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第2卒業式・第3卒業式とは:生徒の思い、先生の思いがあふれるセレモニー

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

■第2卒業式とは

そんな正式名称はありませんが、全国の中学校で行われています。そこには、生徒の思い、先生達の思いが、あふれています。

全国で行われていますが、学校関係者以外、ほとんど知られてていないでしょう。教職員の中での通称、第2卒業式、第3卒業式です。時には第4卒業式もあります。

午前中体育館で行われる、みんなが参加する卒業式が、第1卒業式です(そんな言い方はあまりしませんが)。多くの学校で感動的な卒業式が行われ、名残惜しそうにおしゃべりする元気な生徒達がみんな帰った後、その体育館での卒業式に出席できない生徒のために開かれる卒業式が、第2卒業式です。会議室や、視聴覚室で開かれる少人数の卒業式です。

全国の中学校には、年間30日以上欠席した不登校生徒が、約9万人います。ほぼ1クラスに1人いる計算になります。30日以上の欠席はなく登校しているものの、教室には入れず、ずっと「別室登校」を続けている生徒もたくさんいます。

そんな生徒達も、先生達が励まして、何とか卒業式に出席する場合もあります。でも、どうしても出席できない生徒もいます。そのような生徒のための卒業式が、「第2卒業式」です。

第2卒業式も、りっぱな卒業式です。学校にもよりますが、黒板に式次第を貼り、第1卒業式で使われた豪華な生花が飾られ、校旗が立てられます。校長先生、担任教師はもちろん、3学年部の先生方も参加します。スクールカウンセラーである私も、参加するようにしています。

数名の生徒と保護者と共に卒業式が執り行われます。校長先生の式辞があり、卒業生一人一人に卒業証書が手渡されます。生徒達は、晴れやかな顔をしています。この卒業式に出席できたこと、氏名を呼ばれて、「はい」と返事ができたこと。そのことに、感激し涙ぐんでいる先生もいます。

■第3卒業式、第4卒業式

少人数の第2卒業式にも出席できない生徒のための卒業式が、第3卒業式です。第2卒業式終了後、校長室等で行われます。生徒が保護者とともに一人やってきて、校長室で卒業証書が手渡されます。

校長室での一人の卒業式にも来られない生徒のためには、先生が卒業証書を持って家庭に行きます。そこで、第4卒業式として卒業証書を本人に手渡します。

■教職員の思い

私も、週一日だけの勤務ですが、教職員の一人として、いろいろなことを思います。

中学校の卒業式に参加。午前中の第一卒業式。午後別室で行われる第二卒業式。ずっと教室には入れなかった子も、晴れやかな顔つきだ。それは、イヤな学校からおさらばできるからではなく、その子なりに何かを成し遂げた喜びなのだと思う。

(碓井真史 @ 心理学「こころの散歩道」@usuimafumi 2011年03月10日)

全国どこの学校にも、言うことを聞かない子や、学校に来づらい子がいます。ある中学校の卒業式。全生徒が、校長先生からきちんと卒業証書を受け取りました。それだけのことですが、全教職員の努力の賜物です。みんなで喜び、感動しています。こうした教職員の皆さんが、日本の教育を支えてるのです。

(碓井真史 @ 心理学「こころの散歩道」@usuimafumi 2012年03月06日)

卒業式の日に、校長が卒業生に卒業証書を手渡す。そんなことは当たり前のこととお思いでしょう。でも、それは各学校の全教職員の汗と涙の結晶です。先生ががんばり、本人もがんばり、保護者もがんばって、ようやく卒業式を迎えられる子たちがいます。第2、第3卒業式に出られたことを、関係者一同で喜びます。

校長には会えない生徒には、会うことができる先生が家庭に行き、証書を渡します。ある先生は、その時の様子を写真に撮って、夜の宴会のときに嬉しそうに見せてくれました。先生が卒業証書を生徒に直接手渡せるというのは、生徒が何とか卒業できた、教師と生徒の人間関係ができた証です。

■義務教育を終えるということ

卒業式で、次々と卒業証書を受け取る生徒達を見て思います。これで義務教育は終わるのだと。こんなに多くの人が無条件に心配してくれて、動いてくれるのは、これが最後なのだと。

義務教育である中学校は、校区に住んでいれば全員入学でき、全員卒業できます。退学はありません。学校に来なければ、大勢の人たちが支援します。でも高校は、入試を受けなければ入れません。単位を取らなければ卒業できません。退学してしまえば、もう不登校生徒とも呼ばれません。

中学校の先生達は、何とか高校に入学し卒業できることができるところまで引っ張り上げようと、必死にがんばっているように思えます。公立中学校には、様々な生徒がいます。全中(全国中学校体育大会)に参加する子、トップクラスの高校に進学する子、不登校の子、非行に走っている子。どの生徒も、大切な生徒達です。

いろいろな生徒がいますが、どの生徒も、心の底では人生を輝かせたいと願っているに違いありません。子どもたちを支えたいと思います。その保護者を、先生を、学校を、みんなで支えたいと思います。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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