5月23日、MLB.comは、最新版のプロスペクト・トップ100を発表した。そのなかに、ロサンゼルス・エンジェルスの選手は一人も入っていない。30球団中、他に皆無は、シカゴ・ホワイトソックスだけ。3人以上がランクインは22球団を数え、ピッツバーグ・パイレーツとロサンゼルス・ドジャースは、それぞれ6人が名を連ねる。

 1メディア一つのメディアによるランキングとはいえ、その球団の選手が誰もいないのは、将来に不安があるように見えるかもしれない。ただ、そうとは限らない。

 開幕前はランクインしていて、現在のトップ100にはいない選手もいる。例えば、開幕前のトップ10のうち、1位のボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)、3位のフリオ・ロドリゲス(シアトル・マリナーズ)、4位のスペンサー・トーケルソン(デトロイト・タイガース)は、今回のランキングから姿を消した。彼らは、3人とも開幕戦でメジャーデビューし、打席はすでに100を超えている。一方、2位から1位にランクアップしたアドリー・ラッチマン(ボルティモア・オリオールズ)は、5月21日にデビューしたばかりだ。

 エンジェルスも、開幕前のランクインは皆無ではなく、リード・デトマーズが21位に位置していた。最近までランキングに入っていた選手もいる。ブランドン・マーシュは2021年の53位、ジョー・アデルは2020年の6位だ(いずれも開幕前)。また、ランクインはしていないが、メジャーリーグ4年目のホゼ・スアレスや、5月13日にデビューしたチェイス・ソーセス――日本ではシルセスと表記することが多いようだ――は、デトマーズら3人と同じく25歳未満だ。

 現時点において、エンジェルスの将来に不安があるとすれば、数年後よりも、今夏ではないだろうか。トレードによる補強を行う際には、交換に若手を手放すのが、一般的な図式だ。ポストシーズンにたどり着くため、あるいはポストシーズンで勝ち進むためのブースターとして、エンジェルスが手に入れようとしている選手がいたとして、他の球団はどこもその選手を欲しがっていない、という状況は考えにくい。その選手を保有している球団は、数球団と交渉を行い、より大きな見返りを得られる相手、もしくは必要としているポジションの若手を提供してくれる相手と取り引きするだろう。プロスペクトが少なければ、後塵を拝することになりかねない。

 他のメディア、ベースボール・アメリカとベースボール・プロスペクタス、ファングラフスが開幕前に発表したプロスペクト・ランキングでも、デトマーズ以外にランクインしたエンジェルスの選手は、ベースボール・プロスペクタスが86位としたサム・バックマンしかいない。右投手のバックマンは、昨年のドラフト全体9位だ。

 外野には、マイク・トラウトテイラー・ウォード、マーシュが揃い、少なくとも2026年までは3人とも保有できるので、アデルを手放すことは可能だろう。けれども、守備の拙さを露呈している外野手を、相手の球団が欲しがるかどうかには疑問符もつく。