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この三塁手が得た10年2億1200万ドルの契約は「総額2億ドル以上」の史上25件目

宇根夏樹ベースボール・ライター
オースティン・ライリー(アトランタ・ブレーブス)Jul 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月1日、アトランタ・ブレーブスは、オースティン・ライリーと10年2億1200万ドルの延長契約を交わしたことを発表した。

 ライリーは、25歳の三塁手だ。メジャーリーグ3年目の昨シーズンにブレイクし、ホームランと二塁打を33本ずつ打ち、打率.303と出塁率.367、OPS.898を記録した。今シーズンも、打率と出塁率は昨シーズンとほぼ変わらず、ホームランは29本、二塁打は31本。OPS.961を記録している。7月は26本の長打――ホームラン11本と二塁打15本――を打ち、ハンク・アーロンが保持していた月間長打の球団記録を1本上回った。

 延長契約の内訳は、2023年の年俸が1500万ドル、2024年が2100万ドル、2025~32年は各2200万ドルだ。11年目の2033年は、2000万ドルの球団オプション(解約金なし)となっている。

 ホアン・ソト(現サンディエゴ・パドレス)が、ワシントン・ナショナルズに提示された15年4億4000万ドルの延長契約を断ったため、感覚が麻痺している部分もあるかもしれないが、総額2億ドル以上の契約を得た選手は、それほど多くない。ライリーは史上24人目。アレックス・ロドリゲスは2度なので、史上25件目ということになる。

筆者作成
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 2億ドル以上の延長契約は、ライリーが11人目。FAとなって2億ドル以上の契約を手にした延べ14人――ロドリゲスは2度ともそう――のうち、2度目のロドリゲスとスティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)は、それまで在籍していた球団と再契約を交わした。

 ポジション別では、先発投手の6人が最も多く、外野手と三塁手の各5人が次ぐ(ポジションは契約1年目)。外野手を3ポジションに分けると、クリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)がレフト、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)がセンター、あとの3人はライトだ。

 また、エンジェルスは、3人と2億ドル以上の契約を交わしている。他は、6球団が各2人。この夏にソトを獲得したパドレスも、現時点ではマニー・マチャドフェルナンデス・タティースJr.の2人だ。

 なお、すでに契約期間が終わっている延べ7人のうち、期間中に移籍した選手は5人を数える。あとの2人、2度目のロドリゲスとクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)も、何事もなかったわけではない。

 ロドリゲスは、10年契約の9年目となる、2016年の夏に引退した。ニューヨーク・ヤンキースにより、引退に追い込まれた格好だ。それと同時に、翌年の12月末まで、ヤンキースでスペシャル・アドバイザー&インストラクターを務めることが発表された。

 カーショウは、7年契約の5年目が終わったところで、オプト・アウトの権利を「梃子」に、3年9300万ドルの延長契約を手にした。ドジャースとの交渉がまとまらなければ、2年分が残っていた7年契約を打ち切り、FA市場に出ていたはずだ。ちなみに、昨オフ、初めてFAになったカーショウは、1年1700万ドルの契約でドジャースへ戻った。

 契約期間中の17人――来シーズンが契約1年目のライリーは除く――も、すでに4人がトレードで放出され、契約を交わした球団を去っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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