【Yahoo!ニュース 個人】7月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、7月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選6本の記事と1本のオーサーコメント、筆者の受賞コメントをあわせて紹介します。

※※※

7月のMVA

オウム事件死刑執行、その正当性と今後の課題を考える(江川紹子)

筆者による受賞コメント:オウム事件での死刑囚全員の刑が執行されたことに、今でも重い気持ちでいます。ただ、執行によって、多くの人が様々なことを考えたと思います。拙稿が、そのための役に立ったとしたらなによりです。残念ながら、事実に基づかない、様々な発言が飛び交っています。次の時代にも事実を正確に伝える努力が、ますます必要になっていると感じています。

江川紹子

選出理由:長年オウム事件を追い続け、ひとつひとつの裁判を傍聴してきた筆者ならではの深い論考です。いろいろな意見の出た今回の死刑執行について、具体的なファクトを持って説得力ある意見を述べ、繰り返し伝えてきた次の世代へ教訓を引き継ぐ必要性を訴えました。

※※※

あの悲劇を忘れないために 写真で伝える史実 ホロコースト生存者を撮り続けるカメラマンが話題に(シュピッツナーゲル典子)

筆者による受賞コメント:7月MVA選出、ありがとうございました。今回の記事取材は、独TV番組でカメラマンルイジさんを目にしたのがきっかけでした。ルイジさんのプロジェクトは、ドイツをはじめホロコースト生存者の多いアメリカやウクライナなどでは大きな注目を集めているのに対し、日本では全く報道されていないことを知り、是非紹介したいと思いました。ルイジさんの本を手にした時、私は涙が止まりませんでした。画像と略歴を通して、壮絶な過去を背負ってこられた生存者の様子がひしひしと伝わってきたからです。ふり返ってみれば、個人ニュース初回2013年の記事もナチスに関連したテーマでした。それ以来、このテーマ記事を何度か発信しており、コンスタントに読まれているようです。激動の時代を生きぬいた生存者が語る言葉の重みを伝えることで、歴史をふり返り、戦争や人種差別について考えるきっかけになれば幸いです。今回の受賞は、これからも生存者の生の声をお伝えする励みになりました。

シュピッツナーゲル典子

選出理由:ナチス・ドイツのユダヤ人に対する大虐殺(ホロコースト)から生存した人々を撮影する、ドイツ在住カメラマンのインタビュー。引用された生存者の顔写真からはホロコーストの恐ろしさが伝わってきます。撮影するカメラマンの人物像にも迫り、いくつものドラマが詰め込まれた記事となっています。

※※※

報道されない岡山市内の孤立集落 生活道路崩落で住民は獣道を徒歩で移動(堀潤)

筆者による受賞コメント:本当にありがとうございます。とても励みになります。実はこの記事には後日談があります。記事を読んだ地元の与野党の市議会議員が直ちに孤立集落を訪ね、被災された方の要望を聞き取りました。協力を申し出た有志が沢山の電球を持って駆けつけ、真っ暗だった道に照明が灯りました。記事が掲載されてから24時間以内の出来事です。「堀さん!ここはもう大丈夫です!次の現場に行ってください!」と取材に応じて下さった光本さんの電話口での弾んだ声が忘れられません。地元メディアからの連絡も相次いだと言います。今から5年前、NHKを退職した最大の理由は「市民とマスメディアの協業」を実現するためでした。難局に直面した個人の当事者が自ら発信し、その情報を受け取った取材者がさらに深掘りし、より大きな影響力を持ったマスメディアがさらに多くの市民に伝えることで問題の早期解決につなげていく。そんなリレーが実現できればと思い発信を続けてきました。今回のケースはまさにそのリレーでした。被災地の復興はこれからが正念場です。引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました!

