金漬けの移住労働と低賃金(巣内尚子)

筆者による受賞コメント:月間MVAに選んでいただきありがとうございます。海外に移住労働に出るベトナムの人たちについて調べるためベトナム、日本、台湾で聞き取り調査をしてきました。その中で日越間には両国の政策を受け、国境を超える移住労働者の送り出し/受け入れ産業(移住産業)が構築されていることが分かりました。移住産業のもとでは日本に技能実習生や留学生として行くのに多額の手数料を仲介会社(送り出し機関)に支払い借金漬けの状態で来日することが一般化しています。さらに技能実習制度では実習生は会社を変更できません。借金、制度的な諸権利の制限、支援体制の不足の中、実習生は就労先での賃金未払い、暴力、セクハラなどに声をあげられないことが多いです。実習生にとって会社から逃げることは追い詰められた末の「避難」や問題解決のための「残された手段」であったりし、日本政府が言う「失踪」という言葉では片づけられません。改正入管法が成立しましたが、国家の政策のもとで借金漬けの諸権利を制限された労働者が構造的に生み出され、その人たちの人生が揺さぶられていることを見る必要があると思っています。

巣内尚子

選出理由:「技能実習生が会社から出る/逃げることを、単純に個人の責任にはできない」と筆者は言い切ります。ベトナム人の聞き取り調査などから、技能実習生の借金漬け状態や移住産業のシステムが明らかにされ、読者に重い課題を突きつけます。改正入管法が成立した今だからこそ、読んでおきたいシリーズです。

※※※

インドの闇を象徴する世界一の彫像―日本メディアに問われるもの(六辻彰二)

筆者による受賞コメント:月間MVAに選出していただき、ありがとうございました。日本の国際ニュースが特定の国に集中する傾向には、以前から違和感を覚えていました。日本との関係が強い国のニュースが多くなることは避けられないとしても、情報を発信する側が多様なニュースへの意識を持つことの重要性を指摘したつもりです。今後とも、自分自身もできるだけ幅広くニュースを取り上げることを改めて意識していこうと思います。

六辻彰二

選出理由:10月末にインドで落成した高さ世界一の彫像について、報じた日本メディアはごく一部でした。「世界一の…」と冠がつくメディアで取り上げられやすい話題をなぜ伝えなかったのか。その背景にあるインドの闇を丁寧に解説しながら言論の府としてのメディアの責任をも問いかける、筆者の専門性が際立つ重厚な1本です。

※※※

僕はこうしてフレディ・マーキュリーになった。『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック インタビュー(斉藤博昭)

筆者による受賞コメント:インタビュー記事は、相手が発したコメントだけでなく、その場で感じた素顔の印象を「さりげなく」盛り込んで伝えることが重要だと肝に銘じていますが、この記事ではその部分への反響も多く、うれしく感じていました。クイーンというバンドは、現在、この仕事をしている小さなきっかけのひとつであり、時を経てこうして愛される映画として復活し、その公開に仕事として関わることができたことに、人生の奇跡も感じます。記事への評価に心より感謝いたします。

斉藤博昭

選出理由:世界に続き日本でも空前のヒットを記録している、映画「ボヘミアン・ラプソディ」。フレディ・マーキュリーが「憑依」したとまで評される演技を見せたラミ・マレックの役作りの裏側に迫り、彼の映画にかける思いを強く感じられるインタビュー記事です。国内で公開される前に、いち早くクイーンの地元イギリスにて取材を行った筆者の慧眼が光る1本です。

※※※

役員報酬の隠蔽は、ゴーン氏主導か、会社主導か(郷原信郎)

筆者による受賞コメント:選定された記事を読み返してみると、逮捕直後、事件の内容が殆ど不明な状況で、断片的な報道を基に書いたもので、現時点の認識とは大きく異なっている。しかし、我々「部外者」としては、その時々の情報の制約の中で、精一杯の分析・検討をしていくしかない。そのことに一定の価値があると認めてもらえたものと受け止めている。今後も同様の姿勢で発信していきたい。

郷原信郎

選出理由:日産元会長カルロス・ゴーン氏の逮捕について、筆者ならではの視点で論点を洗い出して分析した記事です。有価証券報告書の虚偽記載や司法取引のこの事件における意味などをわかりやすく解説し、読者に事件の見方を提示しています。

※※※

コミケ一般参加有料化が持つ意味(dragoner)

筆者による受賞コメント:あと少しで開催100回を迎えるコミケ。これまで様々な困難に直面し、問題を抱えつつも、表現の場として続いてきました。有料化が大きく伝えられたのも、コミケへの関心の大きさあってのことでしょう。時代ともに変化してきたコミケも、今後どこが変わり、どこが変わらないか。これはコミケに関心無い人であっても、実は大きく関わっている問題です。今回の記事とMVA受賞で、そのことに少しでも目が向けば嬉しく思います。

dragoner

選出理由:コミケ有料化検討の一報を受けて、その背景・影響について考察した記事です。筆者の高い知見を活かして、初回コミケの収支から現在の規模拡大までの歴史的流れや東京五輪も踏まえた展望など網羅的に解説し、コミケの今後の運営のあり方を問いかけます。

11月のMVC

『チケット転売規制法が成立へ』の記事へのオーサーコメント(前田恒彦)

筆者による受賞コメント:法規制の背景や限界が明確でない報道に対し、まずは速報性の観点からごく簡潔な解説コメントを付けた上で、コメント欄の文字数制限や消費者の関心度の高さを踏まえ、後日、詳細で深掘りした解説記事を配信し、更に理解が深まることを目指しました。オーサーによるコメントと記事配信の連携という観点からも、参考となれば幸いです。

前田恒彦

選出理由:チケット転売規制法成立の背景や課題をわかりやすく解説。簡潔ですが、これまでは「刑法の詐欺罪を使った例もありましたが、やや技巧に走った立件」だったと、高い専門性も発揮されています。その後発信された記事をあわせて読むことで、理解がより深まります。