昨年、青柳晃洋(阪神タイガース)と九里亜蓮(広島東洋カープ)は、最多勝のタイトルを分け合った。どちらも25試合に先発し、青柳は13勝6敗、九里は13勝9敗を記録した。もっとも、2人の防御率は大きく違う。青柳の2.48に対し、九里は3.81だ。1.33の差がある。

 1950年以降の最多勝投手は、延べ175人を数える。そのうち、防御率が3.50以上だったのは、昨年の九里が16人目だ。全体に占める割合は、9.1%に過ぎない。セ・リーグに限ると、その割合はさらに低く、4.7%となる(パ・リーグは13.5%)。セ・リーグでは、九里が44年ぶり4人目。防御率3.81は、セ・リーグの最多勝投手のなかで最も高い。また、そこに何らかの理由があるのかどうかはわからないが、4人中3人は広島東洋の投手だ。

筆者作成
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 もちろん、防御率の数値は、シーズンやリーグなどにより、意味合いが異なる。例えば、1999年から3年続けて最多勝を獲得した松坂大輔の場合、各シーズンの防御率は、1999年が2.60、2000年が3.97、2001年は3.60だ(16勝5敗、14勝7敗、15勝15敗)。2年目と3年目は、3.50を超えている。けれども、防御率のリーグ順位は、3位、4位、3位なので、ほとんど変わらない。1999年のパ・リーグには防御率3.00未満が4人いたが、2000年と2001年は防御率3.25未満すら皆無だった。2020年に4度目の最多勝を獲得した涌井秀章(東北楽天ゴールデンイーグルス)も、この年の防御率は3.60ながら、リーグ4位に位置した。

 昨年の九里も、防御率はリーグ8位なので、まずまずだと思うかもしれないが、セ・リーグで規定投球回に達した投手は、九里と青柳を含め、9人しかいなかった。九里の8位は、言い換えると、ワースト2位ということになる。一方、青柳の防御率はリーグ2位だ。

 防御率3.50以上で最多勝の16人中、防御率の順位がリーグ・ワースト3位以内は、2018年の多和田真三郎(埼玉西武ライオンズ)と昨年の九里だけだ。九里と同じく、多和田も9人中8位だった。ちなみに、1999~2001年のパ・リーグは、規定投球回に達した投手がそれぞれ13人以上。2020年のパ・リーグは8人だが、半分ずつに分けると、涌井は上半分に入る。

 とはいえ、九里の最多勝は、勝ち運に恵まれたことだけが要因ではない(はずだ)。17試合のクオリティ・スタートは、リーグで5番目に多かった。同じく13勝の青柳は18試合だ。1試合しか違わない。

 9月29日に青柳と投げ合った九里は、青柳に並ぶ10勝目を挙げると――この時点の勝利はリーグ最多ではなかった――そこから、5試合続けてクオリティ・スタートを記録した。最終登板は5イニングでマウンドを降りたものの、1失点に抑え、13勝目を挙げた。

 タイトルを分け合った投手については、こちらで書いた(2019年終了時点)。2020年は、涌井と福岡ソフトバンク・ホークスの2人、千賀滉大石川柊太が揃って11勝を挙げ、千賀と山本由伸(オリックス・バファローズ)は、ともに149三振を奪った。

「タイトルを分け合った投手たち。最多勝は多いが、最多奪三振と最優秀防御率で並んだのは…」