自宅トイレで出産の17歳少女、新生児殺害容疑で逮捕:性教育の貧困と人間関係の貧困か

どの男性も女性も、どの赤ちゃんも、幸せになる権利を持っている。

■新生児殺害容疑、少女を逮捕=17歳、自宅トイレで出産

新潟県警新潟東署は18日、自宅で出産したばかりの女児を殺害したとして、殺人容疑で新潟市東区の無職少女(17)を逮捕した。

逮捕容疑は7月16日早朝、自宅のトイレで出産した女児の口に紙を詰め込み、窒息死させた疑い。

少女は当時高校生で、家族は妊娠に気付かず、少女は高校に通っていたという。

出典:新生児殺害容疑、少女を逮捕=17歳、自宅トイレで出産―新潟県警 時事通信 8月18日

私の地元新潟市で、悲しい事件が起きました。逮捕された少女が、どこの人なのかはまったくわかりませんが、彼女が住む新潟市東区の子ども若者とは、大勢関わっています。

この最悪の出来事を報じる記事を、今とても悲しい思いで読みました。

■こんなことをしてしまう少女とは・・・決して不良少女でないことも多い

どんな少女なのかは、まったく報じられていないのでわかりません。ただ多くの場合、このような少女は意外とまじめな少女です。こんなニュースが報道されると、世間の人々の中には、どんなにひどい不良少女かと想像する人もいるでしょう。

でも、ワルの道に慣れていて、ワルの仲間も大勢いてといった不良少女であれば、こんな「失敗」をする前に、もっと別の行動が選択できたことでしょう。

男女交際に慣れている少女は、ここまでは許すが、ここから先はダメと、はっきりノーが言える場合もあります。男性が無理強いしてくれば、激しい言葉や、蹴飛ばしても拒否することができる少女もいます。

しかし、慣れていない少女の場合は、訳の分からないままに、性交渉に至ってしまうこともあります。男性からの無理強いであれ、双方合意の場合であれ、男性が避妊具を使っているかどうかを確認する余裕がない場合もあります。避妊具の装着を強く言えないこともあります。

(派手な服装をして、遊んでいるように見える少女の中にも、男女の問題ではとても不器用な人もいますが。)

妊娠に気づいた時、慣れている少女はすぐに処置をします。何度も人工中絶を経験している少女もいて、それはそれでもちろん大きな問題なのですが。

こんなことに慣れていない少女は、どうしたら良いのかわかりません。こんなことを相談できる友人もいません。大人にも絶対に話せません。おろおろしているうちに、胎児は成長し、周囲が気づいたときには、臨月になっていたことなどもあります。

相手の男性は、多くの場合、逃げるでしょう。少女は孤独のまま、悩み続けます。今回は、出産まで誰も気づかず、本人からも話せず、自宅のトイレで出産後に新生児を殺害という最悪のケースになってしまいました。

少女は、高校生でした。妊娠が進む中で、体育も普通に行っていたのでしょうか。どんな思いで、たった一人で出産し、殺害したのでしょうか。赤ちゃんは、誰にも祝福されず、抱きしめてもらうこともなく、死んでいきました。

■性教育の貧困

世間には、性に関する膨大な情報があふれています。しかし、必要な人に必要な教育と情報が行き届いてはいません。その性教育の貧困が、今回の事件の遠因ではないでしょうか。

性教育は、性器の構造を学ぶことでも、性病の名前を暗記することでも、避妊具の装着方法を学ぶことでもありません。それは、性教育の一部にしかすぎません。

子どもの命も親の命も大切にする。男も女も、自分と異性を大切にする。対等な男女関係を作る。自分自身も含めみんなの人生をしっかり考える。これこそが、性教育の中心ではないでしょうか。

そのために、異性の心と体を知り、相手をいたわるやさしさを知り、ノーが言える強さと、胎児と子どもたちへの愛と責任を学ぶのでしょう。

ずいぶん頭が良く、普段は気の強そうな少女でも、対等な男女関係を作れない人もいます。とてもしっかりしてそうに言える少年でも、強引になったり、いざとなると逃げてしまう人もいます。

本当の、豊かな性教育が、求められています。それは、学校の授業だけではなく、家庭でも、社会でも、私たちみんなで行うことでしょう。

■人間関係の貧困

幸せなセックス、幸せな妊娠、幸せな出産。そうなれるように、より良い人間関係を作れればと思います。父母ともに幸せであり、生まれてくる子どもたちみんなが、喜ばれ、祝福され、人々から歓迎される人間関係で包み込まれる社会を作りたいと思います。

二人の人間関係を良くするのはもちろんですが、教えてくれたり、相談に乗ってくれたり、叱ってくれたり、慰めてくれたり、そうしてくれる同世代の人や人生の先輩や、多くの人々が二人を何重にも取り囲んでいる必要があります。

お金がない人もいます。情報が不十分な人もいます。でも、豊かな人間関係があれば、きっと解決できるでしょう。

この記事を報じるYshooのページには、「妊娠SOS」や、「妊娠で悩まれている方へ」へのリンクが張ってありました。「小さな命を守る会」も、そんな団体の一つです。

望まない妊娠をしてしまった人を支援する多くの団体があります。それぞれの団体には、それぞれの思想があり、それぞれの方法があるでしょう。本人と家族が選べば良いと思います。

妊娠出産で悩んでいる人と、その赤ちゃんを支援しようとする大勢の人がいます。もちろん、まずは身近な人間関係なのですが、身近な人に話せなくても、あなたは一人ではありません。

せめて最悪のケースが避けられますように。

お母さんも赤ちゃんも、どの人も、幸せになれますように。

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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