イジメとイジリの心理学(May J.さん、たむけんさんのイジリに感謝)

■May J.ツイッターで“イジリ”に感謝「名前出して頂けるだけで幸せ」

歌手のMay J.(26)~お笑いタレントのたむらけんじ(41)がツイッター上でファンと口論になったことに触れ「私の名前を出して頂けるだけでも幸せな事だと思います」と感謝のメッセージをつづった。~

たむらにツイッターでファンから反発の声が続々と寄せられ、今月12日にはたむらが「僕たちはしっかりリスペクトしてますよ。ホンマにバカにしてる人なら話題にもしませんよ」と反論していた。

出典:May J.ツイッターで“イジリ”に感謝「名前出して頂けるだけで幸せ」 デイリースポーツ 12月13日

お笑い芸人のたむらけんじさんが、歌手のMay J.さんに批判的なことを言ったということで、双方のファンの間でもいろいろな意見が出ていたようです。お二人の態度(ツイッター上のやり取り:幸せな事→寛大な対応感謝です。)は、それぞれ大人の態度でしょうか。すてきな交流ですね。そして、決して嘘ではないでしょう。

この記事に、下記のようなオーサーコメントを書きました。

(たむけんさんの「リスペクト」、May J.さんの「幸せ」が嘘ではない前提ですが。)

子どもたちが「いじめ」について指導を受けるときに、「いじめじゃありません。イジリです!」と言い訳する子がいます。芸人さんがしているように、笑いを取っているだけだと。

私は、生徒のみなさんにお話しします。芸人さんの「イジリ」は、愛情表現だと。イジられている芸能人は、話題になりテレビに映り喜んでいると。「相手はいやがっていない」では不十分。それは、いじめにもなる。相手が喜んでくれるのが、本当のイジリだと。

何かと話題のMay J.さん。「ありのままの姿」で活躍して欲しいと、私も応援しています。

(碓井真史2014/12/13 )

■イジメとは、イジリとは:イジメとイジリの違い

「イジリ」という名前のイジメがたくさんあります。多くの場合、いじめる方は、相手の深刻な心の傷を理解していません。イジメや性犯罪被害は、仮に客観的には小さなことであっても、被害者の心の傷は、深く長く残ります。

いじめる側は、ちょっとした悪ふざけのつもりでしょう。そして、イジメではないイジリだと、先生にも自分自身にも言い訳をしています。「相手はいやがっていない」というのも、よくある言い訳です。

「お前、いやじゃないよなあ」と言われれば、力なく「うん」とうなづくでしょう。俺たちは、友達だ、ふざけているだけなどと言います。相手も不定しません。いえ、否定できません。いじめられ続けると、いじめを拒否できなくなることがあるのです。

いじめっ子は、巧みにいじめられっ子を追い詰めます。

孤立化(ささいな欠点をあげつらう)→無力化(徹底的懲罰)→透明化(いじめの甘受)。

出典:現代のいじめと人間関係の心理学:Yahoo!ニュース個人有料:碓井真史の「心理学であなたをアシスト」

しだいにいじめが見えにくくなり、被害者もいじめを甘んじて受け入れるようになってしまいます。一見、仲間のように見えますが、被害者は苦しみ続けます。

イジリとイジメ。似ているようで、どこが違うのでしょう。

いじりは愛情表現~本人が嫌がれば、すべていじめ~いじりはいじめの発端~いじめといじりは紙一重~個性を活かすのがいじり、個性を潰すのがいじめ~本人も回りも不快感しかないのがいじめ~いじりは、仲良くなった子としか出来ない~いじりといじめは一緒やと俺は思う

出典:【みんなの意見】「いじめ」と「いじり」の違いってなんだ?:NAVERまとめ2012年11月06日

いろいろな意見がありますね。「イジリ」なら良いと簡単に言ってしまうと、イジメを増長しかねません。でも、学校から「ふざけ」や「冗談」をなくししまうのが良いかと言えば、それも違うと思います。

イジリとは、辞書的には、「他人をもてあそんだり、困らせたりすること」です(大辞泉)。良い意味ではありませんね。だから、芸人が行う「客イジリ」は、かなりの高等テックニックです。

許される「イジリ」の範囲は、広くはないでしょう。たとえば相手がいやがっていないという愛称や、あだ名はでは、いじめになりかねません。本名で呼ばれるよりも、その愛称やあだ名でよばれる方がうれしいと感じる、それならOKでしょう。

イジリる側は愛情表現であり、イジられる側はうれしいと感じる、周囲も温かな心になる。これが本当の「イジリ」でしょう。

私は、実際にテレビ局で出会った芸人さんの話を子どもたちにします。お笑い芸人、特に毒舌芸人さんは、実はとても礼儀正しいと。

■いじめを防ぎ、被害者を守るために

2013年、いじめ防止対策推進法が制定されています。

いじめは、心や身体を傷つけます。教育を受ける権利や、人間としての生きる権利を傷つけます。子どもの成長に害を与えます。命が危険になることもあります。

いじめとは、いじめられている子の心や体が傷ついたり、被害を受けて苦しんだりすることです。インターネットいじめも、いじめです。

学校は、保護者、地域の方々、その他の関係者みんなと協力して、いじめ対策を進め、またみんなに理解してもらうようにします。

出典:いじめ防止対策推進法条文を読む:子どもでもわかるようにいじめ防止法を解説:YAhooニュース個人:碓井真史

いじめは、いじめたい心をもった子が、いじめを許される「イジメ許容空間」に置かれたときに発生します(いじめを減らす方法:「いじめ許容空間」を作らせるな!:いじめ防止法成立を受けて:YAhooニュース個人:碓井真史)。

いじめを許す安易な言い訳を作らせてはいけません。

国も、地域も、各家庭も、互いに協力してイジメを防ぐ責任があるとされています。訳の分からないまま、いじめている子もいます。どうしようもないと感じながら、いじめられ続けている子もいます。途方に暮れている親もいます。

いじめっ子の親の責任があり、いじめられている子の両親がなすべきことがあり、担任や校長や学校がなすべき責任があります。そして、その家庭や学校を支えるのが、私たちの役割りではないでしょうか。

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。テレビ新潟番組審議委員。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』は総アクセス数5千万。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』など。

有料ニュースの定期購読

心理学であなたをアシスト!:人間関係がもっと良くなるすてきな方法サンプル記事
月額540円(初月無料)
週1回程度
心理学の知識と技術を知れば、あなたの人間関係はもっと良くなります。ただの気休めではなく、心理学の研究による効果的方法を、心理学博士がわかりやすくご案内します。社会を理解し、自分を理解し、人間関係の問題を解決しましょう。心理学で、あなたが幸福になるお手伝いを。そしてあなた自身も、誰かを助けられます。恋愛、家庭、学校、職場で。あなたは、もっと自由に、もっと楽しく、優しく強く生きていけるのですから。

Yahoo!ニュース個人編集部ピックアップ