子どもにはチャイルドシートを:子どもを守るための子育て心理学

(写真:アフロ)

■シートベルトと車外放出事故

交通事故は0にはできません。けれども関係者一同の努力によって、死亡事故はずいぶん減ってきました。シートベルトも普及しました。シートベルト着用状況全国調査(2014)によれば、運転者の98.2%シートベルトをしています。助手席は93.9%です。ただし、後部座席になると、35.1%に下がってしまいます。

しかし、シートベルト非着用による死亡事故のうち、後部座席における死者は全体の68%でした。後部座席だからといって、安全ではありません。また、後部座席からの車外放出による死亡者の93%がシートベルトをしていませんでした。

■チャイルドシート使用率

6歳未満の幼児には、チャイルドシート使用の義務があります。チャイルドシートにも様々な形がありますが、赤ちゃん用にはベビーシート、4歳ぐらいまでの幼児用にはいわゆるチャイルドシート、5~10歳にはジュニアシートがあります。

義務は6歳未満の幼児までですが、シートベルトは身長約140センチ以上の人向けに作られていますので、6歳以上でもチャイルドシート(ジュニアシート)が必要な子どももいます。

6歳未満児の死亡事故においては、チャイルドシート未使用で死亡率は4倍に跳ね上がります。それなのに、チャイルドシート使用状況全国調査(2014)によれば、チャイルドシート使用率は、62%です。1歳未満児で8割、5歳児で4割です。

2割の赤ちゃんは、チャイルドシート(ベビーシート)なしで、自動車に乗っています。大人が死亡するような大事故ではなくても、赤ちゃんが大怪我をする可能性があります。

5歳児の6割はチャイルドシート(ジュニアシート)を使用していません。大人用のシートベルトをしている子もいるでしょうが、小さな子どもに無理に使うと、危険です。

■子どもの死亡事故

チャイルドシートをしていなかった子どもが車外に放り出されて死亡する事故は、残念ながら時おり報道されます。自動車に乗るときは、きちんと座り、シートベルト(チャイルドシート)を使用するのが大原則です。

しかし、子どもの中には、シートで飛び跳ねて遊ぶ子もいます。サンルーフから頭を出していて、高架橋にぶつかり死亡した事故もありました。車の種類によっては、子どもが後部のフロアで寝転がっていたり、遊んでいる場合もあります。ほほえましく見えるかもしれませんが、しかしとても危険な行為です。

■チャイルドシートをいやがる子ども

子どもは、自由を奪われることを嫌います。チャイルドシートをいやがる子どももいます。しかし最初から、自動車に乗るときは絶対にチャイルドシートと決めておけば、子どもはそういうものかと納得します。何事も慣れですので、慣れてくれば、子どもも大丈夫です。

チャイルドシートをいやがって、駄々をこねる子どももいるでしょう。しかしチャイルドシートをしなければ車を出さないで良いでしょう。子どもとの根くらべになることもありますが、子育ての中には、いくつか絶対に譲れないことがあっても良いと思います。しかもチャイルドシートは、親の横暴ではなく法律であり、子どもの命を守る行為ですから、親も自信を持って主張しましょう。

乳幼児にとっては、チャイルドシートに座ると、暑くて汗をいっぱいかく子もいます。親は、注意して汗を拭いてあげたり、涼しくしてあげましょう。チャイルドシートは、「絶対」ですが、安全を守った上で不快感はとってあげましょう。

自動車の中にいるだけで飽きてしまう子もいるでしょう。渋滞するとなおさらです。親がイラついたりすれば、子どもはさらに不機嫌になります。親と子が狭い空間にいます。せっかっくのチャンスですから、楽しくいきましょう。おしゃべりしたり、歌ったり、しりとりしたり。

チャイルドシートに座って自動車に乗ることは楽しいことだと、子どもに体験させましょう。

■子どもを守るとは

親は子どもを愛し、守ろうとしています。チャイルドシートは安いものではなく、子どもの成長に合わせて買い替えも必要です。しかし、ここはお金を使うべきところでしょう。高価なおもちゃやブランド服よりも、チャイルドシートです。

子どもが嫌がっているのにかわいそうだと言う親もいます。しかし、子どもが嫌がるなら病院に連れて行かないでしょうか。何とか子どもを説得して、薬を飲ませたり、注射をさせたりするでしょう。赤ん坊なら、押さえつけもするでしょう。

後部座席で飛び跳ねて楽しく遊んでいるなら、良いではないかと言う親もいます。でも、サファリパークの自動車から外に出るのも、楽しければよいでしょうか。もちろん、そんな危険なことはさせません。

あかちゃんをチャイルドシートに座らせるより、自分でだっこしていきたいと言う親もいます。しかし、お母さんがどんなに愛情深くても、お母さんの腕力で子どもは守れません。衝突すれば、赤ん坊はお母さんの手を離れてしまいます。ちょっと急ブレーキを踏んだだけでも、ケガをするかもしれません。

子どもを守るとは、子どもが嫌がることを全て取り去ることではなく、必要があればがまんすることも覚えさせることです。「子どもを守ろうとしすぎて、かえって子どもが守れなくなっている親」になってしまっては困ります(「子どもを守る」の本当の意味は?:心理学者が伝える正しい子どもの「傷つけ方」:Yahoo!ニュース有料)。子どもを守るためには、がんこに叱りつけることも必要なのです。

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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