写真は聞き取りに駆けつけた岡山市議会議員の森山幸治さんが撮影。日付は7月16日。
写真は聞き取りに駆けつけた岡山市議会議員の森山幸治さんが撮影。日付は7月16日。
山道の入り口付近に始まり、藪が生い茂る山中から集落までの道のりにイルミネーションさながらの照明がつきました。地元の有志による手作業です。
山道の入り口付近に始まり、藪が生い茂る山中から集落までの道のりにイルミネーションさながらの照明がつきました。地元の有志による手作業です。

堀潤

選出理由:甚大な被害をもたらした西日本豪雨。筆者は報道の少ない岡山市北区菅野に入り、生活道路が崩落している模様や地元住民の苦慮する様子を詳細に伝えました。住民とともにイノシシやマムシの出る獣道を約30分歩いて撮影した動画も、現状を強く訴えています。

※※※

「奇跡」が起こる名もない教室。超進学校のカリスマ数学教師の壮大なる実験(おおたとしまさ)

筆者による受賞コメント:「学校とは何か?」「教育とは何か?」を追求して、教育の現場を取材しています。今回、このように小さな、しかし志のある学習教室を取り上げた記事が、多くの人に読まれ、高い評価を得たことに、大きな希望を感じます。本当に良い変化は、だいたい小さなところからひっそりと始まります。今後も地道な取材を続けていきたいと思います。

おおたとしまさ

選出理由:進学塾のカリスマ講師が開催する一般的な塾とは異なる学習塾を取材し、ちょっと変わった授業風景や授業の持つ意味・開催の背景を伝えた記事です。学校のルールにしばられない教え方や子どもたちの様子は読者にある種の感動を与え、教育とは、教育者の役割とは何かを考えさせられます。

※※※

筋肉こそ最強のアクセサリー ~増殖する筋肉女子~(米澤泉)

筆者による受賞コメント:初めて寄稿した記事でMVAをいただくことができとても光栄です。これからもファッション、コスメ、雑誌など女子にまつわるテーマから現代社会をみつめていきたいと思います。「女子学ダイアリー」をよろしくお願いいたします。

米澤泉

選出理由:なぜいま「筋肉女子」が巷で話題になっているのかを、女子の美意識の歴史を紐解きつつ考察を加えた一本。女子学研究に長年携わる筆者ならではの、幅広い知識と独自の視点に基づいた分析に思わず引き込まれる記事です。

※※※

終わらない青春、止まらない未来への突進力 40周年サザンオールスターズの、強靭な意志を感じたライヴ(田中久勝)

筆者による受賞コメント:日々、様々なアーティストを取材して感じることは、これは音楽だけに限らず何にでもいえることだと思いますが、「続けること」の難しさです。社会も変わりファンも年を取る。そんな中でサザンオールスターズは40周年を迎え、しかも「第一線」で活躍している稀有な存在のグループです。そのサザンがデビュー記念日に、スタジアムではなくホールでライヴをやるという貴重な瞬間を、一人でも多くの人に伝えたくて、レポートしました。40年続けてきたからこそ湧き出る「熱」を、そのまま伝えたかった。「熱」、届いていますでしょうか?

田中久勝

選出理由:筆者のサザンへのまなざしを通じてその魅力を伝えるライブレポートです。筆者だからこその豊富な知識を織り交ぜていくことで、これまでのサザンのストーリーを感じられる読み手の記憶に残る記事です。

7月のMVC

『陸上イージス、2基で6000億円超 防衛省試算、施設費含め想定の3倍』の記事へのオーサーコメント(JSF)

筆者による受賞コメント:コメントした当時はまだ詳細が不明で推測になっていましたが、多くのメディアの報道で「イージスアショアの費用が跳ね上がった」とされる内訳の大部分は30年運用分のライフサイクルコストとミサイル弾薬代と分かりました。どちらも運用する上での必要経費に過ぎず、跳ね上がったわけではありません。これは自家用車で例えると分かりやすいでしょう。車両単体価格と、廃車にするまでの燃料代や整備代を全て含めた総額の違いです。単体価格よりも総額が高い事は当たり前なのですが、混同して見比べる間違いは頻繁にあり、注意が必要です。

JSF

選出理由:弾道ミサイル防衛が専門の筆者が、「跳ね上がった」とされるイージスアショアの総費用について解説しています。イージスアショアの費用についてはさまざまな報道がなされていますが、多角的な視点の大切さを考えさせられます。