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マスクをつけないと懲戒処分!?:終わらないマスク騒動・もっと必要なコロナ対策

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:世界に広がる新型コロナとマスク不足(写真:ロイター/アフロ)

<マスクへのこだわりが止まらない私たち。もっと効果的な感染対策があるのに。もっとマスクを必要としている人がいるのに。>

■マスクつけずに会議出席した人を懲戒処分…大阪の専門学校

コロナの感染拡大が止まりません。マスク不足も終わりません。関係者は賢明な努力を重ねていますが、トラブルは続出です。

マスクを着けずに会議に出席したことなどを巡り、〜嘱託職員の男性(60)を出勤停止の懲戒処分にしていたことが28日、わかった。同校職員らの労働組合は「行きすぎた処分」として同日、法人側に団体交渉を申し入れ、来月には抗議文を提出する方針。

出典:マスクつけずに会議出席、「買えなかった」嘱託男性を懲戒処分…大阪の専門学校 4/29読売新聞Y!

処分を受けた男性は、「どこに行っても買えない」と説明しているそうです。このケースでは懲戒処分が出て組合が抗議したので全国ニュースになりましたが、責められたり、嫌味を言われた程度なら、報道されることはなかったでしょう。

そして、そんなふうにマスクをしていない人が過剰に責められることは、日本中で起きているでしょう。

先日は、銀行がマスクをしない客の入店を拒否し、後になって批判を受けた銀行が謝罪することもありました。

■不織布のマスクでなければダメ?

教職員全員が校内ではマスクをする学校は、多くあるでしょう。ただ、そのマスクの意味は、細かく規定などせず、マスクなどで口や鼻を覆うという意味でしょう。

布マスク、手作り布マスク、ハンカチマスク(ハンカチにゴムをつけただけ)、バンダナ(そのまま巻くだけ)でも、OKです(私もそうしています)。

■新型コロナの感染予防:マスクは効果的?

感染症の専門家らは、以前からマスクの効果には懐疑的でした。ただ、最近になってマスクの使用を勧めるコメントも出ています。

とは言うものの、無症状の人もマスクを絶対しましょうと主張する専門家は少数でしょう。

先日4/25にヤフーニュース個人に掲載された「症状がない人もマスクをつけるべきか?」(忽那賢志 | 感染症専門医)でも、「無症状でもマスクを着用して良いかもしれないが、他の感染対策もしっかり行うことが重要」と結論づけています。

「良いかもしれないが」という程度です。

専門家会議が提示した「人との接触を8割減らすための10のポイント」では、イラストで描かれたその10番目に「会話はマスクをつけて」とあります。

ただ、副座長の尾身茂氏は、「10:近い距離での会話はマスクなどをつけて行って」と述べています(人との接触を8割減らす「10のポイント」専門家会議が提示 4/22the PAGE)。「マスクなど」です。

先日、4/20「濃厚接触」の定義が変わったと報道され、その中で「マスクなしで15分以上会話をするなどの接触をした人」などと報道されていましたが、実際に国立感染症研究所のサイトを見ると、「マスク」の文字は見当たりません。

国立感染症研究所の「濃厚接触者」の定義の4番目に「その他」があり、そこに次のように書かれています(新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領:国立感染症研究所 感染症疫学センター)。

手で触れることの出来る距離(目安として 1 メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と 15 分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。

これが報道では、「マスクなしで」になります(わかりやすい表現ということなのでしょうが)。

厚労省も、マスクなど咳エチケットの大切さは述べています。厚労省の咳エチケットのイラストによる説明を見ると、「マスクを着用する」「(マスクがない時は)ティッシュ・ハンカチで口・鼻を覆う」「(とっさの時は)袖で口・鼻を覆う」の3つが勧められています。3つとも同じ「○」で、そのまま咳やくしゃみをしたり、手で覆うのは、「×」と表現されています(咳エチケット:厚労省)。

そして厚労省からの「マスクに関する国民へのお願い」としては、「感染症の拡大の効果的な予防には、風邪や感染症の疑いがある人たちに使ってもらうことが何より重要です」と述べています。

マスクが平時のように十分あるなら、誰がマスクをしても、みんなにマスクを勧めても良いでしょう。でも、たとえば全国の大学、専門学校の、全教職員、全学生に、不織布マスクを義務化などしたら、マスク不足に拍車がかかり、本当に必要な人にますますマスクが届かなくなるのではないでしょうか。

今、世界的なマスク不足が止まらず、世界がマスクの奪い合いをしています。不織布などの材料も高騰しています。

手作りマスクのガーゼもゴムも糸も品薄です。代用品としてベビー用品まで使われたりもしますが、そうすると今度はベビー用品が品薄になり、必要な人々が困っています。

■マスクだけが大切?

新型コロナ感染拡大の予防に大切なのは、

手を洗え、顔に触るな、距離を取れ、です。「3つの密」を避けましょう、です。

多くの大学等では、休校になり、遠隔授業を行い、教職員の会議も減らしています。メール会議やテレビ会議です。

本気で校内の感染予防をしたいなら、会議でマスクをしない教職員を責める前に、会議で集まらないようにする工夫の方が必要でしょう。

でも、このような問題は記事になった学校だけのことでしょうか。

国会の予算委員会を見ても、みんながマスクをしています。でも、2メートルの距離を取らずに座っている人たちがたくさんいます。テレビに映っていても、平気で顔やマスクを触る人も普通にいます。

マスクは、今や新型コロナウイルス感染拡大予防の象徴なのでしょう。一つのシンボルとしてなら、良いと思います。でも、まるでマスクが「神聖にして侵すべからず」の対象のようになり、絶対視するのは問題です。

マスクが免罪符になり、マスクさえしていれば良い考えてしまうことは、かえって逆効果になることもあるでしょう。

実は、「マスクなど」で良いのに、マスクをしていない人が過剰に責められることが起きています。

実は、「良いかもしれないが」という程度のことなのに、症状のない、マスクの必要性が低い人が大量のマスク購入を続けています。そしてその一方で、本当にマスクが必要なのに1枚のマスクを3日使うようなことが病院や福祉施設で起きています。

看護師さんら病院スタッフや、介護職の皆さんは、毎日必死の思いで働いているのに。

マスク不足を解消するためにも、効果的な感染予防のためにも、正しいマスクの使い方、購入の仕方をしたいと思います。

医学的、科学的に、冷静に、バランスの取れたウイルス対策を進めていきましょう。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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