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新入社員・新社会人のみなさんへ:不安なままで大丈夫

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

■新社会人おめでとう。

おめでとう。おめでとう! 新しいスタートです。日本中に、ピカピカの新社会人1年生があふれています。

いろいろ不安や不満はあるかもしれないけれど、とにかく、おめでとう!です。いいじゃないですか。今日ぐらい。明るくいきましょう。本当に、心の底から「おめでとう!」。

「おめでとう」と言っているおじさん、おばさんたちは、本当にそう思っていますよ。若い人たちって、若いってだけでさわやかです。エネルギーを感じます。その人たちが、実社会にいよいよ出陣ですから、「おめでとう」って言いたいんです。その若い人たちが、自分の職場に来てくれたのは、とっても嬉しいんです。

「おめでとう」っていいますから、「ありがとうございます!」って、答えてね。みんなが歓迎しているから。がんばってほしいと、願っているから。それは、基本的には、君のお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんと、同じ気持ちです。

■不安なのは、あなただけじゃない

新入社員へのアンケート(株式会社ビジネスコンサルタント2014)によると、33%の新入社員が、「仕事が覚えられるかどうか」不安です。32%が「上司、先輩とうまくやっていけるか」不安です。自分はいろんなことに対処できるかと質問されると、半分の人が自信を持っていません。

まあ、あなたの先輩もこんなもんです。

別の調査(明治安田生命2014)によると、新入社員の37%が、この仕事が自分に向いていないかもしれないと不安を感じています。36%が職場のコミュニケーションに不安を感じています。

自分以外の人間は、みんな自信にあふれた有能な人に見えたりするものですが、みんな不安です。あなただけではありません。不安なままで良いのです。不安を持ったままで、とりあえず、元気にあいさつしてみましょう。それで十分です。

■見学やレクチャーを受けるときに大切なこと

最初は、研修で職場を見学したり、レクチャーを受けたりするでしょう。さて、その時に大切なこと。それは、研修は研修のための研修ではないということです。ここで明日から働くという実感をもって研修を受けると、全然違いますよ。

■新人だからチャンス!

新入社員ですから、社会人1年生ですから、いろいろ質問してOKです。わからなくて当たり前です。今なら許されます。失敗しても大丈夫。失敗するなら、今がチャンスです。怒られるかもしれませんが、後になれば笑い話です!

■先輩、上司から好かれる新人、嫌われる新人

ポイントは、「積極性」でしょう。知識がない、技術がないのは当然です。そんなことで嫌われません。でも、積極性、やる気がないと思われると、嫌われます。失敗しないようにと思って動かない人がいますが、積極的に動いてくれないと、指導もできません。やる気がないと誤解されます。仕事を一生懸命覚えようとしている新人は、かわいい新人です。

■お客さんから好かれる新人、嫌われる新人

4月は、いろいろな場所で「研修中」といった名札を付けている人に出会います。私は、たまたま一日でいくつかの大型書店のレジで、3人の「研修中」新人に出会ったことがあります。3カ所ともちょっと面倒なことを頼んだので、3人ともどうしたら良いのかわかりませんでした。

最初の2人は、はっきり言って、もたもたしていました。どうしたら良いのか、自分にはわからないし、先輩に聞くのもおどおどしています。客としては、このレジに並んで失敗したなと感じました。

ところが、3人目の研修中新人さん。やり方が分からなかったのは、前の2人と同じです。でも、てきぱきと先輩に質問して、対処してくれました。質問された先輩は、不愉快なわけがありません。待っている客である私も、時間は少し余計にかかりましたが、少しも不愉快ではありませんでした。本人も、新しいことが学べました。これが、新人ということであり、研修中ということでしょう。

わからないことに出会った時は、チャンス到来です!

■成長するあなた

最初からわかる人、できる人など、いるわけがありません。あなたを入社させた人事担当者は、それほど無能ではありません。あなたは、選ばれて、入社しました。今はできなくても、できるようになると、人を見るプロが選んだのです。だから、きっと大丈夫です。

あなたは、学校で成長してきたように、職場ではもっと成長するのでしょう。部活や、委員会活動や体育祭、文化祭で経験してきたことが、いよいよ本番を向えています。

あなたは、学校生活で味わったあの達成感を、もっと大きな舞台で味わおうとしています。苦労は多いのですが、不幸ではありません。

あなたは経験を通して成長し、あなたが会社を動かします。あなたが社会を変えていきます。あなたが、新しい世界を作ります。

誇張でもなく、きれいごとでもなく。それが、実社会で働くということです。あなたの活躍を、みんなと一緒に、期待しています。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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