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災害ボランティアNGワード:台風19号:豊かなコミュニケーションのために

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
台風19号、東日本各地に被害 福島県・伊達市梁川町(写真:ロイター/アフロ)

正論よりも話を聞くことを。下手な慰めよりもあなたの笑顔を。

被災地ボランティア

大規模災害からの復興には、多くの人の力が必要です。多くのものが失われた被災地では、多様な人材が求められます。疲弊する被災地で、元気なあなたが求められています。

NGワード:傷つける言葉

被災地ボランティアが言わない方が良い言葉として、次のような言葉があげられます。

  • がんばってください
  • 前向きに行きましょう
  • 早く忘れましょう
  • 泣いてはいけません
  • 気持ちはわかります
  • 私にはとても耐えられません
  • あなたはまだまし

語る側は善意でも、相手を傷つけることがあります。正しい言葉もあるかもしれませんが、苦しい時に正論を聞いても、辛いだけのこともあります。

時には、「被災者」という言葉に傷つくことさえあります。

豊かなコミュニケーションを

NGワードなど紹介されると、コミュニケーションが怖くなってしまう人もいるでしょう。でも、NGワードは口をふさぎ目をそらすためのものではなく、現地の方々と向かい合い、耳を傾け、笑顔でコミュニケーションを取るためのものです。

被災地の多くの方々は、ボランティアの皆さんを大歓迎です。頼りになるベテランボランティアはもちろん、初めて被災地ボランティアに来た若く不慣れなあなたのことも、大歓迎です。

高齢のご夫婦だけでかたずけなくてはならないのと、元気なみなさんが大勢来てかたずけてくれるのは、大違いです。それは、時間や労力の問題だけではありません。ボランティアは、元気を届けに行くのです。

もちろん、被災地ではしゃぐのは不謹慎です。でも、元気に笑顔でボランティアをするのは良いことです。依頼者の皆さんと、ぜひ積極的に話しましょう。依頼者から話を聞き(無理に聞き出したりはしない)、雑談もしましょう。何気ない雑談は、実は大きな力があるのです。

そして、どうか病気や怪我に気をつけて。多くの破壊を体験して来た方々は、これ以上の被害は見たくはありません。しっかり自分を守りながら、元気に働き、笑顔で帰りましょう。

いつの場合も、笑顔は最高のコミュニケーションになるでしょう。

「泣くものとともに泣き、笑うものとともに笑え」(聖書)

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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