もうすぐ師走。冬の訪れを感じる季節となりました。家計にとって今季は特に暖房費の節約が大きな課題になりそうです。

原油や液化天然ガス(LNG)の価格上昇を受け、ガソリンや灯油、電気やガスの料金も上がっています。全国の電力大手10社が10月28日に発表した12月の家庭向け電気料金は、11月と比べて全社が値上がり。都市ガス大手4社も12月は全社が値上がりし、電力・ガス全社での値上がりは4か月連続です。電気・ガス料金に燃料価格が反映されるには3~5か月のタイムラグがあるため、現在も燃料価格が高騰していることから今後まだまだ上昇傾向が続くとみられます。

冬場の家庭でのエネルギー使用の多くは暖房です。エアコン暖房の場合、設定温度を1度低くするだけでも約10%の消費電力の削減になりますので、暖房を控えめにすることが冬の光熱費節約に大きく影響します。暖房時の目安となる室温は20度(環境省「WARM BIZ」より)です。

暖房費を節約するには、暖房器具の使い分けや着るものでの対策もありますが、最も重要なのは暖房を最も効率よく効かせるために部屋の環境を整えることです。今回は省エネしつつ暖かく過ごす暖房費節約のポイントをご紹介します。

暖房時の室温は20度を目安に
暖房時の室温は20度を目安に写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

熱を逃がさない

暖房をつけても暖気を室内にとどめておかなければ意味がありません。そのためには、暖気の流出を防ぐこと、外からの冷気の流入を防ぐことが必要です。

部屋の暖気は、窓や壁、床、天井など様々な部分から流出しますが、特に窓からの流出は全体の約50%を占めているため窓への対策は必須です。

複層サッシや二重サッシにリフォーム(国や自治体の補助金・助成金などの制度もあります)すれば効果絶大ですが、手軽な対策としては、カーテンを厚手のものに替える、二重カーテンにする、窓に断熱シートを貼るなどの方法があります。発泡スチロールやプラスチック段ボール、市販の防寒パネルなどを窓枠に置いて冷気を防ぐのも有効です。

カーテンでの対策は、長さにも注意しましょう。冷たい空気は暖かい空気よりも重いため、冷えた空気は床の方へおりていきます。窓とカーテンの間の空間で冷えた空気は、隙間があればそのまま室内に流入し床に冷気が溜まる原因になります。

掃き出し窓の場合、カーテンは床に引きずるくらい長めに。長さが足りないときは、カーテンフックの長さを調節して長くするか、100均などに売られている丈の短いカフェカーテンを両面テープでカーテンの裾に付けてしまえば、簡易的にカーテンの長さを出すことができます。腰高窓の場合は窓を十分覆う長さにし、窓下はカーテンの裾をひらひらさせておかず窓枠に固定するか、窓枠に発泡スチロールや市販の防寒パネルなどを置くと良いでしょう。

暖気の流出を防ぐと同時に、冷気の流入を防ぐ対策もお忘れなく。室内ドアや引き戸、ふすま、コンセントボックスの周囲などの隙間に手を当て、冷気を感じないか確認してみましょう。冷気を感じる場合は、100円ショップやホームセンターなどで売られている隙間テープなどを用いてふさぎましょう。

LDKのように居室とキッチンが同室の場合、調理中に換気扇をつけると暖気が換気扇から吸い出され、隙間から冷気が流入し部屋全体の温度が下がることがよくあります。これを避けるため、換気扇をつけるときには換気扇から近い窓をほんの少しだけ開けてみてください。すると、窓から外の冷気は入りますが、窓と換気扇の間で空気の循環が起きるので、室内の暖気が換気扇から吸い出されるのを防ぐことができます。

湿度を保つ

湿度は体感温度と密接な関係があります。気温が10度以上の場合、湿度が高いほど暖かく感じるため、気温が同じでも乾燥した状態だと暖かく感じにくくなります。冬場、特に太平洋側は非常に乾燥しやすいですが、湿度を上げて体感温度を上げることも暖房費節約につながります。

空気中に含まれる水蒸気の量が同じ状態で室温が上がると、相対的に湿度は下がりますので暖房をつけると乾燥しやすくなります。特に気を付けたいのはエアコンや床暖房です。一般的に石油やガスの暖房器具の場合、燃料の燃焼によって二酸化炭素と水蒸気が発生しますので、空気は汚れますがある程度湿気は増えます。ところがエアコン暖房や床暖房などの場合、燃料を燃焼させるわけではないので、室温だけが上がり、湿度は下がってしまうのです。エアコンの一部の機種では加湿をしながら暖房ができるものもありますが、ほとんどの場合は加湿が必要になります。

加湿をするには、室内に洗濯物を干すなどの方法もありますが、安定した湿度を保つなら加湿器を使用するのが無難です。但し、加湿のし過ぎは結露やカビの原因になりますので、湿度計を部屋に置き湿度管理をしましょう。

湿度計は窓の近くやドア際、暖房器具の風が直接当たる場所を避け、人の目線くらいの高さに設置します。適切な湿度は45~60%程度。最低でも40%以上をキープするのが理想です。

上下の寒暖差を解消する

暖かい空気は軽く、冷たい空気は重い性質があります。部屋でエアコンやファンヒーターをつけたとき、吹き出した暖気は上昇気流となり部屋の上層部へ、窓辺で冷やされた空気が下降気流となり床に流れたまっていきます。こうして部屋の上下の寒暖差が大きくなる現象を「コールドドラフト現象」と呼び、暖房効率が悪くなると同時に健康にも悪影響を与えます。

これを解消するのに有効なのは空気の攪拌(かくはん)です。サーキュレーターや扇風機を使用し、部屋の窓側から天井方向に向けて風を送ります。風が窓に当たると暖かい空気が冷えてしまいますので方向にはご注意ください。

なお、サーキュレーターの方が直進的な風が遠くまで届き、首の向きが自在なので、空気の攪拌にはより向いています。扇風機を使う場合は、首が上に向かない機種が多いと思いますので、家具の上などに置いて使用すると良いでしょう。

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経済産業省によると、この冬の電力需給の見通しは過去10年間で最も厳しくなる見通しとのこと。家計負担をできるだけ減らすためだけでなく、電力需給ひっ迫への対応としても、ぜひ今年の冬は暖房費の節約を心掛けましょう。

※出典:環境省COOL CHOICE「家庭でできる節電アクション」

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】