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レンジャーズに誕生する「5億ドルの併殺デュオ」は史上最高額ではない!? この2人は計6億ドル近く…

宇根夏樹ベースボール・ライター
コリー・シーガー Aug 7, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 テキサス・レンジャーズは、FAになっていたミドル・インフィルダー2人と大型契約を交わした。マーカス・シミエンを7年1億7500万ドル(2022~28年)で迎えたのに続き、コリー・シーガーを10年3億2500万ドル(2022~31年)で手に入れた。

 シミエンは、2015年から昨シーズンまでオークランド・アスレティックスで遊撃手としてプレーし、今シーズンはトロント・ブルージェイズで二塁を守った。そして、ゴールドグラブを受賞した。シーガーは、これまでロサンゼルス・ドジャースの遊撃手だった。

 今シーズン、レンジャーズでは、ニック・ソラックアイザイア・カイナー-ファレファが、それぞれ二塁と遊撃を守ったが、来シーズンの併殺デュオは、シミエンとシーガーの可能性が高い。ソラックは、内外野を守るユーティリティとして起用され、カイナー-ファレファは、2020年にゴールドグラブを受賞した三塁へ戻りそうだ。少なくとも、トップ・プロスペクトのジョシュ・ヤンがメジャーデビューするまでは、三塁を守るはずだ。

 シミエンとシーガーは、契約の総額からすると「5億ドルの併殺デュオ」ということになる。1億7500万ドル+3億2500万ドル=5億ドルだ。

 もっとも、彼らを、史上最高額の契約を持つ併殺デュオ、あるいは二遊間デュオと称するのは早い。ニューヨーク・メッツには、こちらも大型契約を手にしている2人のミドル・インフィルダーがいる。二塁手のロビンソン・カノーと、遊撃手のフランシスコ・リンドーアだ。

 カノーは、FAになった2013年のオフに10年2億4000万ドル(2014~23年)でシアトル・マリナーズに入団し、契約期間の半分が終わったところで、エドウィン・ディアズとともにメッツへ移籍した。リンドーアは、昨オフにクリーブランド・インディアンズからメッツへ移り、開幕直後に10年3億4100万ドル(2022~31年)の延長契約を交わした。2人の契約総額を合計すると、5億8100万ドルとなる。

 シミエンとシーガーと同じく、リンドーアの契約がスタートするのは、来シーズンからだ。また、ポジションを問わず、カノーとリンドーアは、同じ試合でチームメイトとしてプレーしたこともない。リンドーアがメッツに加入する前に、カノーは2度目の薬物違反により、162試合の出場停止を科された。ちなみに、出場停止中の年俸はカットされるので、その分(2度)を差し引くと約2億400万ドルになるが、それでも、リンドーアと合わせた金額は5億ドルを超える。

 ただ、来シーズン、カノーが二塁を定位置とするのかどうかは、定かではない。年齢は39歳。控えに回らなくても、ナ・リーグにもDHが導入されれば、カノーはそこに入るのではないだろうか。

 なお、二遊間デュオではなく、三遊間デュオであれば、計6億ドルを超える2人も存在する。サンディエゴ・パドレスの三塁手と二塁手がそうだ。マニー・マチャドは10年3億ドル(2019~28年)、フェルナンド・タティースJr.は14年3億4000万ドル(2021~34年)の契約を交わしている。その合計は、6億4000万ドルだ。今シーズン、彼らは三遊間デュオとして、86試合に先発出場した。タティースJr.の故障がなければ、その試合数はもっと多かったはずだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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