オセロ中島知子さん解雇! マインドコントロール被害者の心理と脱会の難しさ

オセロの中島知子さんが、所属する松竹芸能から解雇通告を受けました(中島知子、解雇!テレビ無断出演などで松竹芸能が通告)。

中島さんが、無断でテレビ出演したこと、また「事実と異なる発言が少なからず見受けられたことは極めて遺憾」ということでの結論だったようです。

中島さんは、事務所にも、相方の松嶋尚美にも、家族にも、不信感を持っており、厳しい言動を取っているようです。

■破壊的カルトのマインドコントロールは何を教え込むか

カルトが、入信者の身近な人や、頼りになる人々を悪く言うのは、彼らの常套手段です。「親はきっと反対する。それはサタンがさせているのだ」とか、学校、警察を、自分たちを弾圧する恐ろしい団体と思わせたりします。そのように信じ込ませれば、信者は警察にも頼れず、学校や家族との仲が悪くなり、結果的にカルト組織にしがみつくようになるからです。

今回、中島知子さんが具体的にどのような教えを受けていたかは、不明です。ただ、事務所、相方、家族への不信感や憎悪が増すようにコントロールされたのではないかと思われます。

今の中島さんの発言は、本来の中島さんが言っているのではなく、マインドコントロールされた結果の発言ではないかと思います。身近な人々も、今の中島さんは本来の中島さんではないと語っています。

■カルト脱会後の心

一般的に、カルト団体から脱会した人々は、間違いに気づいていても、信じ切っていたものから離れたわけですから、心が不安定になります。心理学の研究によれば、次のような心の後遺症を持ちやすいと言われています(『マインド・コントロールとは何か』(紀伊国屋書店)西田公昭著)。

  • 情緒的混乱:心的な空虚感、無気力感、情緒不安定、自責の念、後悔、現実逃避、自信喪失、孤独感、拒否感など。

  • 思考的混乱:意志決定の困難、柔軟性の欠如、残余思考など。

  • カルト組織内の仲間への懸念。

  • 家族とのトラブル:無配慮、対立など。

  • 対人トラブル:人間不信・引きこもり、人間関係修復の困難、浦島太郎のように現状に適応できないなど。

強制的に脱会させられた場合、カルト組織に見捨てられた場合などは、まだカルトの教えを信じていますから、不安や社会への不信などが強くなり、カルト組織をかばい、家族などの身近な人への誹謗中層が一層強くなるでしょう。

中島さんは、同居していた自称霊能者の女性をかばう発言も続けていますが、これもカルトマインドコントロールでは、よくあることです。教祖や、信者仲間は、とても良い人で、自分は今までこんなに愛され、親切にされたことはないと、多くの被害者が語ります。それは、本当の愛や友情ではないのですが。

結婚詐欺に被害者が、詐欺だと警察に言われた後も、自分への愛は本物だったと思うようなものです。

■予言が外れたとき:認知的不協和理論

カルト宗教が、信者を引き締めるために終末預言をすることは、よくあることです。もちろん、この世の終わりは来ません。それなら、信者はみんな去って行きそうですが、実際にはそうなりません。この社会現象を、社会心理学者フェスティンガーは、「認知的不協和理論」によって説明しています。

教祖への信仰と予言が外れた事実は、矛盾します。すると心の中に不快感(不協和)が生じます。人は、何とかこの不協和を解消しようとします。そのためには、矛盾していることがらの変えやすい方を変えます。信者になったばかりの人なら、教祖はペテン師だったと判断し、去って行くでしょう。

しかし、長年の信者は、組織に多くのものを捧げすぎているので、今さら組織を去れません。そこで、教祖がペテン師だったと思うのではなく、教祖様の偉大なるお力によってこの世の終わりは回避された、教祖様はすばらしいと考えます。その方が、心が楽だからです。

