「開き直りの心理学」:ガンバレ日本!FIFAワールドカップ:そして失敗を恐れすぎる私たち日本人へ
■日本完敗?
サッカーワールドカップ、日本初戦。先制するも逆転され、1-2の惜敗。おしかったー。でも、専門家の皆さんによると、どうやら「完敗」のようです。
単に「負けた」というだけでなく、「自分たちのサッカーができなかた」「何もさせてもらえなかった」。なるほど、これは完敗です。
完敗した理由はいろいろあるようですが、失点によってあわててしまったことも原因のようです。
日本の実力はもっと上なのに、本当はもっと強いのに、それなのに、私たち日本人は失敗を恐れすぎるようです。初戦敗退のチームが勝ち抜くのは、これまでの統計からするとかなり厳しいようです。でも、このまま終わってしまうのは悔しすぎます。
はい。ワールドカップは始まったばかり。大切なのは、良い意味の「開き直り」。では、開き直るって、どういうことでしょう。
■開き直りとは
開き直るとは、態度を改めることです。態度の中には、心理学的にいうと、感情と認知(考え方)と行動があります。だから開き直りとは、これまでの、考え、感情、行動を変えることです。
開き直れていない、これまでの態度が、失点への恐れ、「失敗への恐れ」です。だれでも失敗は嫌ですが、失敗を恐れすぎると物事は上手くいきません。
たとえば、失恋を怖がりすぎると良い恋愛ができません(恋愛の心理学:こころの散歩道)。
不安がり、心配しすぎると、できることまでできなくなります(不安と心配性の正体:心理学でお散歩)。
失敗を恐れすぎると、失敗から学ぶこともできません(「8000回の悔しさ」の心理学:イチローは失敗を恐れず失敗に向き合い続けてきた)。
良い意味の開き直りとは、やけを起こすことではありません。心身が開放されるのが、良い意味の開き直りでしょう。絶対に失敗してはだめだと考えすぎると、必要以上に失敗への恐怖心が高まり、適切な行動が取れなくなります。
ドラマでありますが、時限爆弾のコードを切るときに手が震えて上手く切れないようなものです。ゴルフ選手が、大事な場面で簡単なパットをはずしてしまうのも同様でしょう。
開き直りとは、負けても良いから手を抜くのではなく、負けることを恐れないでパフォーマンスを高めることではないでしょうか。
■武士道とは死ぬことと見つけたり
日本代表、「SAMURAI BLUE(サムライ・ブルー)」。
死ぬことをすすめているのではありません。でも侍が死ぬことを怖がり、恐怖に負けてしまえば、剣をふるうことができません。練習の成果が発揮できません。これは、多くの勝負事や、対人関係に共通することもかもしれません。
死への恐怖を超越したところに、武士道はあるのかもしれません。
まじめで努力家の日本人。がんばりすぎる「タイプA」はたくさんいるのかもしれませんが、思い切ってシュートする、失点にもめげない日本人は、なかなかいないのかもしれません。
心理学の動機づけに関する研究によれば、最高に動機づけが高まり、最高のパフォーマンスが発揮できている状態は、自分のやる気の高まりすら自覚しない「フローの状態」と言われています。
様々な恐れや不安、雑念、欲望などからも自由になり、開放され、今まで積み上げてきた最高の自分らしさが出ている、自己ベストが出せる状態です。
■自分らしさ
「ありのままの姿」「自分らしさ」。現代日本人は、大好きなようです。その思いを歌い上げる「アナと雪の女王」は、大ヒットでした。それだけ、私たちにとって難しいことなのかもしれません。
勝負は時の運です。勝つときもあれば負ける時もあります。
などと気軽に言えないほど、ワールドカップはすさまじい場所なのでしょう。莫大な金も動きます。世界的な名誉と屈辱が同居しています。ただそれでも、勝つチームもあれば負けるチームもあって当然です。
勝てばもちろん良いですが、負けるにしても、自分らしいプレイをして欲しいと思います。自分らしいプレイをすることが、勝利にもつながるでしょう。どちらにしても、今まで積み上げてきた日本らしいプレイを。それが、私たちみんなの願いのはずです。
私たちは、勝利を願って応援します。だから、私たちは日本チームを支えます。私たちが、サポーターです。
ワールドカップはまだ終わっていないのですから。選手一人ひとりの人生も、まだまだ続くのですから。
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■失敗の心理学:私たちは何を恐れているのか?
失恋や不合格や負けることが怖くて、行動できないことがあります。でも行動しなければ、恋も合格も勝利もないはずなのに。私たちは、実は失敗自体を恐れているのではないのです。→「失敗と恐れの心理学:私たちは何を恐れているのか?」
関連サイト
『アナと雪の女王』主題歌の歌詞を心理学で解説:「レット・イット・ゴー:ありのままで」の意味