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トップ・プロスペクトだった2人の明暗。一方が故障者リストから復帰し、もう一方はマイナーリーグへ降格

宇根夏樹ベースボール・ライター
フリオ・ロドリゲス(手前)とジャレッド・ケルニック May 6, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月11日、シアトル・マリナーズは、フリオ・ロドリゲスカート・カサーリを故障者リストから26人のアクティブ・ロースターへ移し、それに伴い、ジャレッド・ケルニックをAAAへ降格させ、ルイス・トレンズをDFAとした(40人のメジャーリーグ・ロースターから外した)。

 この動きは、ケルニック→ロドリゲス、トレンズ→カサーリだ。それぞれ、外野手と捕手を入れ替えた。

 21歳のロドリゲスと23歳のケルニックは、ともに球界屈指のトップ・プロスペクトと目されていた。例えば、2021年の開幕前にベースボール・アメリカが発表したプロスペクト・ランキングで、ロドリゲスは全体3位、ケルニックは全体4位に挙げられていた。これは、マリナーズの選手だけのランキングではない。ちなみに、ロドリゲスは、今年の全体2位だ。ケルニックは、昨年5月にメジャーデビューし、93試合に出場。プロスペクトとして評価される対象ではなくなった。

 今シーズン、ロドリゲスは、18本塁打と21盗塁、OPS.816を記録している。10年前のマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)に続く、ルーキー史上2人目の30-30を達成できなくても、新人王には選ばれるだろう。何より、ロドリゲスがいなければ、マリナーズは2001年以来のポストシーズンにたどり着けないかもしれない。

 一方、ケルニックは、メジャーデビューした時に「マリナーズの新時代が始まる。投打のプロスペクトが同じ試合でデビュー。ともに3年前のドラフト1巡目」と書いたが、開花できずにいる。昨シーズンは、ホームランこそ14本打ったものの、打率.181と出塁率.265、OPS.615に終わった。今シーズンは、開幕から30試合に出場した時点で、打率.140と出塁率.219、3本塁打、OPS.510。そこから2ヵ月以上をAAAで過ごし、ロドリゲスの離脱によって昇格した後も、27打数2安打と打てなかった。

 もっとも、ロドリゲスと同じく、ケルニックも25歳未満だ。これから台頭しても、決して遅くはない。AAAでは、53試合で打率.289と出塁率.355、11本塁打、OPS.906を記録していて、8月11日の54試合目も、二塁打を含む2本のヒットを打った。

 なお、カサーリは、8月2日のトレードにより、マシュー・ボイドとともにサンフランシスコ・ジャイアンツから移籍した。トレンズに代わり、カル・ローリーのバックアップを務める。トレンズは、8月9日の試合で、13回裏にサヨナラ・ヒットを打った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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