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最新CMに見る、来年さらなる活躍が必至の新進女優たち

碓井広義メディア文化評論家
バイト八変化の浜辺美波さん(パーソルCMより)

現在放映中のCMに登場している新進女優の中で、来年、さらなる活躍が必至と思われる2人に注目です。

浜辺美波さん

パーソル「どーもー、anガールズです」篇 

学生時代、東京での一人暮らしに、アルバイトは必須でした。当時の情報誌『日刊アルバイトニュース』には随分お世話になったものです。やがて『日刊アルバイトニュース』は『an(アン)』と改題され、現在は完全にWebサービスとなっています。

スマホがあれば、浜辺美波さんのようなバイト初心者も簡単に仕事を探すことができる。なんて便利な世の中になったものだろう。このCMでは、お寿司屋さんから巫女さんまで、様々なバイトにチャレンジする姿が八変化で楽しめます。

さらに、「♪経験なくても~」と歌って踊る彼女の背後で身をくねらす、いやバックダンサーを務めているのはアンガールズのお2人ではありませんか。3人合わせて、「anガールズ」なる笑撃のユニットです。

私が初めて浜辺さんに注目したのは、2016年の『咲―Saki―』(TBS系)でした。小林立さんの麻雀漫画が原作のドラマです。

主人公の宮永咲(浜辺)は、一見ごく普通のおとなしい女子高生ですが、麻雀では誰にも負けない天才的な勝負勘と強運を発揮します。高校の麻雀部に入り、個性的な仲間たちと一緒に県大会、そして全国を目指していきます。セーラー服の雀士は、かなり鮮烈でした。

そして昨年の夏、映画『君の膵臓をたべたい』を観ました。重い膵臓の病を抱えたヒロインの少女、桜良を明るく演じていたのが美波さんです。その笑顔がなんとも切ない。CMを眺めていると、元気になった桜良が、切望していた青春を謳歌しているような気がしてくるのです。

清原果耶さん

日本生命「見守るということ。」篇

今年、印象に残った秀作ドラマに『透明なゆりかご』(NHK)があります。舞台は地方の小さな産婦人科医院。看護師見習いとしてやって来たのが青田アオイ(清原果耶)でした。

このドラマは死産や中絶といった重いテーマも果敢に取り込んでいました。アオイは悩んだり傷ついたりする妊婦さんや家族に、静かに寄り添っていきます。16歳の果耶さんは、ドラマ初主演ながら、アオイが憑依したかのような熱演を見せてくれました。

そんな果耶さんが、日本生命のCMで、父親を亡くした女子高生を演じています。頑張った受験勉強。入試本番では、一瞬のうちに天国にいる父との思い出がよみがえります。

「父は、何があってもキミの父です。」というメッセージは、大切な人を見守り続けたいという思いそのものです。

そして嬉しい合格。「大学いけるよ。ありがとね」と、お父さんに感謝する姿がいじらしい。全国にいるはずの“果耶さん”たちを、そっと勇気づける言葉でもあります。

清原果耶さん(日本生命CMより)
清原果耶さん(日本生命CMより)
メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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