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「大谷ルール」には「DH&投手→DH」以外のパターンもあり

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Mar 28, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

「大谷ルール」の導入が決まった。DHと投手の両方として先発出場した選手は、途中でリリーフ投手と交代した後も、DHとしてそのままラインナップに残り、引き続き、打席に立つことができる。

 現時点において、このルールを利用するのは、大谷翔平が登板する試合のロサンゼルス・エンジェルスしかないと思われる。これが、「大谷ルール」と称される理由だ。そのことは、先週、「「大谷ルール」はありか、なしか。導入されれば、降板後もDHとして打席に立てる」で書いた。

 このルールについて、詳細に説明しているMLB.comの記事――誰が書いたのかは表記されていない――によると、DH&投手→DH以外のパターンもあるという。

 それは、DH&投手→投手だ。例えば、大谷がDH&投手として先発出場し、途中で代打を送られた場合、その後の打席に立つことはできないが、投げ続けることはできる。

 大谷は左打者だが、昨シーズンのOPSは、対右投手よりも対左投手のほうが高かった。.954と.980だ。出塁率は.388と.344ながら、打数/本塁打は12.1と11.0だった。相手が左投手でも、大谷に代えて右打者を起用する必要はないように見える。

 ただ、特定の投手を苦手としていれば、その投手がマウンドにいる打席では、代打もあり得る。また、大谷に続く2ウェイ・プレーヤー(二刀流選手)が出てくれば、なかには、左投手を打てない左打者(&投手)もいるかもしれない。

 ちなみに、ウェイド・ルブランは、2018~19年に大谷と計13打席で対戦し、9三振を奪い、他の4打席も討ち取っている。現在はFAだ(「NPBとMLBで大谷翔平に本塁打を打たれた投手はいるのか。菊池雄星はMLBで2本、NPBでは0本」)。

 なお、DH&投手として先発出場した選手が、同時に試合から退いた場合は、それぞれ、別の選手が代わって出場するという。DH&投手の大谷に代わり、ジャスティン・アップトンがDHに入り、マウンドにはエアロン・ループが上がる、といった具合だ。DH&投手の大谷に代え、マイケル・ロレンゼンをDH&投手として起用することはできない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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