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【Yahoo!ニュース 個人】2月の月間MVAとMVCが決定

(ペイレスイメージズ/アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、2月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選7本の記事と1本のオーサーコメント、筆者の受賞コメントをあわせて紹介します。

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2月の月間MVA

なぜ首相は裁量労働制の労働者の方が一般の労働者より労働時間が短い「かのような」データに言及したのか(上西充子)

筆者による受賞コメント:月間MVAに選んでいただき、ありがとうございます。「比較データ」への疑義はこの2月3日の記事を出発点として、6日、10日(2本)、12日と、計5本の記事で論点を整理し、国会質疑に生かしていただくことができました。その結果、働き方改革関連法案における裁量労働制の拡大に注目が集まり、長時間労働を助長する危険性の周知につながりました。即時に自分の意見を字数の制約なく発信することができる「Yahoo!ニュース 個人」の場をいただいていることに、感謝申し上げます。

上西充子

選出理由:働き方改革関連法案について、衆院予算委員会で安倍首相が答弁で言及したデータの出所にあたり、データが不適切であることを指摘。この指摘をきっかけに、野党の追及が及び、裁量労働制に関する部分が働き方改革の法案から切り離されることになりました。言論によって社会を動かした記事であるとともに、筆者の課題意識・正義感が強く感じられる内容となっています。

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尼崎市中2少女自殺 遺族置き去りの学校と教育委員会の対応に波紋広がる(赤澤竜也)

筆者による受賞コメント:これまで教育問題についてほとんど取材経験がなく、調べれば調べるほど書くことによる副次的な被害が予想され、発表することを逡巡してしまっておりました。2月2日に大阪で「Authors' Lounge(※編集部注:Yahoo!ニュース 個人のオーサー交流会)」があり、二次会の席でたまたま隣り合った教育社会学者の内田良先生から貴重な示唆を頂いたことで、なんとか記事化することができた次第です。皆さまのお陰でこのような賞を頂戴でき、感謝の言葉もありません。

赤澤竜也

選出理由:1人の少女の死をめぐる遺族と学校・教育委員会とのすれ違いを、丹念な取材で伝えています。「誰もがもがき苦しんでいる」が、「立ち止まるわけにはいかない」――。記事化した筆者の苦悩も感じられます。

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奄美大島沖で大規模な石油流出事故 海洋生態系への影響は?(勝川俊雄)

筆者による受賞コメント:石油流出事故の影響を心配する声が、私の周辺でも多数上がってきたので、急いで執筆しました。国内の情報が少なかったので、海外のサイトから集めた情報を整理して、事故の影響は限定的・局所的になる可能性が高いと解説しました。

勝川俊雄

選出理由:奄美大島沖での石油流出事故について、センセーショナルで不安をあおるような情報がインターネットで拡散している最中に発信した解説記事です。情報を整理して冷静にわかりやすく状況を説明し、日本主導での調査の必要性を提起しました。

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世界王者を支える異色トレーナー 野木丈司の壮絶ボクシング人生(前編)※後編もあわせて(渋谷淳)

筆者による受賞コメント:ボクシング界を干され、10年間一人で練習していた…。野木さんがそんな過酷な経験をしていると知ったのは、不覚にも最初に取材をしてから何年もたってからのことでした。以来、書くタイミングを逸していましたが、比嘉選手の世界王座獲得、沖縄凱旋試合に背中を押される形となりました。今回の受賞を励みとし、より人々の心に響く話を拾っていこうと決意を新たにしております。

渋谷淳

選出理由:WBC世界フライ級チャンピオンの比嘉大吾選手を陰から支える、敏腕トレーナー野木丈司氏のまさに「波乱万丈」なボクシング人生を前後編にわたりつづった物語。繰り返す挫折を乗り越えて世界王者を育てあげるまでの軌跡は、まるでドキュメンタリー番組を見ているかのように引き込まれます。ボクシングに関わる人々への深い取材を重ねてきた筆者だからこそ書ける、心が震える1本です。

