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「被安打ゼロの敗戦」にノーヒッターとそうでないものがあるのはなぜ?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハンター・グリーン(シンシナティ・レッズ)May 15, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月15日、ハンター・グリーン(シンシナティ・レッズ)は、ヒットを打たれることなく、マウンドを降りた。続いて登板したアート・ウォーレンも、残りのイニングを無安打に封じた。

 ただ、レッズは、8回裏に1点を取られた。グリーンが1死走者なしから2人続けて歩かせ、代わったウォーレンも、最初の打者に対して4球ともストライクが入らず、次の打者の二塁ゴロにより、三塁走者に生還された。

 レッズは、0対1でピッツバーグ・パイレーツに敗れ、グリーンには黒星がついた。MLB.comのサラ・ラングスらによると、1900年以降、被安打ゼロで敗れたのは、レッズが6チーム目だという。

 ただ、それらの6試合のうち、敗れたチームの投手(あるいは投手たち)がノーヒッターの達成者(達成者たち)として記録されているのは、最初の2試合。1964年4月23日のケン・ジョンソンと、1967年4月30日のスティーブ・バーバースチュー・ミラーだけだ。

 この2試合は、どちらも敗れたチームのホームで行われた。あとの4試合は、アウェーだ。9イニング以上を投げないと、公式記録のノーヒッターにはならない。グリーンとウォーレンの場合、9回裏のパイレーツの攻撃がなかったので、2人合わせて8イニングだ。

 失点がなくても、9イニング未満であれば、公式のノーヒッターではない。その一例については、こちらで書いた。「ダブルヘッダーで打たれたヒットは計1本。2試合目は「非公式」のノーヒッター」

 また、被安打ゼロで敗れた6試合のスコアは、必ずしも0対1ではない。半数の3試合はそうだが、他は1対2が2試合、0対4が1試合だ。1990年7月1日のアンディ・ホーキンスは、8回裏の2死走者なしから、三塁手のエラー、盗塁、四球、四球で満塁となった後、レフトとライトの相次ぐエラーにより、計4点を取られた。

筆者作成
筆者作成

 なお、スタットキャストによると、5月15日にグリーンが記録した100マイル以上は、118球中7球だった。1ヵ月前の80球中39球と比べると、かなり少ない(「100マイル以上が39球」は新記録だが、結果は白星ではなく黒星」)。この減少は、意図したもののような気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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