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この人の任期はいつまで…。ロックアウトの終了だけでなく、コミッショナーの交代も待ち遠しい!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロブ・マンフレッド Oct 26, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロックアウトもさることながら、コミッショナーのロブ・マンフレッドにうんざりしている人も少なくないと思う。

 マンフレッドがコミッショナーに選出されたのは、2014年の夏だ。翌年1月の退任を表明していたバド・シーリグ――日本ではセリグと表記することが多い――の後任として、マンフレッドとともに、ボストン・レッドソックスのトム・ワーナー会長と、マンフレッドと同じくMLB機構にいたティム・ブロスナンが候補に挙がっていた。

 ブロスナンは、投票直前に候補から降り、あとの2人を対象として、投票は行われた。APのロナルド・ブラムらが報じた記事によると、その結果は、マンフレッドが20票、ワーナーは10票。マンフレッドの得票は、ワーナーを上回ったものの、最初の投票では、選出に必要な4分の3以上の23票に届かなかった。その後の投票でマンフレッドに票を投じたオーナーは、21人、22人、20人、22人と推移し、6度目に30人となったという。

 ブラムやニューヨーク・デイリー・ニューズのビル・マッデンらの記事を総合すると、最初の投票でマンフレッドに票を投じなかった10人は、レッドソックス、アリゾナ・ダイヤモンドバックス、シカゴ・ホワイトソックス、シンシナティ・レッズ、ロサンゼルス・エンジェルス、トロント・ブルージェイズ、オークランド・アスレティックス、タンパベイ・レイズ、ミルウォーキー・ブルワーズ、ワシントン・ナショナルズの各オーナーだったらしい。そこから、まず、レイズとブルワーズのオーナーが意思を変え、ナショナルズのオーナーも続いたという。これにより、マンフレッドは23票となる。ということは、満場一致は形式的なものだと推測できる。

 そして、2018年の秋に、マンフレッドの任期延長が決まった。期間は、2015~19年と同じく、2020年から24年までの5年間だ。この時は、紆余曲折を経ることなく決定したらしい。

 おそらく、よほどのことがない限り、マンフレッドが途中で辞任することはないだろう。あと3シーズンは、コミッショナーを務める。

 ちなみに、コール・トゥ・ザ・ペンのデビッド・ヒルは、今年1月に発表した記事で、マンフレッドの後任候補に、セオ・エプスティーン、スコット・ボラス、ボブ・ケンドリックの3人を挙げている。

 エプスティーンは、レッドソックスのGMとシカゴ・カブスの編成責任者――GMの上に位置する――として、それぞれ、「バンビーノの呪い」と「山羊の呪い」を打ち破るチームを作り上げた。昨年1月からは、コンサルタントとしてMLB機構に在籍している。ボラスは、言わずと知れたスーパー・エージェント(代理人)だ。ケンドリックは、ニグロリーグ博物館の館長を務めている。

 誰であろうと、マンフレッドと比べれば、いいと思うかもしれない。もっとも、コミッショナーは中立、と考えている人がいるなら、それは幻想に過ぎない。マンフレッドが就任した過程からもわかるとおり、コミッショナーを選んでいるのは、各球団のオーナーだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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