すでに仕事や、お金や、人間関係を失っている被害者は、簡単には脱会できないのです。

■少数カルト(個人カルト)からの脱出の難しさ

有名な巨大カルト組織に関しては、様々な情報がすでに出ています。カルト組織内で、どのよな内容をどのように教え込まれているかが、ある程度分かります。脱会し社会復帰した人もたくさんいます。組織による反社会的行動の証拠もいろいろあります。そのような情報を使って、マインドコントロールを解いていくわけです。

ところが、今回のような少数カルト(個人カルト)では、内部で何が行われていたかがわかりません。おなじ自称霊能者の女性にだまされた方の手記『自称霊能者に支配された561日:中島知子さんもかかった罠」 (廣済堂新書 千主 ひかる著)は、大きな手がかりになるものの、芸能人である中島さんがどのような扱いを受けていたかは、やはり不明です。

少数カルト(個人カルト)は、巨大カルトのような組織的な動きはしませんし、次々裁判を仕掛けてくるようなこともしないでしょうが、脱マインドコントロールをする場合には、正体の分からない敵と戦う難しさがあるでしょう。

■脱会カウンセリングのポイント

力づくや説教で、マインドコントロールを解くことはできないでしょう。カウンセリング的な対応が必要です。自ら考えてもらうことが必要です。カウンセリングの基本は、ラポール(相互信頼関係)です。壊れてしまった人間関係を修復します。信頼できるカウンセラー役が必要です。その上で、次のようなことがポイントとるでしょう(『マインド・コントロールとは何か』西田公昭著)。

  • 生理的充足:体の健康を取り戻す。

  • 介入する理由:組織の反社会性の指摘し、こうして話している理由を理解してもらいます。

  • 動機づけの形成 :この会話を続け、社会生活を取り戻す気持ちを高めます。

  • 敵意と恐怖心の除去:植え付けられた敵意、脱会による恐怖心を取り去ります。

  • マインド・コントロールの説明:あなたは暴力や強制は受けていないが、巧妙なマインドコントロールを受けていたと説明します。

  • 思想の矛盾や問題点:適切な質問を繰り返すことによって、教えの矛盾や問題点に気づかせます。

  • 過去の記憶:カルトに入会以前の健康で楽しかった記憶を呼び覚まします。

  • 元メンバーの体験:同じような体験をしてきた人との会話を行います。

中島さんの場合は、マンションを出て入院したことは、良かったのですが、その後のカウンセリング的な対応が、順調には進まなかったのでしょう。

■オセロ中島さんの今後

カルト・マインドコントロールからの脱出は、並大抵のことではありません。脱会はなぜ難しいのか、教祖(指導者)から離れたときにどんな心理状態になるのか、マインドコントロールが解けていなければ、どんな言動に出るのか。それを周囲が良く理解した上で、本人を守り、カウンセリングマインドを持って関わってい行く必要があります。

今回のテレビ出演は、状況を悪化させてしまい、事務所からの解雇通告にいたっています。コンビ継続は不可能との報道もあります。両親との意思の疎通も上手くいっていないようです。

しかし、相方の松嶋尚美さんは、できることならコンビを続けたいと思ってくれているようです。両親も、もちろん娘を見放していません。怒っている人もいますが、芸能界の中にも理解者いて、ファンの支援もあるでしょう。松竹芸能も、彼女が本来の自分を取り戻せば、再契約を考えるのではないでしょうか。

困難な道ではありますが、中島さんと少しでも信頼関係のある人を通して、もう一度周囲の人間関係を修復し、カウンセリング的アプローチをしていく必要があるでしょう。人生を取り戻すチャンスはまだ残っていると思います。

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BOOKS

  • 『マインド・コントロールとは何か』(西田公昭著)
  • 『自称霊能者に支配された561日:中島知子さんもかかった罠」 (千主ひかる著)
  • 『マインドコントロール:あなたのすぐそばにある危機』(紀藤正樹著)
  • 『カルトからの脱会と回復のための手引き』(日本脱カルト協会編)
  • 『マインドコントロールの恐怖』(スティーブン・ハッサン著)

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。テレビ新潟番組審議委員。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』は総アクセス数5千万。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』など。

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