コンビニは近頃、新しい事を始める際にはしれっと実証実験からスタートする。そのため筆者は日々、夕方にはTwitterやInstagramなどSNSをチェックし、最新トレンドを検索するのが日課となっている。18日夕方、「セブン-イレブンでダイソーの商品が売っている」という目を疑うような投稿を見つけたので、深夜に横浜の自宅から平塚まで車を飛ばしてみた。

セブン-イレブン平塚出縄店 筆者撮影
セブン-イレブン平塚出縄店 筆者撮影

 住宅街立地にあるセブン-イレブン平塚出縄店をのぞいてみると、確かにダイソーの棚が5本並んでいた。店に入って取扱商品をチェックしてみると、キッチン用品や文房具などの多くの日用雑貨がダイソーの商品に置き換わっており、ざっと目視して約300~350点の品揃えがあった。食器洗い用のスポンジが5個入りで100円、黒インクボールペンが3本で100円というのは100円ショップでは当たり前の光景だが、各商品の定価販売を基本とするコンビニ店内では異彩を放っており、思わず売り場をのぞき込むお客様も見られた。

売上不振のコンビニの日用品の売場が生まれ変わる

 それにしてもなぜ、セブン-イレブンがダイソーの商品を陳列して販売するのか。背景にあるのは日用品カテゴリーの販売不振だ。私がローソンで日用品の担当バイヤーをしていた15年前には、コンビニの日用品は売上構成比で日販の6~8%あったが、最近では3%弱にまで落ち込んでおり、売り上げが立たない売り場となっている。さらに、コロナ禍でテレワークが継続されることで、ビジネス立地の店舗が苦しむ中、住宅街立地の店舗は好調というアンバランスな状況下でコンビニは、いかに緊急購買のお店から日常使いのお店になるかを求められている。

 これまでもコンビニは中食の冷凍食品やチルド総菜、カウンターファーストフードの充実化させて住宅街立地への浸透をはかってきたが、この流れがコロナ禍で加速し、遂に日用品にも手を入れる時期が来たという認識は各チェーンにも共通している。

 既にファミリーマートでは親会社が繊維の伊藤忠であることと澤田社長がユニクロ出身を生かして、大阪でオリジナルブランドである"ConvenienceWear"の衣料品を自社開発して利益も確保して実験販売中。

新大阪駅前のファミリーマートのConvenienceWearの展開 筆者撮影
新大阪駅前のファミリーマートのConvenienceWearの展開 筆者撮影

ローソンも無印良品と組んで新しい日用品売り場を模索している。そんな中、業界トップのセブン-イレブンがダイソーと手を組むのはかなりのインパクトを与えるだろう。

ローソン久ヶ原一丁目店 無印良品実験展開 筆者撮影
ローソン久ヶ原一丁目店 無印良品実験展開 筆者撮影

ワクワクする新たなマグネット商材

筆者が特に可能性を感じたのは100円ショップの商品を陳列することにより、売り場に意外性がもたらされていた点だ。具体例をあげれば、じゃがりこのようなカップ容器のスナックを手を汚さずに食べられる「じゃがキャップ&トング」や「醤油スプレー」、「洗面台のゴミガード」などいわゆるアイデア商品である。従来の日用品売り場では定番商品しかなかったので売り場の前を通り過ぎてしまう人も多かったが、こうしたアイデア商品が新たなマグネット商品となるかもしれない。そもそも、駄菓子をのぞけば100円で買える商品自体が珍しいコンビニなら、あまり財布を気にすることなく「とりあえず、これ試してみようかな」といった心理がはたらくのではないだろうか。

100円ショップの商品の基本の利益率は30~40%といわれており、仮にセブン-イレブンからダイソーへのマージンがプラスされての展開となっている推察されるが、店舗オーナーも、売れ行きの良くない定番品をただ陳列しているよりも、ダイソーの豊富な商品群の中から何を仕入れて売り上げが取れる売り場を作るほうがワクワクするだろう。一方でダイソーは、セブンの2万1038店舗数(2020年11月末現在)を生かせれば、全店で展開しないにしても、仕入れ力をあげられ製造メーカーと優位な交渉に拍車がかかるメリットがある。

セブンの他の店でも同様の実験をしているかは現状は分からないが、コンビニ盟主と100円ショップの盟主がタッグのカギが生活者目線になることは間違いない。