「看取り難民」減らすため「在宅医療」を。~訪問看護の現場を写真で伝えたい

若手看護師が増えることで多くの利用者の支えになる、というケアプロ訪問看護の現場

WHO(世界保健機関)は、総人口に対して65歳以上の高齢者人口が占める割合が7%を超えた社会を「高齢化社会」と定義しています。日本は2007年に21.5%を超えて「超高齢社会」に突入しています。そんな中、問題視されているのが医療を受けられない「医療難民」や、「看取り難民」の増加です。この課題解決に取り組んでいる在宅医療の現場と写真展で伝えたいというアイデアを取材しました。

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◆30万人を越すという「看取り難民」とは?

厚生労働省によると2009年の1年間で、最も多かった国内の死亡場所は医療機関で81%、自宅での死亡は12%にすぎないとされています。しかし、68%の国民が最期は自宅で迎えたいと考えているというデータもあります。この問題に「訪問看護」という方法で取り組んでいるのが株式会社ケアプロの在宅医療事業部のみなさんです。

ケアプロが訪問看護をはじめたきっかけは、東日本大震災の被災地支援だったといいます。避難所や仮設住宅での生活が多い被災地では医療機関に通えない「医療難民」が多く、在宅医療が必要でした。しかしこの問題は被災地だけでなく、『我が国医療についての基本資料 中央社会保障医療協議会』(H23)によれば、2020年に死亡する140万人のうち看取り場所がない「看取難民」が約30万人と試算されています。

病気を抱えながら「家で暮らす」ことは現実的ではなく、受け皿が足りない状態が続いています。そこで、医師と看護師が自宅へ出向き、病院と同じ医療が受けられる「訪問看護」の必要性が叫ばれています。

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◆辛い病床にも笑顔と感動が

訪問看護師の岩本大希さんは、訪問看護の認知度の低さが解決すべき問題の1つだといいます。「我が国の医療は、病院から自宅・地域へとシフトをしています。病気でも障害を持っていても、本当にだれもが家に帰りたいと望んだときに、帰る選択ができる世を目指して、訪問看護を利用して暮らしている人々をご紹介したいと思っています」。

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そんな思いから、在宅医療現場の写真展企画が立ち上がりました。訪問看護師とフォトグラファーのパラレルキャリアを実践している石塚奈津さんは「辛い病床にも笑顔と感動があることを伝えたい」と、訪問看護をしながら現場の撮影を続けています。医療の現場にカメラが入ることを問題視する意見もありますが、看護師として関わりながらの撮影は喜ばれることが多いと言います。「撮影するというと、おばあちゃんがおめかししたりして、元気になられるんです」。

◆訪問看護 × 写真展!病気や障害と共に家で暮らす人々を伝えたい

ケアプロでは、「現場でしか知り得ない」笑顔、感動を、写真で伝えるための写真展開催に向けて、クラウドファンディングを利用して賛同を呼びかけています。

「無関心を関心に変える」というモットーで活動し、今回プロジェクトに参画しているフォトジャーナリスト安田菜津紀さんは、「大切なのは目の前に「選択肢」があり、どうすればより穏やかな時を築いていけるのか、共に考える誰かが傍にいること」だといいます。安田さんもまた、現地で共に時間を過ごし、関係が深まるまではシャッターを切ることを控えるという姿勢で取材に臨んでいます。

「患者さん方のご自宅にお邪魔する度に、自分らしくあれるとはどんなことだろう」と考えるという安田さん。心休まる場所はそれぞれ違うからこそ、在宅医療の可能性を知らせていきたいと意気込みます。プロジェクトへの支援は 10月15日(木)午後11:00まで、詳細は下記ホームページにて。まず知ることで、ご家族の、自分の医療との関わり方の選択肢が増え、また注目が集まることで在宅医療が普及していくことが望まれます。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE)

▼訪問看護 × 写真展!病気や障害と共に家で暮らす人々を伝えたい

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