特技を活かし、ホームレス脱出への道作り~NPO法人Homedoorの挑戦

大阪で「ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造をつくる」ための活動を展開するNPO法人Homedoor。今、注目を集めている路上生活から脱出するためのアイデアと実践を取材しました。

◆路上生活者の“特技”を活かす

「民間でおっちゃん達を支える仕組みを作っていきたい」という川口さん
「民間でおっちゃん達を支える仕組みを作っていきたい」という川口さん

「おっちゃん達の7割くらいがチャリに詳しいんです」。と語るのは、19歳で当団体を設立した理事長の川口加奈さん。路上生活者の生活の糧は、廃品回収がメイン。そのために自転車は必需品なのですが、廃品回収で得られる収入は1日1200円程度だといいます。「例えばパンクした時に修理代が500円かかります。とても自分では出せないから、自分で直すようになるんです」。

そんな路上生活者の特技を活かそうと考え出されたのが『HUBchari(ハブチャリ)』、大阪市内にある18拠点で、自転車の貸し出し・返却ができるシェアサイクルサービスです。放置自転車対策とホームレスの就労支援を兼ね、「おっちゃん達が、自分のスキルを活かして自転車の整備や修理をします」。

◆社会に関わることでコミュニケーションに慣れる

「目的を持って街をうろうろしだすと頭がしっかりしてくる」という山内さん
「目的を持って街をうろうろしだすと頭がしっかりしてくる」という山内さん

「Homedoorや施設に出入りするようになって、話せるようになってきた。体力も戻ってきた」というOBの山内さんは、10年以上引きこもり生活の結果、人と話すのが苦手になってしまったといいます。2年間Homedoorに関わって路上生活から脱出、この4月からは商品を封入する仕事に就くことが決まっています。

「おっちゃん達は、コミュニケーションが苦手な人が多く、面接で落ちてしまうことも多い。だから急には普通の仕事に就けないんです」という事務局長の松本浩美さんは取っかかりとして「一人でも出来る缶集めの要領」で出来る仕事が必要だといいます。「今の山内さんなんて、どんな話題でも話せるし、とても話すのが苦手だったとは思えないです」。

◆防犯×ホームレス雇用のアイデア

12歳からホームレス支援活動に携わっている松本さん
12歳からホームレス支援活動に携わっている松本さん

Homedoorが新たに展開を準備している『CRIMELESS』は、廃品回収などの際、毎日決まったルートを巡回するところに目をつけ、GPSを自転車につけてパトロールをして貰おうというアイデア。地元企業などからの協賛金や、パトロール要請の利用料での運営を目指し、『Google インパクトチャレンジ』のファイナリストにノミネートされています。

手先が器用な「おっちゃん」達の作品が並ぶ事務所
手先が器用な「おっちゃん」達の作品が並ぶ事務所

「廃品回収だけでも、なんとか路上生活はできますが、路上脱出の費用まではたまりません。しかし、廃品回収以外になじみのある仕事はなかなかなく、結果として路上に居続けてしまう人も多いんです。仕事の選択肢を増やして、それぞれが特技を活かして、自己有用感を高めながらマイペースで路上脱出の為の貯金が出来るようにしたい」という川口さん。路上生活から脱出するためには初期費用として10万円程度が必要。Homedoorではすでに100人ほどの0Bを輩出、中には駅前のサイクルサポート業務に就き、3ヶ月で路上から脱出したケースも。

誰もが何度でもやり直せる社会が理想だというHomedoorメンバー。行政のセーフティーネットの穴を、若い民間団体がどのように埋める仕組みが作れるか期待されます。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE)

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