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100敗の翌年にポストシーズン進出は稀。来年その可能性があるのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ニック・ソラック(テキサス・レンジャーズ)Sep 24, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズンの100敗以上は、2002年と2019年に並び、史上最多の4チームを数えた。ナ・リーグは、110敗のアリゾナ・ダイヤモンドバックス(西地区)と101敗のピッツバーグ・パイレーツ(中地区)。ア・リーグは、110敗のボルティモア・オリオールズ(東地区)と102敗のテキサス・レンジャーズ(西地区)だ。ちなみに、ナ・リーグ東地区とア・リーグ中地区は、それぞれ、ワシントン・ナショナルズの97敗とミネソタ・ツインズの89敗が最も多かった。

 ワールドシリーズが始まる前年の1902年以降、シーズン100敗以上は、ナ・リーグとア・リーグにおいて、152チームが記録している。そのなかで、翌年にポストシーズン進出を果たしたのは、2チームだ。100敗以上の翌年にポストシーズンが開催されなかった、1993年のニューヨーク・メッツ(103敗)とサンディエゴ・パドレス(101敗)――両チームとも、シーズンが打ち切られた時点の勝率と順位からすると、ポストシーズンには届きそうにないが――を除いても、ポストシーズン進出は150チーム中2チーム。全体の1.3%に過ぎない。

 その稀有な2チームは、2016~17年のツインズと、2019~20年のマイアミ・マーリンズだ。2016年に103敗を喫したツインズは、翌年に85勝77敗を記録し、ワイルドカードの2番手となった。2019年に105敗のマーリンズは、昨年が31勝29敗。こちらは、ナ・リーグ東地区の2位としてポストシーズンへ進んだ。

 昨年のポストシーズン進出は、シーズン短縮に伴う特例により、各地区の1位と2位にワイルドカードの2チーム、1リーグ計8チームとされた。例年の1リーグ5チームに当てはめると、マーリンズがポストシーズンへ進めたかどうかは微妙なところだ。ワイルドカードの2番手となる可能性がある3チームのうち、セントルイス・カーディナルスは30勝28敗、マーリンズとシンシナティ・レッズはともに31勝29敗。行われなかった2試合でカーディナルスが2勝を挙げれば、マーリンズとレッズはポストシーズン進出を逃す。カーディナスカーディナルスが2敗を喫して脱落しても、マーリンズはタイブレイクの試合でレッズに勝たないと、ポストシーズンにはたどり着けない。

 今年の4チームのうち、パイレーツとオリオールズが来年のポストシーズンに進む可能性は、ゼロに近い。ダイヤモンドバックスも難しそうだ。だが、レンジャーズは大補強を敢行している。ロックアウト後の動きにもよるが、来年、100敗以上の翌年にポストシーズン進出の3チームが現われるとすれば、レンジャーズだろう。

 なお、100敗以上の翌年も100敗以上は、41チームに上る。フィラデルフィア・フィリーズは、1938年から1942年まで、5シーズン続けて三桁の黒星を積み上げた。また、2021年のオリオールズは、ここ4シーズンで3度目の100敗以上。2020年が60試合に短縮されなければ、4シーズン連続の可能性もあった。この年は25勝35敗なので、162試合に換算すると94~95敗となる。

 ロサンゼルス・エンジェルス(1961年~)とコロラド・ロッキーズ(1993年~)は、100敗以上のシーズンが一度もない。エンジェルスは、1968年と1980年の95敗が最多。ロッキーズは、2012年の98敗が最も多い。

 今オフのダイヤモンドバックスとレンジャーズの補強については、こちらで書いた。

「110敗のチームが無駄遣い!? 2年1400万ドルでセーブ王と契約も、他の補強は…」

「「総額5億6120万ドル」の補強をしても、ポストシーズン進出にはまだ足りない!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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