アンケート調査の大問題:数字に騙されないために:コロナビール、「米国での販売は好調」 世論調査に反論

写真はイメージ:「わからない」は答えにくい(写真:アフロ)

<世の中には間違ったアンケートがいっぱい。騙される人もいっぱい。では、どうすれば良いのか。>

■アンケート調査とは

アンケートとは、質問。問合せ。多くの人に意見を求める通信調査や面接調査などのことです(あれ?そうすると本当は「アンケート調査」という言い方は間違いかな。でも、一般的に使われていますね)。

調査は、とても大切です。国も、様々な調査を行い、政策を決めていきます。人口調査のようなものは、はっきりしているから良いでしょう。

問題は、質問に答えてもらう「アンケート」です。アンケートによる失敗って、けっこうたくさんあります。商業的な失敗もありますし、政治が誤ることも、マスコミが誤ることもあります。

あなたの身近なところでも、アンケートをとった結果、かえって面倒になったことはありませんか。

アップル社の創業者スティーブ・ジョブズは、消費者アンケート(マーケティングリサーチ)が嫌いでした。彼は、こう言っています。

「顧客が望むモノを提供しろ」という人もいる。

だが、私の考えは違う。

顧客が今後、何を望むようになるのか、それを顧客本人よりも早くつかむのが我々の仕事なんだ。

本当に売れる画期的新商品のアイデアを、お客さんは出してはくれません。

あなたが、職場や町内会などでアンケートをとっても、理想的なことや、勝手な言い分ばかり集まって、しかもアンケートをとってしまったのだから無視もできなくて、困ってしまった。そんな経験はないでしょうか。

アンケートは危険がいっぱいです。アンケート結果で人々を騙すこともできます。アンケート結果で商売がガタガタになることもあります。

実はアンケートが悪いわけではなく、アンケートの使い方が悪いのですが。

■コロナビールの売り上げが落ちている?

新型コロナウイルスが世界的に流行している中、「ビールを飲む米国人の38%が今はコロナビールを買わない」と答えたという世論調査結果が発表されたことを受けて、同ビールを販売する酒類販売大手コンステレーション・ブランズ(Constellation Brands)は28日、米国でのコロナビールの販売はこれまでと変わらず好調だと反論した。

出典:コロナビール販売元、「米国での販売は好調」 世論調査に反論:AFP2/29Y!

この記事に、次のようなオーサーコメントをしました。

アンケート調査の問題は、人は質問されれば答えるということです。

「新添加物『ヘルサマサラ』に賛成か反対か」と質問すれば、回答が返ってきます。そんな添加物は存在しないのに。

今まで意識していなかったのに、質問されることで意識してしまうこともあります。

「東京は緑が少ないですね」と言われても「多いでね」と言われても、人はどちらにも「はい」と答えたくなります。

質問の仕方によって、回答は変わるのです。新聞社によって内閣支持率の差があるのは、このためです。

アンケート調査の歴史に残る失敗として有名なのが、電話アンケートによる大統領選挙の予想(当時電話を持っている人は一部の階層だけだった)、高価なビールと安価なビールの好みの調査(回答者は見栄を張り高価なビールと回答)などがあります。

アンケート結果が出ると、しばしば数字が独り歩きします。そこから新たな偏見や風評が出てはいけません。

この問題をさらに考えてみましょう。

たとえば、新しい飛行場建設に反対しているグループが街頭アンケートを取り、反対が9割だったとしましょう。そのアンケート結果は、議会も動かしました。

でもこれ、大変な間違いです。

■誰がアンケートに回答しているか

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東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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