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アマチュア野球指導に問題提起し続ける整形外科医がドミニカで実施した看過できない調査結果(菊地慶剛)

筆者による受賞コメント:まさか自分の記事が受賞対象になるなんて考えたこともありませんでした。選考して頂いた編集部に感謝したいと思います。野球は日本のスポーツ界を長年牽引してきた一方で、ここ数年は競技人口減少に歯止めがかからず、球界全体のあり方が問われるようになっています。今回取り上げさせてもらった古島医師も現場で警鐘を鳴らし続ける野球関係者の1人で、古島医師の他にも現状を憂う人たちは数多く存在しています。今後もそうした現場の声に耳を傾けていきたいと思います。

菊地慶剛

選出理由:小、中、高校生に対し、勝利至上主義で指導をしていると批判されがちな日本野球。筆者は、ドミニカの球児を診察した日本の整形外科医を取材し、過度な投げ込みをしない“育成最優先”な実情を細かく報じました。野球にかかわる多くの人たちの、大変参考になる記事です。

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水蒸気噴火とは何か? なぜ予測が難しいのか?(巽好幸)

筆者による受賞コメント:地球で一番火山が密集する日本列島に暮らす私たちは、温泉をなどの火山からの恩恵を享受しています。一方で、火山噴火に関する知識や備えは全く不十分なのが現状です。テレビや新聞ではなかなか伝えられない、火山噴火、特に最近話題になった水蒸気噴火について、少しでも現状をきちんと伝えたいと思いました。これからも、変動帯日本列島で「当然起きる」噴火や地震について最新の研究成果に基づいてお知らせしたいと思います。

巽好幸

選出理由:草津白根山噴火から1カ月、火山噴火の3つのタイプについて、メカニズムからなぜ予測が難しいのかを図も入れてわかりやすく解説。過去の噴火事例を挙げ、「火山大国の民」であることを再認識させるとともに、前兆が捉えにくい水蒸気噴火の危険性について警鐘を鳴らした1本です。

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日本のeスポーツ、流行らせる理論と危惧する感覚(平林久和)

筆者による受賞コメント:日本のeスポーツは、流行らせる力と緩やかに拒んできた文化がせめぎ合っています。まずはその葛藤を書きました。と、同時にゲームがオリンピック種目になることへの反対意見も述べました。両論併記と筆者の主張。本来ならば論文で書くべきような内容を端折って書いたため、真意を伝達できているか不安でしたが、このような栄誉をいただき一安心しております。ありがとうございました。本稿執筆後に平昌オリンピックが行われました。「ゲームが種目だったとしたら?」をずっと考えながら観戦していました。やはり、オリンピックにゲームはないほうがよいと私は考えましたがいかがでしょうか?

平林久和

選出理由:ゲームを専門に発信してきた目線から、昨今盛り上がるeスポーツの動きに対し考察し、背景をわかりやすく示しています。理論と感覚、歴史など多角的な考察の明解さの一方、今後の展望への論考では筆者自身のゲームへの想いが感じられます。

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2月の月間MVC

『F1がレースクイーン廃止を発表!「現代の社会規範に適さない」』の記事へのオーサーコメント (辻野ヒロシ)

筆者による受賞コメント:MVCに選んで頂きありがとうございます。根本的にグリッドガール廃止とレースクイーン廃止では意味が異なるのでそこを指摘することにしました。ただ、世の中ではレースクイーン廃止が一人歩きしてしまいましたね。遅かれ早かれ、こういう変革が来ることは予想していました。業界では圧倒的な反対意見が多数ですが、グリッドガール廃止の大きな反響はサーキットの華と言えるレースクイーンや類似の仕事をファンを含めて考える、良い機会になったのではないでしょうか。

辻野ヒロシ

選出理由:日本の「レースクイーン」と欧米の「グリッドガール」の違いをわかりやすく補足しています。「レースクイーン廃止」という見出しから受ける印象も変わってくる、専門性の高いタイムリーなコメントです。

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