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今オフの「大型契約トップ20」。暫定1位の10年3億2500万ドルはロックアウト後に追い抜かれる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
コリー・シーガー Oct 12, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ここまでに総額1億ドル以上の契約を手にした選手は、9人を数える。そのうちの3人は延長契約を交わし、FA市場に出た6人は、いずれも新たな球団へ移った。総額トップは、コリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)の10年3億2500万ドルだ。この総額は、歴代でも、ジャンカルロ・スタントン(当時マイアミ・マーリンズ/現ニューヨーク・ヤンキース)の13年3億2500万ドル(2015~27年)と並び、6位に位置する。シーガーの年平均3250万ドルは、スタントンの2500万ドルを上回る。

 ただ、ロックアウトが終わった後、シーガーは今オフの総額トップではなくなる可能性もある。FA市場には、シーガーと同じ遊撃手のカルロス・コレイアが残っている。

 2人を比べると、コレイアがわずかに若いものの、その差は半年未満だ。ここ3シーズンの打撃成績も、ほとんど変わらない。どちらも281試合に出場し、シーガーは、50本塁打、出塁率.360、OPS.876、コレイアは、52本塁打、出塁率.356、OPS.844を記録した。守備は、コレイアが勝る。あとは、各球団の需要と、新たな労使協定がどうなるかだろう。FAの遊撃手にはトレーバー・ストーリーもいるが、打者天国のクアーズ・フィールドをホームとしてきたので、打撃成績はそのまま鵜呑みにはできない。年齢も、コレイアの2歳上だ。

 また、今オフの総額ではなく、来シーズンからスタートする契約の総額においては、すでにシーガーはトップではない。2021年の開幕直後、こちらも遊撃手のフランシスコ・リンドーアは、ニューヨーク・メッツと10年3億4100万ドルの延長契約を交わした。この契約は、2022年から2031年までだ。

 今オフの総額トップ20は、以下のとおり。コレイアとチームメイトだったジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)の再契約は、「1年2500万ドル」と「2年5000万ドル」という異なる報道が出ているが、ここでは前者(ランキング外)とした。その違いについては「バーランダーの契約は「1年2500万ドル」と「2年5000万ドル」のどっちが本当?」で書いた。リンドーアもそうだが、10月上旬に5年5050万ドルの延長契約を交わしたアントニオ・センザテラ(コロラド・ロッキーズ)のような、シーズンが終わる前に契約を延長した選手は含めていない。

筆者作成
筆者作成

 年平均額は、3年1億3000万ドルでメッツに迎えられた、マックス・シャーザーの約4333万ドルがトップ。こちらは、歴代でも最高額だ(「37歳の投手が3年1億3000万ドルの契約を得る。「年4000万ドル以上」は史上初」)。

 年平均1300万ドル以上は、総額トップ20にランクインした17人以外にも、3人いる。年平均2500万ドルのバーランダー、1年2100万ドルのノア・シンダーガード(ロサンゼルス・エンジェルス)、1年1840万ドルのブランドン・ベルト(サンフランシスコ・ジャイアンツ)がそうだ。金額からわかるとおり、ベルトはクオリファイング・オファーを受け入れた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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