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大型契約→不振→ブーイングのスラッガーがようやく本領発揮!? 二塁手では史上初の1試合3本塁打+盗塁

宇根夏樹ベースボール・ライター
トレバー・ストーリー(ボストン・レッドソックス)May 19, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2ヵ月前、トレバー・ストーリーは、ボストン・レッドソックスと6年1億4000万ドルの契約を交わした。

 それまでの6シーズン(2016~21年)に、ストーリーがコロラド・ロッキーズで記録した158本塁打と100盗塁は、このスパンの14位タイと13位タイに位置する。また、どちらも三桁の選手は4人しかいない。他の3人は、155本塁打と134盗塁のホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)、155本塁打と118盗塁のムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)、102本塁打と201盗塁のトレイ・ターナー(ドジャース)だ(各選手のチームは現時点)。

 レッドソックスにはザンダー・ボガーツがいるため、遊撃から二塁へ移ったが、ストーリーは守備も優れている。

 ただ、不安材料はあった。158本塁打のうち、60.1%の95本はクアーズ・フィールドで打ったものだ。アウェーで記録したホームランは、39.9%の63本に過ぎない。後者を倍にした126本塁打を、このスパンのランキングに当てはめると、順位は50位近くまで下がる。ホームランと同じく、打率、出塁率、OPSも、ホームとアウェーでは大きく違う。

 今シーズン、ストーリーは、開幕から不振に喘いだ。5月4日は4打席とも三振を喫し、フェンウェイ・パークのファンからブーイングを浴びせられた。どの打席も、相手は大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)だったとはいえ、この日を含めた21試合は、打率.210と出塁率.294、OPS.590。ホームランはなかった。

 フェンウェイ・パークのファンから、スタンディング・オベーションで称えられるまでには、さらに半月を要した。5月19日、ストーリーは、ホームラン3本を含む4打数4安打(と1四球)を記録し、7打点を挙げて三盗も決めた。

 ESPNスタッツ&インフォによると、二塁手として1試合3本塁打+盗塁は、ストーリーが史上初。ミドル・インフィルダーとしても、遊撃出場のバリー・ラーキン(1991年)とホゼ・バレンティン(1998年)に続く3人目だという。二塁手初については、MLBスタッツも報じている。

 ストーリーは、その前の8試合(5月10日~18日)で、打率こそ.241ながら、2本のホームランを打ち、出塁率.343とOPS.826を記録している。まだ言いきるには早い――サンプル数も少ない――が、1試合限りの猛打ではなく、調子は上がってきているのかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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