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通算の「白星と黒星が同数」の投手たち。東京ヤクルトの石川雅規は177勝176敗

宇根夏樹ベースボール・ライター
郭源治 SEPTEMBER 1999(写真:築田純/アフロスポーツ)

 昨年限りで引退した選手のうち、松坂大輔は、日本プロ野球で114勝を挙げ、65敗を喫した。49の勝ち越しだ。一方、岩田稔は、60勝82敗。こちらは、22の負け越しだ。

 球史を振り返ると、この2人のどちらとも違い、通算の白星と黒星が同数の投手もいる。そのなかで最も多くの白星を挙げたのは――同じことだが、最も多くの黒星を喫したのは――郭源治だ。1981~96年に中日ドラゴンズで投げ、106勝と106敗を記録した。現役投手を含む、100勝以上の140人中、白星と黒星が同数の投手は、他にいない。

 もっとも、郭の場合、ブルペンから登板した時期もあり、1987~89年と1993年の4シーズンは15セーブ以上を挙げた。通算セーブは、これも同数ならトリビアとしては面白いが、白星と黒星より10多い。

 郭の他に、70以上で同数の投手は、調べたところ、98勝98敗の林義一、77勝77敗の長冨浩志、73勝73敗の野村武史(清)、70勝70敗の木下勇が見つかった。見落としがなければ、郭を含めたこの5人が「トップ5」ということになる。

 林、野村、木下のキャリアは、1リーグ時代と2リーグ時代にまたがる。長冨は、1986年から2001年まで、3ディケイド(1980年代、1990年代、2000年代)にわたって投げた。広島東洋カープで63勝64敗、日本ハム・ファイターズで10勝9敗、福岡ダイエー・ホークスで4勝4敗だ。最初の2球団も、ほぼ同数の白星と黒星だった。通算セーブは10だ。

 現役投手では、山口俊(読売ジャイアンツ)が66勝66敗を記録している。横浜/横浜DeNAベイスターズで39勝44敗、読売で27勝22敗。2019年を終えた時点では64勝58敗だったが、メジャーリーグのトロント・ブルージェイズで投げた2020年(2勝4敗)を挟み、昨年は2勝を挙げて8敗を喫した。郭と同じく、通算セーブは100を超えている。112セーブだ。

 また、100勝以上の現役投手では、石川雅規(東京ヤクルト・スワローズ)が同数に近い。177勝176敗だ。2020年は2勝8敗、2021年は4勝5敗。2年続けて負け越している。

 100勝以上を挙げ、勝ち越し1でキャリアを終えたのは5人。191勝190敗の松岡弘、143勝142敗の山内新一、121勝120敗の若生智男、107勝106敗の三沢淳、102勝101敗の大竹寛がそうだ。このなかで最多の松岡は、一度も移籍することなく、1968年から1985年まで、サンケイ・アトムズ、アトムズ、ヤクルト・アトムズ、ヤクルト・スワローズで投げた。松岡の191勝と石川の177勝は、球団2位と3位に位置する(「各球団の通算勝利トップ5。東北楽天以外で現役投手がランクインしている球団は…」)。100勝以上の負け越し1は、254勝255敗の梶本隆夫だけだ。

 なお、黒田博樹は、日本プロ野球では124勝105敗だが、メジャーリーグで79勝79敗を記録している。白星と黒星が同数のメジャーリーガーについては、2年前に書いた(2019年終了時点)。当時、トップ10にランクインしていた投手のうち、アニバル・サンチェスは2020年の4勝5敗によって108勝108敗→112勝113敗、デレク・ホランドは2020~21年の計4勝5敗で78勝78敗→82勝83敗となった。99勝99敗のジェイソン・バーガスは、その後、マイナーリーグや独立リーグ、他の国でも投げていない。

「99勝99敗のまま、この投手は引退!? 「白星と黒星が同数」の最多記録は…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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