【Yahoo!ニュース 個人】11月の月間MVA受賞記事が決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、11月の「月間MVA(Most Valuable Article)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。厳選5本の記事を、筆者の受賞コメントとあわせて紹介します。

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【パリ無差別テロ】メディアが報じる「ジハーディストの温床」モレンベークの虚像(木村正人)

筆者による受賞コメント:パリ同時多発テロの首謀者と実行犯の兄弟計3人はベルギー・ブリュッセル首都圏のモレンベーク出身だった。パリから国際列車に乗ってモレンベークに向かう。欧米メディアが「ジハーディストの温床」「テロリストの巣窟」と報じていたので、内心、身構えて街に入った。スカーフをつけたムスリム女性が目立つものの、街の人々は「何も問題はないよ」と口をそろえて強調した。

それより、モレンベークの女性区長が記者会見で2度、質問した私にはまったく答えようとしなかったことの方が気になった。日本人は私しかいなかった。西洋(白人)の責任者が西洋メディアに対して西洋の視点、問題意識で答える。それを西洋メディアが報じ、日本メディアが跡追いする。これは欧州の難民危機でも感じたことだ。難民が大挙して欧州に押し寄せる前から、シリア内戦の深刻化で難民問題は大きく膨れ上がっていた。しかし大きな問題として取り上げられるようになったのは難民が欧州に押し寄せるようになってからだ。読者に代わって現場に行き、読者の視点で質問し、できるだけリアルタイムで何が起きているのかを知ってもらいたい。少しでも、しっかり伝えることができれば、読者は自分たちの視点を育てていくことができる。私がモレンベークを訪れた日の夜、犠牲者への追悼と地域の団結を呼びかける集まりが開かれ、ロウソクの火が灯された。その中にはテロリスト兄弟の家族が灯した火もあった。その火は弱々しく揺れていた。その火を吹き消すことも、踏みつけて消すこともできる。しかし私には、この火はどんなことがあっても消してはならないと感じた。

そうした気持ちを伝えたかった。インターネットを通じた活動が評価されたことは、今後の大きな励みになります。どうもありがとうございました。

木村正人

選出理由:パリ同時多発テロ発生後いち早く現地に入り多くの記事を発信し、発生から6日後、注目を集めたモレンベークの町の実情を伝えました。丹念な取材によって「モスクには行かなかった」という近所の人の証言などを紹介、大手メディアのイメージとはかけ離れた町の様子を浮かび上がらせ、事件の背景を掘り下げています。

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世界平均気温は上昇を続け「+1℃」到達:COP21の背景にある「+2℃」目標の意味とは?(江守正多)

筆者による受賞コメント:最も言いたかったことを書いた記事で、多くの人に読んでもらえて嬉しいです。「脱化石燃料」が世界のアジェンダに浮上していることが日本では知られていなさすぎます。それをどう受け止めるかは人それぞれで、議論が必要です。COP21の一過性の話題で終わらないように、問いかけを続けていくつもりです。

江守正多

選出理由:「+2℃」という言葉をキーにして、COP21で議論されていることの意味、本質を解説。専門家ならではの知見を用いながら、難しい話を一般の読者にわかりやすく噛み砕いて文章にしています。またCOP21というタイミングにあわせ数多くの記事を発信し、ポイントや問題点などを読者に伝え続けました。

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痴漢被害に遭い続けた女子高生が考案した「痴漢抑止バッジ」が大人を動かした(小川たまか)

筆者による受賞コメント:選出いただきありがとうございます。性犯罪の中でも電車内の痴漢は特に、その対策が議論を呼びやすいところだと思います。煮詰まった議論に風穴を開けるのは行動する人です。行動する人の元に未来があります。被害に遭った女子高生とそのお母さんが起こした行動が多くの人に届いたことをうれしく思います。

小川たまか

選出理由:女子高校生が考案した痴漢抑止バッチを紹介。自身も被害を受けながら行動を起こした女子高生の心情や、普及に携わる人達の思いを伝えています。この記事を受けて多くのメディアがバッチを取材し、幅広く痴漢被害について考えるきっかけを与えました。また、男性の痴漢被害者の声を伝えるなど、問題について様々な角度で継続した発信を続けています。

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今の月9は本当にダメなのか? 次回作『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』から読み解く(成馬零一)

筆者による受賞コメント:月間MVAに選んでいただきありがとうございます。坂元裕二は、現在もっとも注目されているドラマ脚本家で、彼の新作を多くのドラマファンが待ち望んでいます。そんな、坂元裕二の次回作が月9の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』だと知った時には、期待と不安を同時に感じました。それが、この記事を執筆した理由です。 この記事を読んだ方が、月9の新作と坂元裕二に興味を持ってくれたらうれしいです。

成馬零一

選出理由:「円熟と同時に年々先鋭化している」と評する脚本家の話を軸に、現在のテレビ局が優れた作品の面白さを理解しているか・サポートする体制ができているかーなどと迫力ある読ませる文章で問題提起をしています。ドラマ作品・脚本家の評価にとどまらず、業界全体の課題解決の一助となる発信です。

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2015年のJリーグの「平均観客数」を徹底分析 前年より動員が増えた要因とは?(村上アシシ)

筆者による受賞コメント:データを解析し、仮説を立てながら検証するのが筆者の本業なので、そのスキルを活かすことができたコラムだと思っています。

村上アシシ

選出理由:J1における2ステージ制導入の是非をめぐって議論が盛り上がる中、観客動員数について分析。

いろいろな視点から動員平均増加の要因を探りつつ、エビデンスをもとに多面的に評価・分析することの重要性を訴えています。