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ファミマ「クリスピーチキン」のTVCM流れていたのに欠品はなぜ?

渡辺広明コンビニジャーナリスト/流通アナリスト
クリスピーチキン (プレーン•ハバネロホット2種 税込145円) 筆者撮影

「TVCMを見て、ファミマにクリスピーチキン買いに行ったのに買えなかった」との連絡が知人から複数入った。

ファミリーマートの40周年記念商品であるクリスピーチキンは、2日間で200万個という初速の大ヒットとなり新商品発売から10日間で販売を順次休止している。

確かに、発売1週間後に都内の店舗に買いに行くと、クリスピーチキンがケースに陳列して無かったので店員に「待つので揚げて貰えますか?」と聞いてみるも在庫はもう無いとの事で大ヒットを実感した。

マスコミの方からも、"品薄商法"では?の取材も入ったが、それは無いと断言出来る。

コンビニなどの小売店は、メーカーと違いお客さまと直接向き合っていて、ましてやコンビニはフランチャイズオーナーが店舗運営している事がほとんどなので、本部の戦略で各個店に迷惑のかかる事を前提とした施策は基本あり得ないからだ。

一方、コンビニの新商品は、本部ではなくフランチャイズオーナーに発注権があるため、全体の発注数の推測が難しく、メーカーやベンダー(問屋)の初回発注の在庫数は店舗への欠品が許されない事もあり過剰在庫になる場合が多く、在庫のメーカーへの返品などの無駄が起こるという側面もある。

但し、今回のような会社の節目となるような大型案件は、商品部とマーケティング部と店舗運営部が事前に密な連携を実質し販売数を予測して商品在庫を確保するケースとなるため、欠品になる事はあまり無い。

また、発売1週間前までには、店舗巡回員が店舗の発注数や販売計画を基本的に取りまとめるため、その時点で今までに無く発注数が上がる事が読めたはずで、事前にTVCMなどの出稿量や日程の調整が可能だったとも推察されたにもかかわらず、品薄、一部店舗の欠品後もTVCMの差し替えをしなかったのは解せない。

今回の欠品は、コンビニにおける基本的であり一番大事な本部内のコミュニケーション調整不足が主要因だと思われる。

発売後にも初日販売数の状況からさまざまな対策が取れたものの後手に回った感もある。

クリスピーチキンの一旦の販売休止からの再発売はマーケティングコストも再投資となり、販売休止後の再販売は困難な部分もあるが、店舗での拡販の努力もあり顧客に支持された商品である事は間違いなく、ファミチキ以来の大ヒット商品になる事を期待したい。

コンビニジャーナリスト/流通アナリスト

渡辺広明 1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニの店長、バイヤーとして22年間、ポーラ・TBCのマーケッターとして7年間従事。商品開発760品の経験を活かし、現在 (株)やらまいかマーケティング 代表取締役として、顧問、商品開発コンサルとして多数参画。報道からバラエティまで幅広くメディアで活動中。フジテレビ「Live News a」レギュラーコメンテーター。 「ホンマでっか⁉︎TV」レギュラー評論家。全国で講演 新著「ニッポン経済の問題点を消費者目線で考えてみた」「コンビニを見たら日本経済が分かる」等も実施中。

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