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コンビニのセルフレジで酒•たばこが買える実験をローソンが密かにスタート。

渡辺広明コンビニジャーナリスト/流通アナリスト

コンビニをウォッチする仕事をしていると、新しい取り組みをチェックするため、定期訪問しなければならない店がある。

そんな店のひとつであるローソンゲートシティ大崎アトリウム店で買い物しようとセルフレジに向かうと、通常のセルフレジでは、年齢確認が障壁になって買い物出来ない、酒とたばこのセルフレジで購入する実験が実施されていた。

ローソンTOC大崎店 運転免許証リーダー対応のセミセルフレジ 店外から筆者撮影
ローソンTOC大崎店 運転免許証リーダー対応のセミセルフレジ 店外から筆者撮影

レジ後ろにあるたばこ什器に加えてレジ前にもたばこ什器を設置しセルフで買い物出来る環境を整えて、運転免許証を専用のリーダーに読み込ませるか、もしくは事前ローソンアプリ内の年齢確認用バーコードをスマホで表示させセルフレジでスキャンさせる(初回のみ年齢確認用バーコードから初年齢確認書類を店員に提示し登録が必要)、2種類の方法で年齢確認を実施し販売する方法だ。

通常の酒・たばこ販売でお客さまにレジボタンを押してもらい、疑わしい場合に店員が声かけして年齢確認する対応よりも、年齢を確実に分かりスマートに販売出来る方法ともなる。今回は、財務省などの所轄官庁などと連動しての実証実験だと推察されるが、コロナ禍や総額表示など、消費マインドがマイナスに働く事が多い中、今回のようなポジティブな動きが、迅速に官庁と民間が組んで行われている事は大変素晴らしい事だ。

コンビニのセルフレジの目的は省人化となる。ローソンは2019年8月から約半年間、

人手不足対応として横浜の氷取沢町店で

QRコード認証と顔撮影の入店管理とセルフレジを利用した深夜時間帯(午前0時〜5時)の無人営業実験を行なっていたが、深夜に販売指数の高い酒とたばこの販売が出来ないため、

売上が落ちてしまい店舗拡大には至っらなかった。今回のセルフレジによる酒・たばこの

展開が成功すれば、深夜時間帯のコンビニの無人営業が一般化して、人件費削減や省力化の後押しになる。また、売上構成比高い酒とたばこの展開は、セルフレジ利用が一挙に進むきっかけにもなり得るだろう。

セルフレジは、まさにコンビニの今後のあり方の最もポイントとなりそうだ。

ローソンは現状導入されているレジがモード変更でセルフレジになるため、既に全店導入済みとなっている。

セブン-イレブンでは、決済のみを顧客が行うセミセルフレジの導入を今年の8月までに全店導入する予定で進めており、近頃は初じめて利用する人が増え、少し戸惑いを感じる場面も多くなっているのではないか?

セブン-イレブンセミセルフレジ 店外から筆者撮影
セブン-イレブンセミセルフレジ 店外から筆者撮影

私は時折、コンビニのアルバイトを各チェーンしているが、レジ接客では無言で電子マネー決済を求める顧客が一定数いるため、セブン-イレブンのセミセルフレジは店員の接客作業のストレスは減っているのは間違いなく、1日当たり約7時間のレジ接客時間の削減につながると発表されていている事もあり省力化に繋がっているのだろう。但し、セルフレジと違い店員が完全にレジから離れられないため、省人化には繋がらないため、今後はセルフレジとの併用も視野に入れていると考えられる。

コンビニのセルフレジは仕組みや規制も含め進化の瞬間を迎えている。お客さまはガソリンスタンドのセルフ対応に慣れていったように、コンビニでのセルフレジ利用が一般化するフェーズとなり、どんなカタチがレギュラーの対応になるのか?試行錯誤も最終段階に入っていきそうだ。

コンビニジャーナリスト/流通アナリスト

渡辺広明 1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニの店長、バイヤーとして22年間、ポーラ・TBCのマーケッターとして7年間従事。商品開発760品の経験を活かし、現在 (株)やらまいかマーケティング 代表取締役として、顧問、商品開発コンサルとして多数参画。報道からバラエティまで幅広くメディアで活動中。フジテレビ「Live News a」レギュラーコメンテーター。 「ホンマでっか⁉︎TV」レギュラー評論家。全国で講演 新著「ニッポン経済の問題点を消費者目線で考えてみた」「コンビニを見たら日本経済が分かる」等も実施中。

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