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準備をするなら高1から〜かわるAO入試の存在感

矢萩邦彦アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

「一般受験が難しいから、とりあえずAOを考えています」という学生は多いですが、AO受験生は一般受験生徒と比べて学力が必要ないというわけではありません。また最近は企業が即戦力としてAO生を求めるようになってきました。誤解の多いAOについて、意義や現状をまとめてみました。

◆注目される国際教養系AO生

AO入試を実施している学校の中で、特に注目を集めているのが、G5と括られる呼ばれる学校・学部です。AIU(国際教養大学)、ICU(国際基督教大学)、APU(立命館アジア太平洋大学)、早稲田大学国際教養学部、上智大学国際教養学部の5つで、これらの学校の卒業生は「国際社会で戦力になる」という評価が固まりつつあり、最近では「業界研究」と称して就活前に優秀生を獲得しようと、多くの企業が獲得に乗り出しています。

人気の背景には、基本的に授業を英語で行うという徹底した英語教育環境と、多くの留学生と共に学ぶ異文化交流があります。当然、英語の学力は必須で、プレゼンのスキルや話のうまさだけで合格しても、授業について行けません。基礎学力のないAO生は入学後が大変になります。

◆一般入試とは違う努力が必要

人気校のAO入試で合格を勝ち取るためには、当然準備が必要です。まず、学校の内申点を上げる必要がありますので、普段からコツコツ勉強をする必要があります。一般入試の場合、高校内での進学卒業の心配がなければ、高2・高3から受験勉強をはじめる生徒も多くいます。要は、本番の入試で合格点さえ採れればよいわけです。

しかし、AOの場合、出願資格に内申点がある場合が多く、学校の勉強を疎かに出来ません。予備校などの場合、クラスや講師と合わなければ変更がききますが、学校の場合そうはいきませんので、苦労するケースもあります。

◆準備は高1から、求められる計画性

AO入試は一般入試よりも早く始まる場合がほとんどで、一般の受験生があと一年、といっている2月にはすでに入試まで半年しかない学校も。また、TOEFLや英検などの資格が必要な場合も多く、年に2回しか試験のない資格が必要な場合、更に半年、一年と余裕を見て準備をする必要があります。

しかし、高2高3になって基礎学力不足からAO入試を目指す受験生も多く、よほど計画性がない限り、人気の高い学校・学部のAO入試には間に合いません。ほとんどの学校で、出願資格は3年前には確定していますので、早めに覚悟して望むことが求められます。

AOで入学した生徒について、多くの大学関係者は「すごく勤勉で成績が良いか、全く努力もしないし成績も悪いか、両極端」だといいます。確かに一般入試よりもハードルが低い印象がありますし、実際生徒集めのためにAOを行う大学もありますが、評価させている学校を目指すなら、一般入試よりも大変なことも多く、「一般入試の準備をしつつ、AOも受験する」位の心構えが必要です。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE)

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→AO入試の誤解と現状(塾講師ステーション情報局)

アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

1995年より教育・アート・ジャーナリズムの現場でパラレルキャリア×プレイングマネージャとしてのキャリアを積み、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を探究するアルスコンビネーター。2万人を超える直接指導経験を活かし「受験×探究」をコンセプトにした学習塾『知窓学舎』を運営。主宰する『教養の未来研究所』では企業や学校と連携し、これからの時代を豊かに生きるための「リベラルアーツ」と「日常と非日常の再編集」をテーマに、住まい・学校職場環境・サードプレイス・旅のトータルデザインに取り組んでいる。近著『正解のない教室』(朝日新聞出版)◆ご依頼はこちらまで:yahagi@aftermode.com

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